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2022/12/12

あらためて「TikTokの使い方」を考える~専門プランナーが語る、TikTokのマーケティング活用最前線~

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SNSやデジタルプラットフォームは、今やマーケティングに欠かせないツールになりました。一方で、その種類が増えるにつれ、「どれを活用したらいいのか分からない」「それぞれどんな特徴があるのか分からない」という人も多いのではないでしょうか。活用してはいるけれど、本当に今のやり方でいいのだろうか。ターゲットは合っているのか、商材に親和性はあるのか、発信しているコンテンツは本当に喜ばれるものになっているのか……いつの間にか足元がおろそかになってしまっていることに課題感を覚えている人もいるかもしれません。

そこで本記事では「あらためて、SNSやデジタルプラットフォームの基本に迫る」ため、「TikTokの最前線」について、株式会社KAIKETSUの佐々木亮佑氏にインタビュー。佐々木氏は、TikTok専門のプランナーとして、TikTokの使い方やYouTubeなど他のプラットフォームとの組み合わせ方、最新のトレンド情報などをクライアント企業に提供。さらに「その商材であれば、このようなクリエーターを活用してこんな企画をやったらいいのでは」という具体的な企画も提案し、制作進行まで手掛けています。

現場ならではの知見は、TikTokの活用を検討している方はもちろん、既に活用しているという方にとっても、新たな気づきのきっかけとなるかもしれません。

TikTokの特徴とは

Q.「TikTokを知らない」というマーケターはほとんどいないと思うのですが、それでもさまざまなプラットフォームが世の中にあふれる中で、「実はそれぞれの本当の特徴をよく理解できてはいない」という人も多いと思います。マーケティングツールとして専門に向き合っているプランナーから見た目線で、あらためて「TikTokの特徴」について教えていただけますか。

佐々木:数ある動画共有サービスの中でも、TikTokの最も特徴的な要素は、「自分で見たい動画を検索しなくても、『おすすめ』で流れてくる動画をほぼ“無意識状態”で見ることができる」という点です。ユーザー視点で言えば、視聴がとても楽だ、ということになります。その上、「今はやっているもの」がどんどん流れてくるので、流行を認知するスピードが非常に早くなります。

また、TikTokのレコメンドシステムは独特で、投稿者のフォロワーがたとえゼロだとしても、必ず誰かの目に留まり、少なくとも数百回程度は再生される可能性が高くなっています。ですから、何の実績がなくてもフォロワーが少なくても、誰でもバズって一気に拡散される可能性があります。つまり、投稿する側にとっても、投稿したくなるような環境が整っているのです。

そんなメディアでありながら、広告メニューが非常に豊富にそろっており、大きくリーチが取れるようなメニューもありますので、企業にとっても使いやすいプラットフォームなのではないかと思います。
株式会社KAIKETSU 佐々木亮佑氏

どんなものが流行っているのか

Q.最近の流行で言うと、どんなものがありますか?

佐々木:まず大前提として、ショートムービーが非常に人気です。ひと昔前のイメージで「ダンス動画が多い」と思っている方も多いかもしれませんが、今では文字ベースの日記スタイルやVlog(Video+Blog)、ショートドラマ、教養など、表現においても非常に広がりのあるメディアへと進化しています。

もう1つ特徴的なのは、音楽に強いということです。TikTokで使われてはやった音源が売れる、ということも起こっており、TikTokで音楽におけるトレンドの最先端にも触れることができます。TikTok自身がクリエーターを積極的に支援していることもあり、動画コンテンツはますます広がっていくのではないでしょうか。

TikTokと相性がいい商材は幾つかありますが、中でも500円以下の手ごろな商品やアプリ系は相性がいいと思います。特に「プチプラコスメ」と呼ばれるような、低価格帯の美容コスメは、人気クリエーターもたくさんいて賑わっている印象です。Vlogの中で商品の良さを伝えたりしていますね。

実のところ、TikTokの視聴者は、年齢層としては幅広く存在しています。企業のマーケティングにおいても、最近はさまざまな業界・業種でいろんなプロモーションが行われるようになってきました。例えば映画のプロモーションが挙げられますね。そして、少し変わったところでは飲食店のプロモーションも行われています。飲食店のクチコミサービスと連携しており、リンクが貼られていて、気になったらすぐにそのサービスサイトに飛び、情報をチェックしたりオンライン予約ができたりします。「気になったら、その先に飛んで、そのまま買う/予約する」ということができるので、飲食店や出版社などがTikTokを活用するケースが見られるようになってきています。

SNSやデジタルプラットフォームの使い分けが多様化している

Q.お話を伺っていると、TikTokのコンテンツや使われ方は、かなり広がってきている印象を受けますね。

佐々木:TikTokの投稿を評価するレコメンドシステムで「完全視聴率(動画が表示された回数のうち、30秒以上、もしくは最後まで視聴された場合の割合)」は重要なポイントだと考えています。その中で、音楽も重要な要素ではあるのですが、最近は字幕などの文字を入れることで、音が出せなくても内容が分かるようになっている動画もあります。これなら、例えば防水スマホならシャワーを浴びながらとか、お風呂上がりにドライヤーをかけながらでも見られますよね。こうした工夫で、コンテンツを楽しめるシーンが広がったことで、あくまで個人的な感覚ではありますが、10分以上の動画もしっかりと最後まで視聴されるようになっていると思います。

