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2022/11/08

DOOHの現在地~その進化と、コロナ禍を超えた展望について~(前編)

INDEX

広告に関わったことがあれば「OOH(Out Of Home:屋外広告)」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。では、「DOOH=デジタルOOH」についてはいかがでしょうか。OOHは、広告の形態としては歴史が深く、そういった意味ではトラディショナルなものだと思っている方も多いかもしれません。しかし、デジタルサイネージの普及によって、OOHの可能性は大きく広がっているのです。

そこで本記事では、デジタルOOHを専門に扱う、株式会社 LIVE BOARD(ライブボード)の川口亘氏、現王園章太氏、小林春輝氏にインタビュー。OOHが「デジタル」になってどう進化したのか、そして企業からはどのような相談が来るのか、といったリアルな現場の話を聞きました。全ての広告担当者はもちろんのこと、マーケティング担当者にとっても、デジタルOOHの現在地をあらためて知るためにお役立ていただければ幸いです。

OOHが「デジタル」になって、できることが大きく広がった

Q.最初に、「LIVE BOARD」とはどのような会社なのか、ご説明いただけますか?

株式会社 LIVE BOARD 現王園 章太氏 
現王園:私たちが取り扱っているのは、デジタルOOHといわれる広告商品です。デジタルOOHとは、Digital Out Of Homeの略で、交通広告、屋外広告、商業施設などに設置されたデジタルサイネージを活用した広告媒体のことを言います。

私たちは、約80個のデジタルOOHを保有していて、それらの販売事業者でもありますが、他事業社が運営しているデジタルOOHとも連携させていただいており、総数で言えば1万6000面程度を取り扱うことが可能。「デジタルOOHのプラットフォーマー」としての機能を果たしているといえます。

Q.今でこそ、街中でさまざまなデジタルサイネージを見かけるのは当たり前になっていますが、かつてOOHが「デジタルOOH」に進化した時には、どのくらいのインパクトがあったのでしょうか?

小林:アナログからデジタルになったことによる変化は、さまざまな面で大きな影響を与えました。「フレキシビリティの向上」はその一例です。それまでのOOH広告は、極端に言えば「看板に大きな紙をペタッと貼る」というやり方のため、どうしても入稿の締め切りが早くなってしまいます。それがデジタル素材に代わることで、締め切りを伸ばすことができるようになります。そうやってクライアント様のご負担を減らせるだけでなく、デジタル化によってデータ連携の可能性も広がります。今日と明日でメッセージを変える、晴れの日と雨の日で素材を変えるなど、データ連携を通じて、企画と連動することも可能です。

さらに最近は、「3D広告」「巨大広告」とか、これまでにないインパクトを出せるような広告枠も登場してきています。新宿に「巨大な三毛猫」が現れた、という広告について聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

一方で、それを見る生活者視点に立っても変化は起こっています。先ほどのような3D広告などは、明らかに「今までにない新しい表現」として見えていますが、実は意識していないところでも変化が起こっています。例えば、気温によって広告素材が変わっている、というケース。その分、その時の気持ちにフィットした広告が掲出されているので、見ても不快ではなく自然に入ってくる、というケースがあるのです。「屋外で見る広告への不快感が減ってきている」という感覚に、「言われてみれば確かにそうかもしれない」と、思い当たる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
株式会社 LIVE BOARD 小林 春輝氏
現王園:アナログ時代は、例えば7月末にイベントがあるとして、そのイベント告知の広告が大きく出ている。それが8月になってもずっと貼りっ放しでそこに出ていることはよくありました。デジタルになればそういったことはほとんどありませんので、ちぐはぐ感のようなものも確実に減っています。

やはりデジタルならではの「リアルタイム性」はポジティブな効果を発揮していると思います。同じ場所のデジタルOOHでも、朝は「行ってらっしゃい」と書いてあり、夜に帰ってくると「お帰りなさい、お疲れさま」とメッセージが変わっている。これだけでも、世の中に対して非常にポジティブな効果をもたらしているのではないでしょうか。

また、単純に「汚れにくい」ので、それだけでも印象はいいですよね。やはり古かったり汚れたりしている広告がいつまでも出ていると、見ていて気持ちのいいものではありませんし、その商品やサービスのイメージも悪くなりかねません。

「ターゲティング」や「プランニング」と「公共性」の両立がDOOHの魅力

Q.古くからある形態のOOHが「デジタル化」するという、そのアナログとデジタルがミックスしている感じ自体も非常に興味深く感じています。

小林:デジタルOOHならではの特徴を挙げるなら、「しっかりとしたターゲティングができる」「リアルタイムにメッセージが変えられる」というあたりでしょうか。そういうことができる一方で、世の中に対しては「外に大きく掲出している」という、非常にシンプルな発信の仕方をしているわけで、そこが「昔ながらのOOHらしい」という、その両面を持つ面白さはあるかもしれませんね。OOHの一貫した良さというのは、単に「認知を得る」だけでなく、それが多くの人の目に留まる公共の場に掲出されていることで、「今、世の中で流行っている空気」を生み出す力にあります。多くの人が行き交う真ん中に広告がある、という感じ自体が非常に良くて、これが、OOHならではの力であり魅力だと思います。
川口:私たちは、そんなOOHの魅力を「マネージド&セレンディピティ」と呼んでいます。つまり、発信する内容はデータによってターゲットに最適な状態にマネージされているけれども、それを受け取る生活者にとっては、ふと出かけた街中で偶然体験する「新しい出会い」になっている。それを生み出すのが私たちにできることなのではないでしょうか。

同時に、「出会う場所」にも意味が出てきます。「渋谷の真ん中で見た」ということは、単に「広告を見た」だけではなくて、「なんか流行っているものだ」「渋谷を訪れる層に人気があるんだ」といった印象も同時に与えます。「何を見たか」だけではなく「どこで見たか」「いつ見たか」といったことにも意味が出てくるのは、OOHが元々持っていた価値ですし、デジタルOOHになってその魅力はますます高まっていると思います。
株式会社 LIVE BOARD 川口 亘氏

 


 

長きにわたって人々に親しまれてきた、OOHという広告形態。それが技術革新により、デジタルOOHへと進化を遂げました。リアルタイムに情報の出し分けを行えるようになったことで、「多くの人に見てもらえる」だけではなく、「見る人の気持ちに寄り添う」ことまでもが可能となっているのです。

続く後編では、デジタルOOHの活用例を「データ活用」などの観点から事例とともに紹介しつつ、LIVE BOARDが描く広告の未来についても詳しく聞いていきます。

本記事を読み、「自社でもデジタルOOHを導入したい」「デジタルOOHを活用した、先進的な事例をもっと知りたい」など、関心を持っていただいた方は、ぜひ一度ご相談ください。お問い合わせはCONTACTから。

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株式会社LIVE BOARD

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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