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2022/10/05

Web解析のプロが語る「GA4」。なぜ早めの導入が必要なのか(前編)

INDEX

自社のサイトのPVを上げるためにはどうすればいいのか?売り上げや問い合わせを増加させるためにはどうすればいいのか?アクセス解析ツールのデータを見ながら、日々悩んでいる担当者は少なくないと思います。

アクセス解析ツール「Google アナリティクス(GA)」のバージョンの1つ、「ユニバーサル アナリティクス(UA)」は、2014年4月にリリースされて以降、多くの企業がデータ分析に用いてきたツールです。しかしながら、2023年7月1日でサポートを終了することがGoogleからアナウンスされました。それに代わるツールとして、2020年10月に新しくリリースされたのが「Google アナリティクス 4(GA4)」です。

このGA4に「なるべく早く切り替えるべき」と話すのは、株式会社電通デジタル エクスペリエンスプロデュース部門で、アナリティクス領域の活性化や啓発活動を行う馬場建至氏。その理由や背景について、馬場氏のこれまでの経歴や現在の業務についての話なども交えながら語ってもらいました。

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解析データをどう分析し、その先につなげるかがウェブマーケティングの肝

Q.GA4について伺う前に、馬場さんの日々の業務と、現在の専門であるアナリティクス領域に携わるようになった経緯を教えてください。

馬場:今は、電通デジタルのエクスペリエンスプロデュース部門に所属していて、毎日のように「Google アナリティクス」やその他のアクセス解析ツールを使っています。

私は元々DTPのオペレーターとして雑誌の広告を作っていました。その後、Web業界に入りたいと思って、まずはネットショップの店長に。小さい会社だったので、商品ページを作るのはもちろん、サイト全体を改修したり、受発注業務をしたりと全て自分でやらなければいけなくて、大変な思いをしました。次に自分のスキルをもっと広げたいと考え、Web制作会社でディレクターを経験。そこではメールマガジンのディレクションをしていたのですが、メールマガジンはタイトルや見出しを変えるだけで開封率やクリック数が変わってきますよね。それでタイトルを変えて、毎回効果測定をするのが楽しいと感じるようになりました。

そのうち、「他の人よりも尖ったスキルを持っていないといけない」と考えて、「ウェブ解析士」の資格を取ることに。今思うと、それが人生の転機ですね。資格の取得を通じてWeb解析の分野が好きだと気付き、これを仕事にしてずっと続けていきたいと転職を考えるようになりました。そんな時に、現在の職場に声をかけてもらい、今に至るという経緯です。

Q.ウェブ解析士とはどのような役割を果たすのでしょうか?また、馬場さんが感じる、ウェブ解析士の面白さとは何ですか?

馬場:ホームページなどへのアクセス解析をはじめ、Web解析データを活用したKPIの設定やプロジェクトのファシリテーションまでを行う、デジタルマーケティングの能力を持つ人材が、ウェブ解析士。一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA)という団体が講座や認定試験を設けていて、そこで認定資格を取ることができます。資格は「ウェブ解析士」「上級ウェブ解析士」「ウェブ解析士マスター」の3つの階級があるのですが、私はだいたい1年半くらいかけて「ウェブ解析士マスター」までを取得しました。

私が得意なのは、自分で分析をして改善施策やKPI設計を考案したり、分析レポートの監修をしたりといった領域なのですが、最近は専らGA4の導入や実装、勉強会などの依頼が増えていますね。さらに今年は、ウェブ解析士のカリキュラム委員長も務めており、来年度のテキストや試験問題を作成しています。データというものは、もちろんユーザーがWebサイト上で行動した結果でしかないのですが、それを受け止めてどう次に生かすかを考え、施策に落として実装していくプロセスがとても好きですね。

GA4は慣れるのに時間がかかるからこそ、余裕を持って導入して欲しい

Q.馬場さんは「今こそGA4だ」と、早いタイミングでのGA4の導入を推進していますが、そこにはどのような背景や理由があるのでしょうか?

馬場:GAとは、自社ホームページやオウンドメディア、ECサイトなどのWebメディアにどのくらいのPV数があったかや、ユーザーがどのページをどのくらい見ているのかなどが分かる解析ツールです。今、多くの企業が使っている「ユニバーサルアナリティクス(UA)」は自社ホームページやオウンドメディア、ECサイトなどのWebメディアにどんなユーザーが、どこから来て、どのくらいのPV数やCV数があったかなどがわかるツールです。そのUAは2023年7月で計測およびサポートが終了するとアナウンスされました。

それによって、これまで行えていた効果測定や分析ができなくなります。ですから、UAに代わるものとして2020年にリリースされたGA4を導入して、運用をそちらに切り替えなければいけないのですが、UAの終了直前になって慌ただしく切り替えるのはリスクがあるように感じます。私自身、GA4を使ってみると、すぐにスキルを取得できるものではないという実感がありました。ある程度時間を設けて、向き合って勉強しないと使いこなせないツールなので、少しでも早く導入して、なるべく長く、たくさん使って慣れていくことが大切だと思います。それが、GA4への早めの移行を勧めている理由です。

とにかく、まずは導入すること。皆さん最初は、「正しく設定できない」とか「使い方が分からない」と困ることも多いかもしれませんが、そういう時はぜひ私たちにお声掛けください。GA4の講師もしていますし、ソリューションも持っていますので、実装までの設定もお手伝いできますし、勉強会を開催して1からレクチャーすることもできます。

Q.UAが使えなくなるから切り替えなくてはならないという点はよく分かりました。UAとGA4の違いや、移行するメリットについて教えてください。

馬場:GA4はUAとは大きく異なるアップデートが行われており、使いこなせれば非常に便利で有益なツールだと言えます。例えば、Webとアプリの横断計測ができるようになりますし、「拡張計測機能」をONにすることで外部リンククリック、ファイルダウンロードなどを自動でイベント取得してくれるようになります。加えて、UAではGoogleタグマネージャーでの実装が必要だったイベント機能も、一部ではあるものの、GA4内で設定できるようになるなど、機能面の充実が図られています。

 


 

多くの企業が導入しているGoogle アナリティクス。長年馴染んできたが故に、ユニバーサル アナリティクスを使い続け、GA4への移行を完了されていない方も多いのではないのでしょうか。使い慣れたUAから切り替えるのは手間も感じますが、UAが使えなくなることが明らかな以上、GA4への適応を進めていかなければなりません。

GA4へ早期移行を進めることには、一定期間の猶予を設けて使い方に慣れることができる、移行後には機能面でのメリットも多いなど、ギリギリのタイミングではないからこそのメリットがあることがわかりました。

後編では、多くの方が抱えているGA4移行時の悩みや不安について、プロの視点から詳しく解説してもらいます。

 

また、馬場氏は、GA4関連に限らず、Web解析の技術向上のためのサポート、CVの改善やKPIの設定など、幅広い領域に携わっています。自社サイトに課題を抱えている方、Web解析をもっと効果的に活用したいという方もぜひご相談ください。

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株式会社電通デジタル

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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