ブロックチェーンを基盤とした次世代インターネット技術として、大きな注目が集まっているWeb3.0 。その市場は2030年には約11兆円を超えると言われ、NFTや暗号資産だけでなく、分散型自立組織(DAO)や分散型アイデンティティ(DID)、分散型金融(DeFi)、分散型アプリケーション(DApps)など、幅広い分野で既に市場が生まれつつあります。
このような状況に対応し、電通グループではビジネスデザイナー、クリエーター、コンテンツディレクター、データサイエンティスト、エンジニア、法務や税務などの専門家が結集し、Web3.0領域の幅広い課題解決を支援する横断型組織「web3 club™️(ウェブスリークラブ)」を設立。Web3.0事業の支援やソリューションの開発・提供を行っています。まずは「web3 club™️」設立の意図と、既に行われている取り組みについて、「web3 club™️」リーダーである株式会社 電通 事業協創局の越前康氏と、株式会社 電通グループ 電通イノベーションイニシアティブの文元慎二氏に話を聞きました。
コンテンツやエンタメに限らず、Web3.0の幅広い事業領域をオープンなかたちで盛り上げる Q.まずは「web3 club™️」とはどのような組織で、どのような事業領域を担当しているのか教えてください。
越前: 「web3 club™️」は電通と、R&Dを推進する電通イノベーションイニシアティブ(以下:DII)、電通グループのシステムインテグレーターである株式会社電通国際情報サービス(ISID)、新規事業の発掘育成を行う株式会社セプテーニ・インキュベートのメンバーからなる組織横断型チームです。Web3.0に興味がある人間なら誰でもウェルカムで、エンターテインメント領域の人、テクノロジーに強い人、クライアントのビジネス化を支援する人など幅広い人材が集まっています。 Web3.0はブロックチェーンを活用した次世代インターネットやWeb技術の領域全体を指します。よって私たちの事業はNFTやコンテンツ、エンターテインメント領域に限らず、あらゆる領域が対象になると言っていいでしょう。
株式会社 電通 越前 康氏 文元: Web3.0は既存のWeb2.0に対するカウンターカルチャー的な側面もありまして、1企業に閉じないオープンな形態を重視しています。私たちも電通グループだけに閉じず、さまざまな企業さまと協力し、コミュニティーとしてみんなでWeb3.0を盛り上げていきたい。そんな思いを込めて「web3 club™️」と名付けました。
Q.「web3 club™️」が発足してから、既に取り組んでいる事例はありますか?
越前: 「web3 club™️」の取り組みにはNFTプロジェクトやWeb3.0的な新しいCRMの構築など、いくつかカテゴリーがあります。ただ現時点ではまだ「Web3.0ってどうやっていけばいいの?」といったご相談も多いため、現在はそのような顧客企業さまのNFT周りのプロジェクトを進めていく仕事の割合が大きいですね。NFTの配布はDIIが出資している企業と連携しながら進めています。例えば、グルメ漫画のIPを使ったNFTの配布などがあります。
文元: Web3.0利用支援としては、今のところNFTを使った取り組みが中心になります。1つの具体例で言えば、NFTを販売してコミュニティーをつくり、ユーザーと共創関係を築きながらIPを盛り上げていく、というようなことですね。例えばNFTで発行した会員証を持っている人はアイドルの活動に関与できるなど、NFTを使ってアイドルを盛り上げていく、いわゆるWeb3.0ネイティブIPプロジェクトの取り組みを進めています。他には、スポーツの大会でキャラクターのNFTを配布したり、中東の国でのアニメイベント来場者にNFTを配布したりする取り組みにも着手し始めています。NFTを持っている人が公式サイトにログインすることで自分のNFTを見られる、あるいはユーティリティーを得ることができる。そのような取り組みにより、ファンによるコミュニティーづくりを行うというような構想です。
株式会社 電通グループ 文元 慎二氏 Web3.0のことなら何でも気軽にご相談を Q.「web3 club™️」は2022年9月に設立されましたが、これまでどのようなお問い合わせや反響がありましたか?
越前: クライアント企業さまからは「アドバイスが欲しい」「勉強会をしてほしい」といったお問い合わせが多いですね。Web3.0領域での突出したテクノロジーを持つ海外スタートアップからは「日本でこういう取り組みをしたいので参加してもらえないか」とったご要望もいただいています。以前のスタートアップは「Web3.0は大手がやるものではない」といった意識が強かった気がしますが、今はWeb3.0が事業化のフェーズに移っていることもあり、大手企業の力を積極的に借りようと考えるスタートアップが増えていると感じます。
Q.企業さまからは今後どのようなお問い合わせをいただき、応えていきたいと考えていますか?
越前: 去年の秋冬は「Web3.0って何ですか?」「うちにWeb3.0を使う余地はありますか?」といった漠然としたお問い合わせが多かったんです。しかし、そのような企業さまとセッションを続ける中で、少しずつ「自分たちのビジネスの中でNFTを使って何かやりたい」と考える企業さまも現れてきました。今では「X to Earn(ゲームをして稼ぐ「Play to Earn」、眠ることで稼ぐ「Sleep to Earn」など、何か行動することによって仮想通貨を手に入れる仕組み)のようなものを導入したい」と最初から希望するビジョンを持っている企業さまもありますが、多くの企業さまはまだまだそのようなフェーズではありません。ですから今はどのようなお問い合わせに対してもフラットに対応させていただいています。
文元: 「マーケティングとしてNFTを活用したい」「NFTを使ってWeb3.0ネイティブな新しいIPを作りたい」といったご要望はもちろんウェルカムです。私たちとしても多くの企業さまとそのようなチャレンジをどんどんしていきたいと思っています。
一般企業にはいまだ未知な部分も多いWeb3.0。その課題を乗り越え、新たな価値を提供するために設立された電通グループの横断型組織「web3 club™️」では、NFTをはじめとするWeb3.0事業の支援やソリューションの開発・提供を行っています。後編ではそんな「web3 club™️」がこれから目指すビジネスや社会の在り方について深掘りしていきます。
Web3.0は次世代インターネット技術の基盤であり、非常に幅広い分野での応用が可能です。既にNFTの発行を考えている企業だけでなく、「Web3.0が自社の事業とどう関係するのか分からない」「そもそもWeb3.0ってどんなことができるの?」といった企業の方まで、Web3.0に関わることならお気軽にCONTACTよりお問い合わせください。
https://transformation-showcase.com/articles/310/index.html
※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。