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2022/03/22

Z世代の就活事情~「就職」に対するZ世代の考え方とは?そしてコロナ禍での就活はどう変化したのか?~

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1990年代後半から2000年代初頭にかけて生まれた世代は、「Z世代」とも呼ばれ、「新しい当たり前」を象徴する存在として注目を浴びています。このZ世代はどのような特徴を持つ世代なのか、こちらの記事で、電通若者研究部(※)の用丸雅也氏に解説してもらいました。

さらに本記事では、「Z世代の働くことへの意識と就活」について、掘り下げていきます。これから本格的にZ世代が新卒採用市場に登場してくるようになり、企業にはZ世代の嗜好や価値観を踏まえた採用活動が求められます。企業のサステナビリティから考えても、「優秀な次世代を採用する」ことは必須条件ですが、果たしてあなたの所属する企業は、Z世代にフィットする採用活動を実践できているでしょうか?今までと同じ取り組みを続けているだけでは、本当に必要な人材にアプローチできなくなっていくかもしれません。

そこで本記事では、改めて電通若者研究部の用丸氏にインタビューを実施。電通若者研究部が毎月実施している大学生調査の知見も含め、Z世代のリアルな実態と就活について語ってもらいました。また後半では、用丸氏もブランディングディレクターとして参画しているオンラインインターンシップ「47 INTERNSHIP」についても紹介します。

電通若者研究部は、高校生や大学生を中心とした10~20代の実態を調査し、企業や社会が若者とより良い関係を築くために、調査やプロジェクトの企画・実施までを一貫して行う電通内の特命異能ユニットです。クリエーティブ、ストラテジー、デジタルマーケティング、ビジネスデザイン領域など多様な専門性を持つメンバーが在籍しています。私たちが若者と向き合うのは、若者こそ「最初に新しくなる人」であり、社会が未来に向かうヒントを探るためです。

 

「Z世代から選ばれない企業」にならないために

Q.まず、用丸さんがZ世代の就活に着目するようになったのはなぜなのでしょうか?

用丸:これは本当に個人的な感覚ですが、企業の採用領域に、クリエーティブを拡張していく余地があるんじゃないかと思ったこと。そして、自分自身もまだ年齢的には就活生と近いので、今企業が取り組んでいる採用活動と、いわゆるZ世代と呼ばれる人たちの価値観との間にものすごくギャップがあるな、と感じていた、ということがあります。

大学生の時点で「最初に入った会社は3年以内で辞めよう」とか、「入社する企業が、自分が定年退職するまで存続するとは考えていない」といったリアルな声を聞きます。これは採用側がこれまでの感覚で採用活動を続けると、どんどん「Z世代から選ばれない企業」になってしまうんじゃないか、という危機感を感じていました。

その中で私たちは「若者の専門家」というスタンスで仕事をしているわけですが、だとすればこの採用領域にももっといろんなニーズがあるはずだ、と考えました。さらには、これからますます人口が減る、若い世代が減ると言われている中で、どういう若い人材を採用するかは企業の経営課題そのものでもあるわけです。その領域に踏み込んでいきたいと考えました。

Q.用丸さんのチームでは、大学生に対して毎月定量調査・定性調査を実施していますね。それらの調査から見えてくる、今の大学生の特徴とはどのようなものでしょうか?

用丸:特徴的なのは「石の上に三年も待てない」ということでしょうか。これまでは、入社したら下積み期間を経て、その企業でじっくりと経験を積み、定年まで勤め上げる、というようなパターンが典型的だったと思うのですが、今のZ世代はさまざまな不安を抱えていたり、コロナの影響もあって孤独を感じていたりするので、無意味な下積み期間を嫌がる傾向が強いようです。「就職しても、その企業と合わないと感じたら5年以内に転職する」とか、「入社前に配属先の保証をしてほしい」といった声が上がるのも特徴的です。よく、「日本企業はメンバーシップ型雇用で、欧米ではジョブ型雇用」というふうに言われますが、Z世代はジョブ型雇用の方が相性が良いようにも感じますね。

Q.確かに、下積みを嫌うというのは分かりますが、それって自分の成長をどう捉えるか、というところとも関係してきますよね。キャリアプラン自体はしっかり持った上で、それでも下積みは嫌だと思っているのか、それとも、もうちょっと刹那的に「今やりたいこと」だけを見ているのでしょうか?

