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2023/08/07

あらゆるイベントに最適な場を提供する、会場検索サービス「VENUE LINK」開発の舞台裏(前編)

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株式会社電通ライブは、2023年7月24日にイベント会場情報検索サイト「VENUE LINK」(ベニューリンク)をリリースしました。このサービスは、同社がこれまで培ってきたイベント実施の実績を踏まえ、その会場リサーチや選定に関する知見やノウハウをもとに、誰もが使える「イベント会場検索サービス」として開発・提供されたものです。

イベント実施やスペースプランニングのプロフェッショナルである同社が、広くイベント開催を検討するユーザーに向けて、会場情報検索サイトを立ち上げたのはなぜなのか。開発に至った背景や、コロナ禍を経て多様化するリアルイベントへの思いなどを、サービス担当の野田真史氏と小俣恵里香氏に聞きます。インタビュー前編では、新サービスの背景と具体的な内容を紹介します。

イベント・スペース専門会社が手掛ける、イベント主催者向けの新たな事業

Q.イベント会場情報検索サイトの開発・運営は、電通ライブとしては初めての試みだそうですね。今回はなぜこうしたサービスを開始したのか、という点にスポットを当てて聞いていきたいと思います。ひとまず、「VENUE LINK」開発に当たったお2人の、これまでのご経歴をお話しいただけますか。

野田:私は電通ライブの前身である、株式会社電通テックに入社以来、常にイベントやスペース周りの仕事に従事してきました。各種メーカーの発表会やプロモーションといったイベント関連が中心ですが、国際的な大型イベントのプロデュースやポップアップショップなどのスペースづくりも担当し、イベントスペース領域に幅広く携わってきました。

現在は、2022年に発足したビジネスクリエーション室(現・ビジネスクリエーションユニット)に所属し、新規のクライアントや案件開発を中心に担当しております。このビジネスクリエーションユニットにて「VENUE LINK」のサービス提案を会社に行い、プロジェクトを立ち上げました。
株式会社電通ライブ 野田 真史氏
小俣:私も最初は電通テックに入社し、スペースデザイン部というスペース領域の部署にいました。そこで3年間、ポップアップショップなどの店舗設計やイベントでの空間づくりに携わっていました。私は建築などを専門的に学んだ経験がなかったので、当初は戸惑うことも多かったのですが、スペースづくりの基本を学ぶことができました。

その後、株式会社 電通に1年ほど出向、イベントのプランニングの仕事をした後に、電通ライブに入社することになりました。現在は外資系・ラグジュアリー系クライアントのブランドプロモーションを主に担当しています。同時に、野田と同じビジネスクリエーションユニットに所属し、「VENUE LINK」のサービス立ち上げを進めてきました。

Q.今回のサービスの企画・制作を行ったのは、お2人が所属するビジネスクリエーションユニット、ということですね。どういった組織なのかをもう少し詳しく教えてください。

野田:コロナ禍で「リアルイベント」の需要が急減した事をきっかけに、「時代に即した、新たな活動領域の模索、さらには、従来型の請負・受け身型ビジネスから脱却し、電通ライブ独自のフロントモデルを構築」といった機運が一気に高まり、2022年1月にビジネスクリエーション室が発足しました。イベントスペースのプロフェッショナリズムは保持しながらも、新規ビジネス、事業創案、広告主との直商流開拓に取り組む組織としてスタートし、2023年には、IP事業・関西チームも合流し、ビジネスクリエーションユニットというさらに進化した組織に発展しました。
小俣:コロナ禍などを経て、イベントのやり方は大きく変化していると思います。その大きな流れに対応するために、ビジネスクリエーション室が誕生し、大きなチャレンジの1つが「VENUE LINK」です。

イベントを開催したいユーザーと、会場との最適なマッチングを目指すサービス

Q.電通ライブの新たなるチャレンジなのですね。では「VENUE LINK」の具体的なサービス内容を紹介してください。

株式会社電通ライブ 小俣 恵里香氏
小俣:このサービスの根底にあるのは、電通ライブの「世の中に1つでも多くの感動体験を生み出すきっかけをつくりたい」という思いです。たくさんの人により良いイベントを開催してもらうため、イベント開催を検討しているクライアントさまや制作会社さまと、そのイベントに最適な会場情報をマッチングさせることが、このサービスの狙いです。

