CX
2023/09/04

デジタル時代の“新・お客さま関係づくり”が購買間のブランド体験をデザインし、顧客エンゲージメントを強化。「アクションベースロイヤルティプログラム」が提供する新たな価値

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新型コロナウイルスの影響やテクノロジーの急速な発展により、デジタルを用いたロイヤルティマーケティングに力を入れる企業が増えています。しかし、自社アプリなどで顧客との接点をつくっていても、それがなかなか継続購買につながらないという課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。

そうした課題解決のため、チーターデジタル株式会社、株式会社 電通株式会社電通デジタルの3社が協業し、購買以外のアクションで顧客の信頼や愛着度を高める「アクションベースロイヤルティプログラム」の提供を2023年4月より開始。3社それぞれの強みを生かし、ロイヤルティ戦略における新たな価値の創出に取り組んでいます。そこで今回は、本プロジェクトに携わった電通の植田みさ氏と電通デジタルの越久村克士氏に、プログラムの概要や今後のビジョンなどについて話を聞きました。

ロイヤルティ戦略の新たなかたち。顧客行動のデータ分析で顧客との関係維持を可能に

Q.まずは「アクションベースロイヤルティプログラム」の概要や立ち上げの背景について教えていただけますか。

植田:昨今、購買を継続してもらうための施策として、ロイヤルティマーケティングを強化する企業が増えていますが、その方法として多いのが、自社アプリやさまざまなプラットフォームを使ったポイント付与やクーポンによる値引きサービスの提供です。こうした購買型のポイントプログラムには、購買と購買の間の空白期間に顧客の関心が薄れ、離脱が生じてしまうことに1つの課題がありました。

値引きは「お得でうれしい」というお客さまはもちろん数多くいらっしゃいます。しかし、一方で、「このブランドが必要」「大好きだからこの企業にお金を払いたい」など、目に見えにくいブランドへの愛情は確実に存在しているのではないでしょうか。そうした視点で見た時に、顧客とのつながりである自社アプリやプラットフォームを、瞬間的な購買の接点のみの使い方にとどめていいのか?という課題意識が、今回の「アクションベースロイヤルティプログラム」を始めるきっかけでした。

このプロジェクトは、購買と購買の間に、動画視聴やイベント参加など、そのブランドをさらに好きになってもらえるさまざまな体験を提供し、顧客とのエンゲージメントを強化する施策です。購買以外のアクションで、中長期的な企業のロイヤルティ向上を支援します。
株式会社 電通 植田 みさ氏

Q.今回のプロジェクトは、チーターデジタルと協業で行われています。3社で取り組むからこそ生まれる強みはどんなところにあるのでしょうか?

植田:チーターデジタルは、アメリカでロイヤルティにいち早く注目して、それに伴う仕組みをいろいろと準備してきた世界的に実績のあるテックベンダーです。マーケティングオートメーションやロイヤルティ含め、顧客データや顧客解像度を上げていくためのゼロパーティデータの収集にも早くから取り組んできました。そうしたリレーションシップマーケティングに長けたチーターデジタルさんと一緒にプロジェクトができるということは、すごく心強いですね。

そのチーターデジタルさんと私たちが組むことで、クライアント企業さまに対してはツールをただご提供して終わるのではなく、どんな顧客体験をつくっていけるのか、それによって出た結果をもとに次はどのような手を打っていくのか、といったシステム側の運用のところまで一緒に伴走するというところに、価値が生まれていくのではないかと考えています。

Q.チーターデジタルさんは既にアメリカで多くの実績をお持ちだということですが、今回のようなソリューションは、海外では既に一般的なのでしょうか?

植田:アメリカではかなり進んでいるようです。例えば、いつも買っている商品にアプリ上で自分の好きな名前がつけられるサービスなど、顧客のエンゲージメントを高める施策がいろいろと登場してきています。そうしたユーザーの心をつなぎとめるサービスは、商品を買い続けてくれるきっかけになり、SNS上など、企業やブランドが把握しきれないところで好意的な口コミにもつながる。そうしたユーザーのアクションこそ、ロイヤルティとして評価すべきではないかといった考え方が、最近、特にアメリカではマーケティング全体に浸透してきているようです。

マインドセットを変革し、プロジェクトの有効性を高めたい

Q.「アクションベースロイヤルティプログラム」のリリース後、周囲からの反響はいかがでしょうか?

