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2023/12/07

ソーシャルコマースと広告、2つのソリューションで加速するPinterestのビジネス活用(前編)

INDEX

「Pinterest」は、生活の中で興味のある画像や動画を見つけるビジュアル検索から購買へつながるプラットフォームです。レシピやインテリア、ファッションなど、暮らしを彩るアイデアを発見・整理することができ、世界では毎月4億人以上のユーザーがPinterestで新たなインスピレーションを探しています。

そんなPinterestをビジネスに活用する動きが加速しています。2022年6月から日本国内でPinterestの広告事業がスタート。そして、今年2023年5月からは株式会社電通デジタルがPinterestとECをつなぐソリューション「Pinterest for ソーシャルコマース」の提供を始めました。広告とソーシャルコマース、2つのソリューションについて、プロジェクトメンバーである電通デジタルの鈴木登偉氏、青木颯太氏、宮城拓実氏にインタビューした前編では、Pinterestの独自性、「Pinterest for ソーシャルコマース」の開発経緯や特徴について語っていただきます。

Pinterestは“モノ・コト視点”でアイデアを探す場

Q.Pinterestを活用したソリューションについて伺う前に、まずは改めて、「Pinterestとはどのような特徴を持ったサービスなのか」教えてください。

青木:私は、Pinterestをひと言で表すと“アイデアの探索ツール”と言えるのではないかと思っています。他のSNSは、「今ここにいます」「昨日、こんな買い物をしたよ」といった他人のリアルを受け取るという性格が強いのですが、Pinterestでは新しいレシピやファッションなど、自分が興味・関心のあることについてアイデアをどんどん探すことができます。“対・他人”ではなく“対・自分”に対して使うところが、Pinterestの特色だと捉えています。
株式会社電通デジタル 青木 颯太氏
宮城:Pinterestユーザーは、一般的な検索エンジンやSNSのユーザーよりも、もっと早いタイミングで検索をしている、という捉え方もできると思っています。「今これが必要」というよりは、自分が近い将来、実現したいライフスタイルやアクティビティを探す場としてPinterestを活用するユーザーが多いようです。ですから、Pinterestをビジネス活用したい企業さまからすると、本格的な検討が始まる前段階から商品やコンテンツを刷り込んでおく場として活用できるのではないかと思います。
鈴木:“ヒト視点”ではなく、“モノ・コト視点”でアイデアを探す場だというのは大きいですよね。Pinterestは、ファーストビューでは投稿者の名前が表示されないというのも大きな特徴です。つまり、大事なのは“誰が発言したか”ではなく、“自分にとって価値のあるクリエーティブかどうか”。そういった独自性があります。
青木:ユーザー層としては、Z世代をはじめとした若い層が急増していますね。日本市場での月間アクティブユーザーは「900万人」程度ですが、世界に目を向けてみると、月間アクティブユーザーは4.8億人以上(2023年10月時点)を超え、その数は今でも増え続けている人気のソーシャルメディアです。

商品の購買からユーザー分析までワンストップで提供

Q.それでは、電通デジタルが提供を始めた「Pinterest for ソーシャルコマース」というソリューションについて説明をお願いします。

鈴木:「Pinterest for ソーシャルコマース」は、PinterestとECを横断したマーケティングを支援するサービスです。企業さまのPinterestアカウントの運用支援だけでなく、認知獲得からECサイトやオウンドサイトと連携した購買促進、分析までをワンストップで提供します。

特徴は、やはりECにひも付いていることです。Pinterestは1つひとつの投稿から外部サイトへシームレスに遷移することができます。「Pinterest for ソーシャルコマース」では、どれくらいのユーザーがPinterest経由で外部サイトにアクセスし、遷移先でどのような行動を取ったのかまで分析できます。プラットフォームを横断したユーザーの動きは見えにくいのですが、このサービスではPinterestから商品購買につなげる機能だけでなく、実際どれだけ購買に寄与したかを分析し、顧客理解を深めることができます。
株式会社電通デジタル 鈴木 登偉氏

Q.皆さんはPinterestを核にしたビジネスに可能性を感じたからこそ、今回のソリューションに取り組まれたのだと思います。どういった魅力を感じたのでしょうか?

鈴木:アイデアを探すツールであること、外部サイトにシームレスに遷移できることから、ソーシャルコマースと相性がいいのではないかと思いました。それに、検索ツールなどから引き出される情報は、「今多くの人が注目しているもの」が自然とピックアップされるという面もあり、ある意味で平準化を助長するケースもあるのではないかと思います。一方、Pinterestは自分の“好き”を深掘りする感覚があり、そこに魅力と可能性を感じました。
宮城:私は前職でインフルエンサーマーケティングに携わっていました。数年前からインフルエンサーを活用したソーシャルコマースは注目を集めていますが、実は成功事例はそこまで多くないのではないか、という課題感を持っていました。ですから、コマースにつながるソリューションの開発は、大きな意味があると感じました。プロジェクトの立ち上げはPinterestが広告を始めたタイミングとも重なり、Pinterestにスポットが当たり始めていたので機も熟したと思いました。
株式会社電通デジタル 宮城 拓実氏

Q.2023年5月から「Pinterest for ソーシャルコマース」の提供が始まりましたが、反響はいかがですか?

青木:既にいくつかの企業さまとお話を進めてさせていただいています。アパレル、住宅、不動産といった業種は特に親和性が高いと感じています。とはいえ、継続性が求められる施策ですので、企業さまにとっても、導入ハードルは低くはないと思います。ですから、まずはPinterest広告から始めて実績をご覧いただき、投資価値を感じていただけたらと思います。

Q.Pinterestに対して、「コマースの入り口であり、ビジネスを直接的に押し上げるもの」と認識している企業はまだ多くないのかもしれません。こうした方々に向け、どのようなメッセージを伝えていきたいですか?

宮城:まだβ版ですが、「Pinterest for ソーシャルコマース」では遷移先での購入数などコンバージョンポイントを3つ設定し、数値を管理することができます。ソーシャルメディアの運用は効果測定が難しいのですが、「Pinterest for ソーシャルコマース」ではセールスに結び付いた数字を示すことができるので、その点でもメリットを感じていただけると思います。

 


 

SNS運用をしているものの成果が見えにくい、どういった戦略を立てたらいいか分からない、という企業も多いのではないでしょうか。ユーザーがファッション、インテリア、旅行など興味のある分野についてどんどん深堀りしていくPinterestは、購買に直接結びつく新たなチャネルになるかもしれません。後編では、2022年6月から始まったPinterest広告についても紹介していきます。

電通グループでは、ソーシャルコマースソリューションの提供をはじめ、企業のマーケティング戦略、顧客分析をさまざまな角度からサポートしています。ご興味のある方は、お気軽にCONTACTよりお問い合わせください。

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株式会社電通デジタル

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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