株式会社 電通アドギアと地方自治体が協働で取り組むチームビルディング・ツーリズムは、地方創生や地域の消費拡大を見据え、企業研修プログラムを提供する事業です。実際に取り組んでいる福島県南会津町では、これまでに2回のモニターツアーを実施し、既に大きな手応えを得ているといいます。
Transformation SHOWCASEでは、研修プログラム参加企業を受け入れる南会津町役場の阿久津政臣氏、プロジェクトをサポートする電通アドギアの木村貴光氏に、チームビルディング・ツーリズムの可能性についてインタビューを実施。後編では、持続可能なチームビルディング・ツーリズムを見据え、さらに論を深めていきます。
地方を荒らさず、いかにして持続可能なビジネスモデルを見出すか
Q.南会津町は、これまで2回のモニターツアーを実施し、1回目は東京都のIT企業と鹿児島県の建設業の計2社、2回目は東京都のIT企業、映像制作会社、イベント企画会社の3社が参加したそうですね。実際に実施されてどうでしたか?
もう1つの側面は、南会津町の11事業者の変化です。このプロジェクトは、電通アドギアではなく、11事業者からなる推進協議会が自らツアープランを企画・提供します。2回実施したことで南会津の事業者の皆さんがコツをつかみ、「もっとこうした方がいいんじゃないか」と活発に意見を交わすようになりました。とても能動的になり、町の皆さんの意識も大きく変化したように感じましたね。
Q.推進協議会の皆さんからは、どんな声が上がっていますか?

Q.多くの自治体が、外部からいかに人を呼び込むかという視点で地域創生を考えているかと思いますが、阿久津さんも木村さんも地域内、つまり内側の話をされていますね。まず町の方々の連携を深め、地域を活性化させるというのが、面白い視点だと思いました。チームビルディング・ツーリズムに取り組む過程で、こうした視点を得たのでしょうか。
そのために、地域の方々がつながるきっかけや場をつくるお手伝いができるかもしれない。それがコミュニケーションを仕事とする企業としての務めではないかと、あらためて感じました。
地域の事業者の横のつながりを大切にする
Q.当初は「MICE」の一環として企画された事業ですが、全く違う形で実を結んだように見えます。木村さんは、プロジェクトを経て意識の変化はありましたか?

Q.阿久津さんは、いかがでしょうか?
ただ、実際に事業を進めるにあたり、その考えが徐々に頭から抜けていった時期もありましたね。企業研修を行うには何が必要なのか、推進協議会をどうやって立ち上げようかという方向に、頭がシフトしてしまったためです。ですが、2021年度はコロナ禍でモニターツアーが中止されることになり、時間に余裕が生まれ、木村さんから「各事業者の横の連携を強化するために、まずは町内視察会をやった方がいいのではないか」とご意見をいただいたんです。推進協議会の皆さんからもご要望があったので、実施することにしました。
すると、「人となりは知っていたものの、この事業者はこんなことに取り組んでいたのか」「この商品を作るために、こういう努力をしているのか」と今まで見えていなかったものが見えるようになりました。そこであらためて、結局は何をするにしても、横のつながりが大切だと再認識したんです。まずはこの町を、この町の仕事に関わっている方々をよく知って好きにならないと、外から人を呼んでも好きになってもらえない。そう考えるようになりました。
Q.「まずは自分自身がファンになる」というのは、ファンマーケティングの原点ですね。今後は、チームビルディング・ツーリズムをどのように発展させたいとお考えでしょうか。
とはいえ、町の方々の気持ちを1つにする道筋、同じ目標を達成するプロセスには、汎用性がありそうだとも感じています。そのノウハウは得られたので、今後の展開や他の地域へも生かしていきたいですね。
Q.南会津町とは、今度どう向き合っていくのでしょうか。
Q.阿久津さんからも、今後の展望をお願いします。

南会津町におけるチームビルディング・ツーリズムは、地域の事業者の横連携を深めるとともに、研修に訪れた企業にも実り多いWin-Winの関係を築くことができています。電通アドギアはこのフレームを他の地域に応用し、南会津町はビジネス化を視野に取り組みを拡大するなど、今後の成長可能性も大いに期待できるでしょう。地域活性化や人口増を目指す自治体は、新たな観光事業として、地方創生として、チームビルディング・ツーリズムを検討してみてはいかがでしょうか。
地方創生のプロジェクトを10年、20年と続けていくためには、自治体内に横のつながりが生まれることが重要。電通グループは組織内交流のきっかけづくりからサポートすることができます。「チームビルディング・ツーリズム」についてはもちろん、「チームビルディング」に一丸となって取り組みたいという方や、組織運営に課題を感じる方は、ぜひお気軽にCONTACTよりお問い合わせください。