Webメディアの運用やWebマーケティングに、もはや必須のアクセス解析。アクセス解析ツールの主流である「ユニバーサル アナリティクス(UA)」は2023年7月1日でサポートを終了することが決まっており、これに代わるツールとして「Google アナリティクス 4(GA4)」への移行が急務です。株式会社電通デジタル エクスペリエンスプロデュース部門でアナリティクス領域の活性化や啓発活動を行う馬場建至氏にインタビューした記事の前編では、そんなGA4への移行の背景やメリット、早めに乗り換えるべき理由などについて聞きました。
後編では、多くの担当者が抱える移行への不安に対して応えてもらう他、ウェブ解析士として馬場氏が目指すものや、思いなどについて迫ります。
GA4に興味を持っていても、導入に踏み切れない企業が多い

Q.GA4への移行の必要性を理解しながらも、二の足を踏んでいる企業が多いという印象がありますが、企業はどんな不安や負の意識を抱いているのでしょうか。実際にどんな声を聞いていますか?
UAが2023年の7月で使えなくなってしまうわけですから、こちらとしてはなるべくたくさんの企業に危機感を持っていただき、導入を検討してほしい。そんな思いを込めて、「【GA4講座】広告運用者必見!GA4になって計測はどう変わるのか」と題したセミナーを2022年の6月に開催しました。やってみて驚いたのは、そこに500社以上の企業からお申し込みがあったこと。広告も出していないのにこれだけの数が集まるというのは、正直予想していなかったことで、それだけ導入を迷っている企業が多いということがよく分かりました。内容としても少し難しいかなと思っていたのですが、セミナー後には「よく分かりました」「ぜひ導入したい」という声をたくさんいただき、やって良かったなと思っています。
このお申し込み数を見ても分かるように、多くの企業が気になっていて、興味があり、やらなければいけないと思っている。でも、何から始めればいいのか分からないという状態に陥ってしまっているんです。だからこそ、アナリティクス領域を専門としている立場の人間が推進してサポートしていく意味があり、それが私たちの役割だと考えています。
データ活用の目的を明確にしなければ、導入の意義が見えてこない
Q.馬場さんをはじめ、電通デジタルのエクスペリエンスプロデュース部門が請け負う案件としては、GA4の導入サポートまでを行うのと、GA4を使ってアナリティクス分析に携わり、提案をするところまでを行うのとでは、どちらが多いのでしょうか?
私としては、どちらかというと、隣で寄り添って運用していくスタイルの方を取りたいと思っています。やはり、導入だけしても、適切に運用することが難しい場合も多く、レクチャーしながら一緒にやっていくことで、本当の意味での活用が可能になると思うからです。大切なのは、「分析すること」を目的にしないこと。何のために分析をするのか、それが明確でない状態でデータを見ても、価値のある数字は見えてこず、代わり映えのしない数字を毎日見るだけになってしまいます。
極端に言えば、ツールを導入してデータを出すだけで満足するのではなく、それをどう生かすかという目的をはっきりさせることができれば、どんなツールであっても関係なくなります。そのような考え方にシフトすると、UAにこだわり続ける必要はありませんし、GA4を今日からでも使える便利なツールだと考えられるのではないでしょうか。
Q.日々多くのクライアントに集まる大きなデータと向き合っている馬場さんですが、データを使いこなす上で気を付けていることや、仕事をするにあたってモットーにしていることを教えてください。
GA4導入の啓発活動をするにあたっても、「小難しいことをやろうとしない」と決めています。大きな案件になればなるほど、どうしても複雑な分析などに走りがちですが、何よりも基本が大切だと思っています。まずは基本がしっかりできてから、応用として発展させていかないと、結果につながりません。他には、「自分だったらどうするか」を基準に物事を決めるように気を付けています。自分がその立場だったらやらないことを、他者に提供するようなことはしない。そんなふうに考えながら仕事をしていますね。
Q.では、ご自身の仕事を通してかなえたいこと、今後実現したいことなどはありますか?
GA4を使えなかった人が使えるようになることも、GA4を導入していなかった企業が導入を決めることも、「0を1にする」ことだと思っています。多くの人が有益で便利なツールを使いこなせるようになって、負担を少しでも減らせるようになってほしいのです。メディアに寄稿したり、セミナーに登壇したりするのも、全てがそのためです。GA4を含めてさまざまな解析ツールを使えるスキルを、ぜひ一緒に身に付けて活用していきましょう。
行動分析をし、効果測定をし、モニタリングをしてユーザー像を可視化する。もはやマーケティングの分野では欠かすことのできないデータ分析ですが、それを実装するためのツールをよく知り、使いこなせて初めて有益な分析が実現します。
ツールを導入して満足するのではなく、目的を達成するための手段として用いる。その下地を、UAからGA4への過渡期である今、作っておくことが望ましいでしょう。少しでも迷うことがあるのなら、ぜひ馬場氏にご相談いただければと思います。
加えて、デジタル人材教育や、デジタルマーケティングを社内で浸透させたい企業のサポートなども行っています。こちらに関してもご興味のある方は、ぜひお声掛けください。