用丸:もちろん、人にもよるというのは大前提として、私が見ている限り、中長期的視点を持ってキャリアを考えている人は少ないように感じます。それよりもむしろ、状況に応じて変わり続けることが大事だと考える傾向が強いですね。だから、3~5年は我慢して下積みをするということに嫌悪感を持ち、今好きな方へ向かっていく、という動きになっていると感じます。

この数年で如実に変わったなと思うのが、学生でも「フリーランスで稼いでいる」という人が増えました。旧来のアルバイトでは、コンビニとか居酒屋とかがスタンダードだったのですが、コロナの影響もあってその辺の選択肢が減ってきています。一方で、映像編集をするとかカメラマンをやるとか、そういった趣味的な活動から報酬を得る、という経験をするようになってきた。フリマアプリでいろんなものを売ったり、クラウドソーシングなどのサービスを通じて自分の知識やスキルを売っていく。最近OB訪問を受けると、学生から「もし就職するなら、この会社を考えています」という話がよく出てきます。つまり、就職しないという選択肢も視野に入れ、学生時代から個人事業主として取り組んでいる仕事をそのまま続けるか、あるいは企業に就職するか、というところから考えているんですね。就職して「配属ガチャ」をくらって、下積みさせられるくらいなら、今やりたいこと・やっていて楽しいことを続けたい。そもそもどこかの会社に入る方がリスクなんじゃないか、と考える人たちが増えていると感じます。

最近Twitterでよく見かける「JTC」という言葉があります。これは「Japanese Traditional Company」の頭文字を取った言葉なのですが、「副業できない」「年功序列だ」なんて会社は「JTC」とひとくくりにされて、「ダメ」というレッテルを貼られてしまう。会社の規模がどうとか業種がどうとかではなくて、「JTCかそうでないか」というカテゴリ分けが存在しているんです。

Q.一方で、それでも大企業に入社する若者はたくさんいますし、それを「安定」と考える人もいるのではないかと思うのですが。

用丸:今後は、仕事とプライベートをきっちり分ける「ワークライフ分離型」と、両者を区別しない「ワークライフメルト型」に二極化するのかなと思います。ただ、やはりどうしても都会と地方とでは情報格差があって、都内の学生ほど、フリーランスで稼ぐようなロールモデルを実際に見ている人が多い。地方となるとあまり情報もなく、先輩が入社した企業に自分もいく、といった判断になりがちなんですね。

たとえ自分で経験していなくても、「趣味を仕事にする」という働き方を実際に目にしているかどうかで随分と差があるように感じます。そういうのを見ている人は、たとえ就職しても副業したい、あるいは「複業」したい、というマインドは強いですね。

先日、「人生は30年でほぼ終わってる」というSNSでの投稿を見かけました。これは、「進学、受験、就職、結婚など人生の大きな変化はだいたい30歳くらいまでに終わっていて、そこから先は人生の刺激も少なくなるし、将来もなんとなくイメージできてしまってその先の夢もなくなる」というような意見で、これについて賛否両論集まっていました。かなり極端な意見だとは思いますが(笑)、でも、このような意見に刺激されるZ世代もたくさんいるでしょうし、だとすれば下積みなんてしている場合ではないと思ったり、今取り組んでいる好きなことの延長線上に将来像をイメージしたりするのも納得できる気がします。

コロナ禍でのオンライン普及は、就活の地域格差を是正する

Q.用丸さんがブランディングディレクターとして取り組んでいるのが、全国の大学生向けの複合企業合同インターンシップ「47 INTERNSHIP」ですね。この活動について、ご紹介いただけますか。

用丸:これは、私たち「電通若者研究部」と、NPO法人エンカレッジの方が出会って、「学生に新しい就活機会をつくりたい」と話していたことがきっかけとなって始まった取り組みです。先ほどもお話ししたように、どうしても就活における地域格差は存在していました。地方の学生が東京で就活をできるかというと、頼れるOBも情報も少ないし、説明会に出るにも、お金も時間もかかる。東京でインターンシップがあっても、地方の学生は参加できない人がほとんどです。だから、そもそもスタートも遅いし、結局は知っている先輩が就職した会社に入る、なんていうケースが増えてくる。私は個人的に、「若者から“諦める”をなくす」ことを実現したい、と思って仕事をしているのですが、このコロナ禍で授業や面接などいろんなものがオンラインになっていったことは、地方の学生にとってはチャンスなんじゃないか、と。全国どこにいても、同じ体験ができる可能性が広がったわけです。