イベントや会議などに使用する会場検索サービスは既に存在しますが、「VENUE LINK」は主としてビジネスユースでの利用を意識して、それに適した会場の情報に絞り込んでいます。掲載する会場の選定から検索方法に至るまで、電通ライブの知見とノウハウを取り入れることで、初めてイベント開催を担当するというユーザーの方にも、使いやすく分かりやすい、そして、イベントのイメージが膨らむような検索サービスとなることを目指して設計しています。

具体的には、第一に、「利用イメージ検索」という検索スタイルを設けていることです。これは、「車両展示ができる」「オンライン配信イベントが得意」「長期のイベント開催ができる」など、ユーザーが利用したいイメージと会場の特色を結び付けた検索スタイルです。この機能で会場をピックアップし、その中から必要条件を加えて選択すれば、大きなミスマッチを防ぐことができます。

第二に、必要条件について、ユーザーにとってより有効な項目を設定しており、目的や実施スタイルに合わせた検索が可能です。実際にイベントを開催する際には、会場の広さや設備だけでなく、設置や撤去の作業は24時間行えるのか、荷さばき場の有無、来賓を誘導するためのルート、といった制作・運営視点での情報が非常に重要です。会場探しの時点でそうした検索項目があれば、希望のイベントスタイルにマッチした検索が実現できると考え、今回、詳細検索の条件項目に入れ込んでいます。
TOPページから、誰でも簡単に検索できるデザイン・UI設計に。さまざまな条件検索に加え、利用イメージからの検索も可能。
野田:サイトの設計面では、ユーザーにとっての利便性や実用性の高さを強く意識しています。例えば、エリア検索の結果は、マップ上でも確認できます。「新宿エリア」「渋谷エリア」といったくくりでの会場リストアップでは、すぐ近くのエリアにある会場がリストに載らないということが多くあります。しかし、マップからの検索ができれば、イメージしていたエリアからほんの少しだけ外れている会場を見落とさずに済みますし、「山手線の内側」といった、住所だけでは探しにくい検索も可能です。会場自体だけでなく、周辺のロケーションも含めて、よりイベントに適した会場を検討するために役立つと思います。

また、会場を検討する際、幾つかの候補を比較して検討することが多くありますが、この「VENUE LINK」では、複数の会場検索結果の比較表をサイト内で簡単に作成することができます。私たちがこれまで会場探しや提案資料づくりに携わってきた経験から、あれば役立つ、便利だなと思える実用的な機能はなるべく実装しています。
MAP検索のイメージ
小俣:もし、ユーザーが解決できない課題が生じた場合や、よりグレードアップした提案をしたい場合には、ワンクリックでプランニングを依頼できる「プロに相談」という窓口をサイト内に設けています。イベントのプロとしての電通ライブのスタッフがご相談に応じることも可能です。
野田:加えて、ユーザーからは見えにくい側面ではあるのですが、「VENUE LINK」は掲載する会場から一切の掲載料をいただいていません。私たちがイベント開催に適していると考える会場を、可能な限り多く掲載したいという思いから、会場側の皆さまにとっても参加しやすい仕組みにしています。実際、検索サイトなどの掲載を断っていた施設でも、電通ライブでの使用実績や担当者との信頼関係を基に掲載の許可を出してくれたところもあります。ユーザー側にとっても会場側にもとっても利点がある、より良いイベント開催のためのサービスが、「VENUE LINK」なのです。

 


 

電通ライブの新たな挑戦としてスタートした「VENUE LINK」は、イベント開催のプロならではの工夫が詰まった会場情報検索サービスです。主催者にも会場側にもメリットのある最適なマッチングによって、今後、数多くのイベントが開催されることが期待できます。後編では、「VENUE LINK」をユーザーにどのように役立てほしいか、といった開発サイドの思いや、今後の展開について紹介していきます。

イベント制作会社をはじめ、各企業のイベント開催担当の方、また、施設所有者の方で「VENUE LINK」のサービスに興味を持たれた方は、お気軽にCONTACTよりお問い合わせください。

この記事の企業サイトを見る
株式会社電通ライブ

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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