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2023/04/24

福岡の未来のために。SDGsを通じて手をつなぐ、地域企業と子どもたち(前編)

INDEX

2022年9月より、株式会社西日本シティ銀行、株式会社西日本新聞、RKB毎日放送株式会社、株式会社電通九州、以上4社協業のSDGsプロジェクト「未来をつくろう Make Fukuoka SDGs」がスタートしました。このプロジェクトは、異なる業種の4社がタッグを組み、協業ならではの事業支援と情報発信によって福岡地域の企業のSDGs機運を醸成し、取り組みの活性化を目指すものです。

今回は、プロジェクトの中心メンバーである6名に、協業に至った背景やプロジェクトの詳細、今後目指す形などについてお話しいただきました。前後編の2回に分けてお届けします。

4社協業の強みを生かし、地域を巻き込むプロジェクトが発足

吉田:「未来をつくろう Make Fukuoka SDGs」は、SDGsに関する情報発信の頻度をわれわれの生活圏である福岡地域で高め、SDGsの機運をさらに醸成するために発足しました。電通九州には、コミュニケーション・プロジェクト設計などの企画推進力、RKB毎日放送さまと西日本新聞社さまには、テレビや新聞を通じた発信力があり、さらに西日本シティ銀行さまは、地元企業との強いつながりを通じ、地域を根底から支えています。「SDGsの取り組みを発信したいけれど、どうすればいいか分からない」という地元企業も少なくない中で、それぞれの知見、ノウハウを携えた4社がつながることで、SDGsに関する情報発信の支援がとても円滑になるのでは、と考えました。
米永:参考にしたのは、広島の「変わるけん。」というプロジェクトでした。広島では株式会社電通西日本と株式会社広島銀行、そして株式会社 広島ホームテレビの3社協業で進んでいたので、福岡でもそういった取り組みをぜひ始めるべきだと思ったんです。西日本シティ銀行さま、西日本新聞社さま、RKB毎日放送さまは、4社での協業プロジェクトの話が持ち上がった時、率直にどのような感想を持たれましたか?
山根:われわれ西日本シティ銀行では、SDGs関連の融資商品を数多く提供していますし、お取引のあるお客さまの中にはSDGsの取り組みに熱心な企業さまも多くいらっしゃいます。その一方で、地方には中小企業が多いので、発信の手段が得にくいと困っている方も多かったんですね。銀行のサービスはこれまではどうしても「お金を借りる・預ける」が中心で、ブランディング面での支援が難しかった。そんな時、当行の広報文化部に、本件のお話が来ていると聞いたんです。
株式会社西日本シティ銀行 山根 勇樹氏
渡:そうですね。私たちはSDGsに対するお客さまの意識の高まりは感じつつも、SDGsに関わるさまざまな取り組みをしているのに、発信方法が分からないといった声をたくさん聞いていました。CMや新聞広告を出すにしても経験がなく、そもそもどこに問い合わせたらいいのか分からなければ相談相手もいない。このプロジェクトのお話をいただいた時、そういったお客さまに新たな提案ができるということに魅力を感じました。
田中:私どものような新聞社にとっては、広告会社や銀行、テレビ局などの企業と協業すること自体はそれほど珍しくありません。とはいえ、1社ずつ提携するのではなく4社がまとまる、という今回のケースは稀有な例ですね。こうした取り組みは、新聞社にとってもお客さまに対し一段上のご提案をするきっかけになりますし、継続することでさらなる価値をご提供することもできるようになると思っています。
山本:当社・RKB毎日放送は、以前から「SDGメディア・コンパクト」という、国際連合が、世界各国の報道機関によるSDGsの情報発信を促す取り組みに加入して、SDGsプロジェクトを進めていたんです。その流れで電通九州さまがわれわれの取り組みに注目していただいたことで、今回の協業につながりました。こうした取り組みを1社でやろうとすると労力はもちろんハードルも高いので、なかなか踏み込むことができません。しかし、こうしてそれぞれの強みを持つ3社とご一緒できればかなりハードルが下がり、取り組みやすいものとしてご提案ができます。4社協業の強みは大きいですね。

