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2022/12/06

データ起点でビジョンを描く。データストラテジーに基づくAI・機械学習ソリューションとは(後編)

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データドリブンな経営が求められ、データ取得を行う企業が増えていますが、ただ取得しただけでは決して十分ではありません。データを分析・利活用してビジネスのビジョンを描き、実現することが大切なのです。本記事では、データ活用によるビジネスコンサルティングを推進している株式会社電通デジタル ビジネストランスフォーメーション(BX)部門 データストラテジー事業部の小西良太氏にインタビュー。

前編ではデータドリブンな戦略策定、データストラテジストによるAI・機械学習の活用事例について、小西氏に語ってもらいました。後編では、小西氏のチームが多くの企業に提供している「AIワークショップ」について、その具体的な内容や活用事例について詳しく聞いていきます。

データ利活用に関する課題を相談できる個社別「AIワークショップ」

株式会社電通デジタル 小西 良太氏

Q.「AIワークショップ」ではどのようなことを行っているのか、あらためて詳しく教えてください。

小西:AIについての勉強会やレクチャーはいろんなところで実施されていると思います。その中で私たちが実施している「AIワークショップ」は、いわゆるオープンに展開されるようなウェビナーではなく、個別企業に対して行っているのが特徴の1つです。時間は90分で、初めに、AI・機械学習でできること、強みと弱みなどを解説。その後、AIのユースケース、ビジネスにおける活用事例を紹介していきます。また、これまでも多くの企業がAIプロジェクトにトライしていますが、成功例は少ない、という現実もあります。なぜうまくいかないのかという問題点についても説明し、失敗リスクの軽減策もお話しします。

最後の30分間はフリートークセッションのお時間。このコーナーでは、AI・機械学習についてインプットした上で、クライアントさまがどんなビジョンを描きたいのか、どんなビジネス課題を抱えているのかなど、相談事をお話ししていただきます。セミナーの内容を自分ごと化していただき、課題解決につなげることを目的にしているんです。

Q.「ワークショップ」という名称ながら、コンサルティングの要素も含まれているのですね。個別に開催するのも、各社の相談事を深掘りするためでしょうか。

小西:そうですね。もちろんそれもありますが、誰でも参加できるオープンなウェビナーの場合、気軽に参加できる良さがある反面、参加意識がバラバラになることもあります。個別に実施することで、具体的な目的意識を持って参加していただけるので、より実践的なインプットになるのではないか、という思いがあります。また、参加する企業ごとに課題感や興味のあることなどを事前に伺い事例紹介をカスタマイズすることで、参加いただく企業にとって個別に適した事例、強みを紹介することもできています。

また、「AIワークショップ」の開催時には、同じ企業の中でも、なるべく幅広い部署の方に参加していただくようにお願いしています。AI活用、企画の策定は、どこか1つの部署だけで先行するとうまくいかないケースが非常に多いからです。AI・機械学習をビジネスに取り入れて、それを有効に利活用していくためには、幅広い部署のサポートが必要。データに関わる部署だけでなく、戦略を立てる部署、施策を実現する部署、資金調達をする部署などの連携が欠かせません。社内の認知・連携が必要だからこそ、さまざまなバックグラウンドを持つ方々に参加していただくことが大切だと考えています。各部署から複数名、できればある程度の決裁権を持つ方にも参加していただくのがベターです。

CDPの高度活用、ECのグローバル戦略など、幅広い課題に対応

Q.どのような企業が「AIワークショップ」を受けて、その結果どのような効果があったのでしょうか。

小西:3つの代表的な事例を紹介しますね。

金融業界の企業の事例
金融業界の企業からは、CDPの高度活用についてご相談がありました。「顕在顧客は捉えているものの、準顕在顧客、潜在顧客にどのようなアプローチをすればいいか分からない」「現状ではWebサイトを訪れていないものの、商品やサービスに関心を持ちそうな人にアプローチしたい」というお話でした。