そこで企画したのが「47 INTERNSHIP」です。2021年のエントリーシートでの課題は、「お住まいの地域に関わる課題で、あなたが愛を持って取り組みたいこと、取り組んでいることを教えてください」というものです。それを書いてもらって、各都道府県から1名ずつ、とにかく強い課題意識と地域愛を持っている学生を選出して、47名でオンラインでのインターンシッププログラムに参加してもらいます。2020年から実施していますが、2021年も継続して実施することができ、多くの企業にも参加していただくことができました。1日目は「自分たちが持っている課題意識をぶつけあう場」、2日目は、参加企業の方と共に「一緒に何ができるかを考える場」、そして3日目が最終プレゼンという流れでした。

Q.参加した人たちの反応はいかがでしたか?

用丸:まず学生からは、「全国に同期ができたのがうれしい」という声が上がっていたのが印象的でした。確かにコロナ禍で、大学の授業もオンラインになり、バイトもなくなった。そんな環境になって、サークルもなければクラスもない。だから日常的に会うような同級生がまわりにいない、という中で毎日過ごしてきているんですね。だから学生の中では、「孤独」とか「不安」が大きな課題として浮上しているのではないでしょうか。そうやって、周りの人との物理的なつながりが薄くなっていく中で、今自分がやっていることが正しいのだろうか?ということも分からなくなってくる。だから、そういう不安を解消してくれるようなコミュニティを求めている。「47 INTERNSHIP」は、そんな学生たちの新たなコミュニティになったんだな、と思いました。

一方で、ご参加いただいた企業サイドから見ても、いろいろと発見のあったインターンシップとなりました。「地方の学生は就活に不利だ」という話をしましたが、これは実は採用する企業にとっても同じ状況があります。たとえば本社が大阪にある会社には、関東の学生はやはりあまり応募してこない、という問題を抱えています。今回ご参加いただいた企業以外にも、全国的なオンラインイベントを活用することで、自社に応募してくれる学生の母集団を増やしていきたい、というニーズをお持ちの企業はたくさんあるのではないかと思います。

また、採用担当の現場の皆さんの悩みもいろいろと知ることができました。就活自体はどんどんと早期化している。サマーインターンシップもやらなきゃいけないし、それと並行して本採用も進めなければいけない。さらに採用活動自体が通年化してきたところもあり、いろんなアクションを並行して動かさなければいけない状態になっている。だから現場はめちゃくちゃ忙しいし、活動の通年化で採用計画そのものが立てにくくなってきている。

ですから、企業にとっては、やらなければいけないことが増える一方で、応募してくれる学生の母集団を増やしたい、という課題に直面していると言えます。そして採用活動がオンライン化されたことで、自社の存在を多くの学生に知ってもらうことの重要性がますます高まってきています。「47 INTERNSHIP」で、実際に選ばれてインターンシップ・プログラムに参加した学生は47名ですが、2021年は、2000人を超えた応募者全員向けに、「Day0」としてパネルディスカッションとワークショップを実施しました。この規模感は「47 INTERNSHIP」を主催しているNPO法人エンカレッジが、全国の大学生とのネットワークを持っていることもあって実現しています。この「47 INTERNSHIP」が、これからも多くの学生と企業をつなぐプラットフォームになっていけば、きっと学生にとっても企業にとっても悩みの解決に役立つ場になるのではないかと考えています。

 


 

Z世代の仕事や就活に対する意識が変わってきているのは、そもそも「働き方のロールモデルが変わってきている」からだ、ということを用丸氏は示唆してくれました。スマートフォンとパソコンさえあれば、世界中をあっと言わせるようなコンテンツがつくれる。そんなライフスタイルが可視化されていく中で、就職するというよりも「自分の趣味、好きなことで生きていくにはどうしたらいいか」ということを考える人が増えるのは、自然な流れなのかもしれません。仮に就職したとしても、気持ちのマッチングができない中では、モチベーションも上がらず、活躍できなかったり辞めてしまったり、ということにもつながるのでしょう。それを「Z世代は我慢ができない」と決めつけてしまっては、自社の可能性を狭めてしまうことにもなりかねません。Z世代の特性や価値観をあらためて見つめ直し、そんな彼らにとって自分たちはどういう企業に見えているのかを考える。そうすることで、採用活動はもちろんのこと、人事施策などについても、変革のヒントが見つかるのではないでしょうか。

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