2023年2月、企業のDX支援を行う株式会社GNUS(ヌース)は、大企業の管理職500名を対象に実施したDX調査の結果を公表しました。この調査結果から、「DXの成果に十分満足している企業はわずか6%しか存在しない」ということが判明。なぜDXの成果に十分満足している企業がここまで少ないのか、また成果に満足している企業としていない企業との差はどこにあるのか、本調査を実施したGNUSに立ち上げ時からビジネスアーキテクトとして参画し、さまざまな企業のDXに携わってきた栗林祐輔氏に話を聞きます。
「プロダクト開発」の視点で、DXの現状を調査

Q.まずは栗林さんの経歴を教えてください。
Q.現在は主にどのような業務を担当されていますか?
Q.今回、大企業の管理職の方々を対象に、自社のDXの状況や成功の理由について調査を行うことになったのには、どのような背景があったのでしょうか。
自社のDXの成果に十分に満足している企業は、わずか6%
Q.今回の調査で、栗林さんが特に注目したところについて教えてください。

Q.DXに満足している企業と満足していない企業には、どのような違いがあるのでしょうか。
さらに、うまくいっている企業の40%が、1~2週間に1度以上というハイペースでアップデートしています。特に、デザインなど細かな部分の修正に関しては、多くの企業が実施しているようですが、「ユーザビリティの調整・改善」や「新規機能の追加・拡張」といった、よりサービスの根幹に関わるような見直しについては、うまくいっている企業の方が積極的に取り組んでいるようです。こうした結果を踏まえると、やはりユーザーからのフィードバックを受け、1つひとつ改善していくことが肝になると言えます。

Q.理念や計画だけが先行するのではなく、具体的にサービスを開発し、世に出し、適宜アップデートしていくことが、DXの成果を高めるために重要だということですね。他にも、何かポイントはありましたか?
また、「課題・障壁」に関しては、うまくいっている企業・いっていない企業ともに「ユーザーニーズの理解」が最も難しいと回答しているので、これは当社としても注力していくべきところだと感じています。
では、ユーザーニーズを理解するためには、何をすべきなのか。「ユーザーニーズ理解のために重視していることは?」の回答を見ると、「実利用データ分析」や「定量アンケート」は、うまくいっている企業でも、いっていない企業でも実施されているところが多いようですが、一方で「モックアップ・プロトタイプの作成」「アジャイルプロセス(短期間で実装・テストを繰り返しながら開発を進めていく手法)の導入」「エスノグラフィ調査(対象者と一定期間生活を共にし、行動を観察する手法)・観察調査」などは、うまくいっている企業の方が高い割合で実践されています。この結果を見ても、データ分析だけではなく、実際にプロダクトを提示してユーザーの意見を聞く工程や、具体的なフィードバックを基に改善する工程がキーになっていると考えられます。

自社のDXの成果に満足している企業・していない企業の違いが明らかになったことで、DX成功のために必要な取り組みや心構えが見えてきました。後編では、栗林氏自身が数々の企業のDXに携わる中で感じている課題や、これからDXを推進していきたい企業に伝えたいことなどを聞いていきます。
DXを自社でも推進したい思いがあるものの、何から手をつけていいか分からないという企業も多いかもしれません。最初の一歩を踏み出せずにいるのであれば、一度専門家に相談するのも一手です。話を聞いてみたいという方は、お気軽にCONTACTよりお問い合わせください。