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2023/12/14

企業のソーシャルメディア活用に次なる一手を。アドとオウンドをつなぐ「Social Connect Group」の役割(前編)

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企業にとって、Instagram、X(旧:Twitter)、TikTokなどのソーシャルメディアを活用したマーケティングは今や欠かせないものになっています。とはいえ、「SNS広告で商品・サービスの認知は広がったものの、自社のファンは増えない」「ブランディングがうまくいかない」といった悩みを抱える企業も多いようです。

こうした中、2023年1月、株式会社電通デジタルに「Social Connect Group」が発足しました。同チームでは「ソーシャルメディアにおけるアドとオウンドの接合」をテーマに、企業のSNS活用をトータルでサポートしています。

本記事では、「Social Connect Group」の中核メンバーである電通デジタルのプランナー・江草香苗氏と、ソーシャルメディアのプラットフォーム各社と向き合う電通デジタルの松田健太郎氏にインタビューを実施。このチームが誕生した背景や、独自の強みなどを前後編の2回に分けてお届けします。

分断されがちなSNSのアドとオウンドをつなぐ

Q.まず、「Social Connect Group」とはどのような組織なのか説明をお願いします。

株式会社電通デジタル 江草 香苗氏
江草:「Social Connect Group」では、ソーシャルメディアでこれまで分断されがちだったアド(広告)からオウンド(企業のSNSアカウントやオウンドメディア)に至るシームレスな連携を目指しています。具体的には、InstagramやX、Facebook、TikTokなどソーシャルメディアのプラットフォームを活用したプランニング施策のマネジメントを行っています。

Q.SNS領域のアドとオウンドをつなぐと言っても、これまでどこに問題があったのか、なぜつなぐ必要があるのかと疑問を抱く方も多いと思います。クライアント企業さまのどのようなニーズに応えるためにこの組織を立ち上げたのか、背景を教えていただけますか?

江草:マーケティング業界において、ソーシャルメディアの重要性が高まっているのは既知の事実だと思います。これまでは企業がオウンドとして使う場、または流入増のための広告を出す場としてSNSを使い分けてきましたが、昨今はより統合的な提案を求められるようになっています。例えば、アドでその企業を知った方に対し、オウンドでおもてなしできるよう一貫した流れを作りたいというご相談もよくあります。

その一方で、クライアント企業さまの中でも、アドとオウンドとでは領域や担当者が異なり分断されている、というケースもよくあります。そこで、電通デジタルではアドからオウンドまで一貫したプランニングができる組織として「Social Connect Group」を発足したのです。

Q.SNS広告から新規ユーザーが流入してきても、そういった方々の期待に応える情報やコンテンツをオウンドで提供できていないケースが多いのでしょうか。

江草:SNSにもX、Instagram、TikTokなどさまざまなプラットフォームがあり、それぞれデュアルファネル(新規顧客の獲得と、既存顧客の維持、その2つを合わせたファネルのこと)の強みやユニークネスが違います。こうした中、マーケティング課題に対してどのプラットフォームを使い、どのような広告が効果的で、アクセスしてくださった方々との関係性をどのように強化して「ファン」となっていただくか、複合的な提案を求められるようになってきました。

最近のユーザーは、SNSを何かしらチェックしています。そこで認知を広げても、さらにファンになってもらうための動線が明確に引けていない企業さまも多く存在しています。その一方で、各マーケティング企業も「Instagramが得意」「TikTokが得意」と、それぞれ得意なプラットフォームが違います。そのため、ソーシャルメディアの垣根を越えたコミュニケーション設計や、各SNSに最適化したプランニングを行えるチームがあれば、きっと多くのクライアント企業さまのお役に立てるだろう、と見えていたので、それをチームのミッションと定めました。