越久村:私が所属する部門からの反応で言うと、本プログラム以外にも今年は5、6本のリリースを出しているのですが、その中でも特に問い合わせが多かったですね。広告チームやクリエーティブチームなど、さまざまなチームから「クライアント企業さまへの提案に使いたい」といった非常にポジティブな反応が多く、提供者としてはうれしく思っています。
株式会社電通デジタル 越久村 克士氏
植田:継続的に購買やLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を上げていく購入後の施策強化という面で、クライアント企業さまからは「まさに課題意識があったけどできていなかったところだ」という反応が多く、「ぜひやっていきたい」と前向きに言っていただいています。

「アクションベースロイヤルティプログラム」は新規導入だけでなく、クライアント企業さまが既に運用している自社アプリやCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント:顧客関係管理)などのプラットフォームに後付けも可能です。そうしたテクノロジーの面でも良い反応をいただいていますね。

Q.一方で、このソリューションを広めていくにあたって、現時点で課題に感じていることはありますか?

植田:ロイヤルティ強化の取り組みを理解してはいただけても、実践に踏み出すまでは理解が進んでいないのかなと思います。「アクションベースロイヤルティプログラム」によってどれだけロイヤルティが向上するのか、知見をため、成功事例を作ることができれば、クライアント企業さまも安心して実践に踏み出せるのではないかと考えています。
越久村:購買接点ではいろいろと取り組んでいても、購買後の継続的なコミュニケーションに関しては施策が抜け落ちてしまう企業が多いのは、「すぐに売り上げにならない」と思われがちだからという面もあります。最終的には売り上げアップや、何らかの指標を開発してその指標を上げていくといった形で価値を提示していければと考えています。まだ道半ばなので、クライアント企業さまと共にこのプロジェクトの有効性を高めていきたいですね。

企業の事業成長をCXで支える、良きビジネスパートナーを目指す

Q.今回のプロジェクトは、ニーズがあって対処療法的にこのソリューションが生まれたというよりは、先進テクノロジーを導入することで可能になる世界があり、それによって新たな価値を生み出していくというチャレンジかと思います。現時点で想定しているターゲットはあるのでしょうか?

植田:ロイヤルティマーケティングやCRMに既に取り組んでいる企業、これからの企業、どちらも想定していますが、まずは前者のニーズを引き出していきたいと考えています。特に、自社アプリを持っていても施策がポイントプログラムにとどまっている企業では、お客さまの関心が薄れ、休眠してしまっているケースも多いと思います。「アクションベースロイヤルティプログラム」の強みは、この休眠顧客を起こしていくところにあると考えています。現状の取り組みに少しでも疑問や悩みがあれば、ぜひとも一度ご相談いただきたいです。

Q. 最後に、今後このプロジェクトやチームをどういうふうに成長させていきたいか、この先のビジョンについて教えてください。

植田:私の所属する電通のCXプランニング・センターは、マーケティングコミュニケーション中心の仕事が多いのですが、今回のプロジェクトのように、電通デジタルと一緒に組むことで、それがBXにもDXにも広がっていくというところは、まさにグループのシナジーだと感じています。ロイヤルティ戦略の課題に対して頼れるチームが電通グループにいるんだということを、まずは知っていただけるとうれしいです。

また、瞬間的に興味や認知度を上げて購買につなげるという「短期的なプロモーション」に頼るだけのやり方ではなく、中長期的な目線でクライアント企業さまの取り組みに伴走し、事業成長を応援し続けるというのが、私たちが実現していきたいことです。それが結果的にクライアント企業さまの売り上げに貢献するような、ビジネスパートナーとしての関係性を、CXを通してかなえていきたいと思っています。
越久村:組織や業務、顧客との関係性というのは、テクノロジーの力で変えていけるものだと思っています。仕組みや関係性を変えて、新しい売り方を実現していきたいといったご要望がありましたら、ぜひお気軽にご相談いただきたいです。

 


 

購買接点以外のアクションでロイヤルティを構築するアプローチは、テクノロジーの進化に後押しされ、この先日本でも新しい市場となることが予想されます。顧客との持続的な関係性の構築には、中長期的な視点でCXを設計していくことが重要。顧客ニーズの多様化に伴い、企業やブランドにはこれまで以上に深い顧客理解と継続的なコミュニケーションが求められそうです。

本プロジェクトをはじめ、電通グループではデータ・テクノロジーを活用したさまざまなマーケティングソリューションを提供しています。ロイヤルティ強化の効果的なアプローチを模索中の方は、ぜひCONTACTよりお気軽にお問い合わせください。

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株式会社電通デジタル 株式会社 電通

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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