「子どもの熱意」がもたらす、新しい気付き

吉田:プロジェクトの核となっているのは、SDGs最終年の2030年に大人になっている、現在小学生の子どもたちが、地元の企業で働く大人に取材をして、「この会社はこんな取り組みをしている」と記事を作って発信する企画です。参加してくれる子どもたちのことを「未来リーダーズ」と呼び、記事はプロジェクトのWebサイトや協業各社のメディアに掲載されるのですが、そもそも「子どもたちが主役」になった背景には、福岡が抱える地域課題がありましたよね。
株式会社電通九州 吉田 考貴氏
米永:そこは、大きなポイントでしたね。市という単位で見ると、福岡市には地元愛が強い人が多く、市外からも人が集まってくるので、人口そのものは少しずつ増えています。ただ、他の地域と同じように外に出る若者も少なくない。福岡県全体で見ると、若者の流出は依然として課題なんですね。ならばこれから大人になる子どもたちに「もっと福岡に関わりたい」と思ってもらえる地域にしたいという目標を掲げ、未来リーダーズという主人公をおくことにしたんです。皆さんは、「未来リーダーズ」という存在については、どう感じられていますか?
田中:新聞でSDGsを報道する際は、環境や脱炭素など、なかなか険しい話題が多くなりがちです。しかし、現場の中小企業はポジティブに取り組んでいることも多いですから、未来リーダーズたちの希望あふれる視点で見てもらい、発信を行うのは意味のある取り組みだと思います。
山根:SDGsは今や高校、大学の授業にも取り入れられていますし、若者の認知度が高いトピックです。子どもたちにフォーカスすることで、もっと教育機関を巻き込みながら、推進することもできるのではないのでしょうか。
山本:そうかもしれませんね。未来リーダーズのアイデアが出た時、ポジティブなイメージにあふれていて、素直に「楽しそうだな」と思いました。企業の取り組みを大人が紹介すると、どうしても堅い内容になってしまいがちですし、受け手としても自分ゴト化しにくい。一方、子どもの視点が加わることで「子ども世代はこう感じるんだ」という新鮮さが加わり、クリエーティブでも面白くなるのでは、と思っています。
渡:子どもから企業の大人たちに気付きを与えることもできそうですね。
米永:私も、未来リーダーズたちの取材に同行したときにそのことを感じました。取材の際、彼らから出た質問の中には「未来についてどう思いますか?」とか、ちょっとドキッとしちゃうような、大人であればストレートすぎて聞けないことを真っすぐ聞いていて。それに対してインタビューの受け手である企業担当者もしっかりと答えていて、子どもたちの真っすぐな疑問に対して大人も真剣に向き合う、素敵な時間だなと感じました。
田中:私も同行した際に思ったのですが、持参したノートに質問をびっしり書いている子がたくさんいて驚きましたね。彼らなりに、未来について一生懸命考えているんだと胸が熱くなりました。西日本シティ銀行さまや電通九州さまが、未来リーダーズたちに各企業の紹介やSDGsの取り組みをあらかじめ丁寧にご説明していたことも大きかったと思います。
株式会社西日本新聞社 田中 稔大氏

 


 

業種の異なる4社が協業し、子ども視点で地域企業の魅力を探る。それによってSDGsの機運が高まるだけでなく、企業のさらなる成長を促し、子どもの教育にも貢献する。それが「未来をつくろう Make Fukuoka SDGs」の要点です。続く後編では、このプロジェクトに寄せられた反響や今後の展開、福岡の地域課題について、より詳しくお話いただきます。

「未来をつくろう Make Fukuoka SDGs」に興味のある方はもちろん、SDGsへの取り組みや地域経済の活性化について、さらなる知見を得たい、という方は、ぜひ一度電通グループにお問い合わせください。まずはCONTACTから。

この記事の企業サイトを見る
株式会社電通九州

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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