しかし、先方の要望を直接的に実現するためのデータがなかったため、アンケートを取得して、その結果を基に潜在顧客の推定モデルを作るといった代替手段を協議。そして、特定の金融商品を購入する確率をAIで算出し、メールによるアプローチを自動化するモデルをご提案しました。

家電業界の企業の事例
家電業界のある企業とのお取り組みでは、グローバルでのEC分析環境整備を行いました。当初「世界各国の支社がそれぞれECサイトを運営しており、データが散在している」「CDPを導入して一元管理し、高度のデータ利活用を実施したい」という課題をお持ちだったのですが、ディスカッションを繰り返すうちに、どのような未来を目指すのか、構想策定をまず考えるべきだという気運が高まっていったのです。そこでEC領域のグローバル戦略について、データを使ったコンセプト設計のお手伝いをさせていただきました。

アパレル業界の企業の事例
アパレル業界のある企業では、CDPの導入をしたものの、その先の活用法が見いだせないというご相談をいただきました。そこで、AI・機械学習で解決できそうな課題をリストアップし、優先度を決めるワークショップを開催。そこから、顧客の活動状況に応じてエンゲージメントレベルを判定する仕組み、顧客ポートフォリオ(既存保有顧客のさまざまな基軸での分布状況)の可視化、それらのデータと既存メールシステムとの連携など、将来的なCDP活用について提案させていただきました。

CRM領域と親和性の高いAI・機械学習

Q.お話を伺っていると、個々のクライアントさまに寄り添って、データの利活用をサポートすることを大切にしているということですね。長いスパンでクライアントさまと並走する上で、難しさを感じることはありますか?

小西:私たちにとって最も重要なのは、スタート地点で「この人たちに託していいのだろうか」という不安を払拭できるか、ということだと思います。データの利活用構想と言われても、企業にとっては自分たちのビジネスをどれだけ強化・向上させてくれるのか、なかなかイメージがつかめないことが多いはずです。広告のように、見た目にも分かりやすいものと比べると、理解に時間が掛かることが多いので、まずファーストコンタクトできちんと信頼いただけるようなチームとしてご認識いただけるか、が大きなテーマとなっています。また、データの利活用と言っても、私たちは分析だけをするわけではありません。ビジョンを先に考えないとプロジェクトがうまくいかないケースが多いという点を、クライアントさまにご理解いただくことが非常に重要ですから、そこには心を砕いて丁寧にご説明をするようにしています。

Q.昨今は、多くの企業でデータの利活用を促進しています。とはいえ、まだAI・機械学習の活用にハードルを感じているところもあるのではないかと思います。特にどのような業種、どのような課題感を持っている組織にAI・機械学習の導入を勧めたいと思われますか?

小西:一般的な話をすると、AI・機械学習による効果が出やすい部署・領域はCRM(顧客関係管理)です。顧客のデータがそろっていて、顧客育成の効果を最も感じられる領域と言えるでしょう。もちろん、AI・機械学習にはいろいろな使い方がありますし、AIはあくまでも手段であり解決策ではありません。ただ、未来を予測するのはAIの真骨頂。どのような顧客にアプローチすべきか、顧客データに基づいてどのようなアクションを起こすかという予測が効くのはCRMです。CRMに課題を感じている企業には、特に検討いただきたいと思います。

 


 

既存のデータを分析するだけでなく、ビジネス課題を掘り下げ、ビジョンや戦略から見直す電通デジタルのAI・機械学習ソリューション。データストラテジストの俯瞰的な視点を加えることで、ビジネスに大きな変革がもたらされるかもしれません。

今回ご紹介した「AIワークショップ」だけではなく、さまざまな企業・団体のご要望や課題に応じて、AI・機械学習に関連したソリューションの提供が可能です。データの利活用に取り組みたい企業の方は、ぜひCONTACTよりお気軽にお問い合わせください。

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株式会社電通デジタル

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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