SNS広告は企業のファンを育てるブランディングにつながる

Q.松田さんは、チームの中ではどの領域を担当しているのでしょうか。

株式会社電通デジタル 松田 健太郎氏
松田:私はもともとプラットフォーマー各社の窓口を横断的に担当していました。どのプラットフォーマーも、特徴や強みがそれぞれあるのですが、一方で選択肢が多すぎるが故に「結局どこを選べばいいの?」と迷ってしまうクライアント企業さまも多くいらっしゃいます。そこで、クライアント企業さまの課題に応じて、ソーシャルを軸にプラットフォーム横断型のプランニングを提案したいと考えています。

ソーシャルメディアは本来ユーザー同士がコミュニケーションを取る場であり、企業とのつながり方もプラットフォームによって異なります。そこに広告を発信すれば、商品やサービスの認知はされますが、そこから先につながっていくためには、それぞれのソーシャルメディアならではのコミュニケーションスタイルがあります。しかも最近は、1人のユーザーがSNSごとにいろいろな人格を使い分けている傾向にあり、それぞれのSNSで最適なアプローチを行うには、プランニング寄りの発想が必要です。だからこそ「Social Connect Group」のように、アドとオウンド、双方の知見を持つ部署の連携が不可欠だと考えています。

Q.前にも触れましたが、クライアントとなる企業さまの中には、アドとオウンドで担当者が違うケースも多いのではないかと思います。そうなると、クライアント企業さま側においても、これまで以上に連携が必要になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

松田:おっしゃる通り、クライアント企業さま内でも領域ごとに分断されているケースもあります。そこをつなぐきっかけになればと思い、勉強会も開催しています。まずソーシャルメディアのプランニングはこうあるべきではないかと提案し、その上でミニマムスタートできるところに私たちが入って橋渡しをしていく。今はそういうフェーズですね。

さらに言えば、そもそもソーシャルメディアの使い方に悩んでいる企業さまはたくさんいます。「アド計画を見直したい」「オウンドの集客が弱い」など、さまざまな立場での課題に対し、入り口を示す役割も果たしていきたいです。

Q.アドを強化した先に、オウンドメディアの改修が必要になるケースもありそうです。とはいえ、そこまで大掛かりになるとは想定していない企業も多いかもしれませんね。全体のコンセプト設計を見直す必要があると、いかにご理解いただけるかがカギになりそうです。

江草:そうですね。ソーシャルメディアにおけるアドは、企業のファンを育てていくブランディングに近い活動です。オウンドのプランナーはその点を熟知していますが、アドも連動してその点を踏まえないとユーザーにちぐはぐな印象を与えてしまいます。アドとオウンドを連携させることの重要性をご理解いただくため、まずはブランドのSNSの育て方についてお伝えしています。
松田:オウンドメディアに関しても「一定数のファンはついているけれど、まだ爆発しきれていない」という悩みを抱えるクライアント企業さまもいらっしゃいます。現状のファンを維持しつつ、どのようにオウンドを変えていくのか、どうやって実験的な取り組みを少しずつ入れていくかといった長期的な企画案をご提案するケースもあります。そこに、どのタイミングでアドを組み込んでいくべきか、クライアント企業さまのご理解をいただきながらPDCAを回していければと考えています。

 


 

とあるSNSで広告を見たユーザーが、これいいな、と思ってアクセスしたら、その先のオウンドメディアは全然雰囲気が違っていて、気持ちが下がってしまってすぐ離脱した。あるいは、アドで気になった商品が、オウンドではどこにあるかすら分からず、探しているだけでイライラしてくる。そんなケースは結構あるのではないでしょうか。こうした齟齬を防ぎ、ソーシャルメディアを最適な形で活用するとともに広告効果を最大化するのが「Social Connect Group」の役割だと分かってきました。後編では、電通グループならではの強み、今後の展望について話題を広げていきます。

電通グループは、企業のソーシャルメディア活用について豊富な知見を持っています。SNS運用にお悩みを抱える企業の方は、ぜひCONTACTよりお気軽にお問い合わせください。

この記事の企業サイトを見る
株式会社電通デジタル

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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