最近は、SNSやデジタルプラットフォームの使い方がいろいろと変わってきているのだと思います。例えば、飲食店は地図アプリケーションで探す、という人もずいぶん増えたようです。内容や目的に応じて、使い分けがかなり高度化してきているのを感じます。

TikTokは、無限に動画コンテンツが流れてくるので、つい見てしまうし、結果的に見ている時間も長くなります。「おすすめ」として流れてくるのを見ているだけでも楽しい、という声も聞かれます。しかもレコメンドシステムが素晴らしいので、「同じものばかり『おすすめ』される」ことにはならず、何も考えずに見ているだけで、どんどん新しいものに出会える、という状況があります。

これは、マーケティングに活用したい企業からみれば、フォロワーがゼロ状態でいきなり投稿するだけでも、誰かと偶然出会い、面白ければ買ってくれる、ということが起こり得るので、気軽に試すには非常に適したツールだと言えるわけです。ユーザーは、つまらないと思えばすぐにスワイプして飛ばしてしまえばいいので、非常に自由な状況です。だからこそストレスが少ない状態でコンテンツを楽しめますし、それが企業のPR投稿でも、面白ければじっと見る、ということも起こりやすくなっています。

また、とにかくスピードが速いというのもTikTokの特徴です。人気のクリエーターは、はやりに乗るのが非常に速くて、その日のうちに撮影して編集し投稿までする、というスピード感で取り組んでいます。アプリ内でそれなりの動画編集ができるというのがそのスピード感を支える大きな要因の1つだと思いますね。私も基本的にTikTokを毎日見るようにしていますが、たまたま2~3日見ないでいると、あっという間に流行に取り残されてしまう、なんてことが当たり前に起こるのです。

TikTok活用にあたっての注意点や、活用の意味とは

Q.TikTokをマーケティングに活用したい人に向けて、「TikTokを活用するならここに注意すべき」というポイントを教えてください。

佐々木:何と言っても重要なのは、クリエーターの選び方ではないでしょうか。数字で言えば、フォロワー数くらいしか指標がないのですが、ただフォロワー数が多いからいい、というわけではありません。普段どういう投稿をしているのかをきちんとチェックし、その内容やコンテンツのつくりかたが自社のやりたいことと合っているかどうか、という視点で選ばなければいけないと思います。

加えて、ユーザーはわずか0コンマ何秒という世界で、そのコンテンツを最後まで見るかどうかを判断していきます。ですから、サムネイルは非常に重要ですし、「最初の2秒で顔が映っている方が再生数が伸びやすい」といったケースもあります。とにかく0コンマ何秒の争いの世界で、それだけで再生数が数万回と違ってきますので、コンテンツづくりは妥協せずにしっかり取り組むべき領域だと思います。

Q.あらためて、これだけ世の中にメディアやプラットフォームがあふれている中で、TikTokを企業のマーケティングに活用する意味はどのようなところにあるとお考えでしょうか。

佐々木:ただ「知ってもらう」というよりは、「気になる存在にさせる」という出会いやきっかけを演出するには適したプラットフォームだと思います。目的に応じた広告メニューもいろいろとそろっていますし、クリエーターの活用もしやすい環境が整っています。また、ショートムービーが広がってきている中、商品を使用した生の声なども伝えやすい。クリエーターを通じて、使用体験を拡散できるプラットフォームとして活用できるでしょう。

ただ、多くの企業やマーケターの皆さんにとっては、チャレンジングなプラットフォームだというイメージがまだまだ強いかもしれません。マーケティング活用という点から言えば、YouTube利用は圧倒的ですし、Instagramも市民権を得たのではないかという状況です。それらに比べれば、TikTokはこれからのプラットフォームだ、と言えるかもしれません。それでも、明らかにTikTokを活用する企業は増えてきていますので、これから本当の意味で本格化していくのかもしれない、と思っています。

 


 

マーケティング視点から見たときのTikTokの最大の特徴は、「偶発的な出会い」が起こり得るところにあるのではないでしょうか。コンテンツがあふれるプラットフォーム上においては、フォロワー数や視聴回数などの「実績」がないとなかなか見てもらうことができませんが、TikTokでは、実績がなくとも再生されるので、クリエーティブ次第では多くの人に見てもらえることが可能となります。

このように、プラットフォームの特徴をしっかりつかんで、最適な活用方法を考えることも、マーケティングを成功させる上で重要な視点です。新たなプラットフォームが生まれたり、機能が追加されたり、日々さまざまな動きがある中で、使われ方やユーザー支持層が変化しているケースも多々見られます。常に最新のトレンドをチェックして、SNSやデジタルプラットフォームに対する情報を更新していくといいのではないでしょうか。

電通グループでは、各SNSやデジタルプラットフォームのメリット・デメリットをしっかりと把握し、商材に応じた最適なアプローチをサポートする体制が整っています。自社商品をPRしたいけれど、手段に迷っている……という担当者の方は、まずはCONTACTよりご相談ください。

 

「FOMO / JOMO」を始めとしたトレンドワードを知るために、こちらもご参考ください

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株式会社KAIKETSU

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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