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2022/08/24

販促ソリューションのNo.1パートナーへ ~電通プロモーションプラスが目指すもの~

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2022年4月1日、株式会社電通テックは、販促ソリューション業務を核とする「株式会社電通プロモーションプラス」として生まれ変わりました。

リテールDX推進、コマース支援、キャンペーンのデジタル革新、オウンドメディアやSNSの設計・運用、テクノロジーを活用した新しいブランド体験機会の創出など、各種ソリューションを豊富なラインナップで提供するというこの新会社が、目指すものや顧客企業に提供しようとしている価値は何なのか、代表取締役社長執行役員の湯川昌明氏に聞きました。

電通プロモーションプラスが目指すもの

Q.電通プロモーションプラスの発足にあたり、プレスリリースでは「リテール・コマースなど変化が著しい領域のサービスを強化し、販促領域において顧客へ高付加価値型ソリューションサービスを提供する会社への進化を目指す」と発信されています。あらためて、この新しい会社の狙いや事業領域はどのようなものなのでしょうか?

湯川:私たちは、顧客企業さまにとっての販促ソリューション領域におけるNo.1パートナーになることを目指して事業を展開しています。事業推進にあたっては、「販促ソリューション領域」というのはいったい何なのか、提供すべきサービスは何なのか、そして、最終目標として何を目指すのか、これらを考え続けることが重要だと思っています。

これまでも「販促」「プロモーション」というカテゴリは存在してきました。それは「生活者に対して、商品や企業との幸福な出会いを演出する」という領域であると同時に、「誰もが参入可能な市場」であるということもポイントです。例えば、携帯キャリアが自社キャリアユーザー向けにクーポンを配り始めたら、それは「販促プレーヤー」です。QRコード決済も、登場した時は「金融プレーヤー」だったかもしれませんが、「QRコード払いで〇%引き」とやり出したら、それはもう「販促プレーヤー」なのです。

また、「販促」とは、常に「生活者との直接的な接点」において展開されるものですから、テクノロジーの進化によって生活者が変わり、ライフスタイルが変わり、モノの買い方までもが変わっているのであれば、そこで展開される「販促ソリューション」も常に変わり続けるはずです。

決定的な転換点は、デジタル環境の進化によってソリューションの効果や成果の因果関係が可視化されるようになり、長期的な施策や改善策を提案できる環境が整ってきたことだと思います。これにより「生活者に対し、商品や企業との幸福な出会いを演出する」ことに加え、「継続して長くお付き合いいただける関係値を創造すること」が今まで以上に重要視されてきています。

さまざまなプラットフォームやデジタルソリューション、分析ツールが入り乱れ、何をどう活用するべきなのかという声もよく聞きますが、こうした混沌とした環境だからこそ、電通グループと当社が存在する意義があると思います。企業のマーケティング活動はさまざまな要素で構成されており、単体のプラットフォームや単一施策では完結しないことも多いでしょう。テレビやデジタルメディアなどの複数メディアを活用した集客や認知の広告施策アプローチと、多様な販促施策アプロ―チの両面が統合化されたデータ分析ができることは、電通グループの強みです。さらに、環境分析によって最適なアプローチ方法を探り、確実に実現できる施策と体制づくりを行い、並走して常時改善を図り続けることで具体的な「成果と効果」を提供したいと思っています。そうして顧客企業さまの事業貢献の実績を積み続けることこそがパートナーの役目だと思います。それが「販促ソリューション領域におけるNo.1パートナー」を目指している理由です。

前身会社「電通テック」からどう進化したのか

Q.前身である電通テックと比べて、「電通プロモーションプラス」となることで特にここが強化された、と感じるのはどのようなところでしょうか?

湯川:電通グループ内の各企業との連携が前提となりますが、加速度的に進む生活者のデジタル化に、よりしっかりと対応できるようになったのが、最も大きなところではないでしょうか。

これまでの電通テックは、顧客企業さまに「プロダクトやサービスを提供し、キャンペーン終了まで並走する」ことを主なスコープとしてきました。しかし、デジタル化により分析と企画推進がリアルタイムで把握できるようになったことで、「キャンペーン中の改善」と「キャンペーン後のリレーション強化」というサービスに対する必要性も高まってきています。今後、電通グループならではの広義のクリエーティビティをもって、生活者への革新的なアプローチを図り、統合化されたデータからの分析と改善計画を出し、それを実践・運用するエグゼキューション力は、ますます求められてくるでしょう。さらには、それらが競争力のあるクオリティとコストで実現できる並走型の体制であるかが、お客さまに選んでいただくための必須条件となると思います。

そこで、当社グループとしては、株式会社電通カスタマーアクセスセンターと株式会社電通オンデマンドグラフィックを統合する形で、「株式会社電通プロモーションエグゼ」という新会社を設立しました。この新会社が、デジタル制作からカスタマーサービスまでの実施力を発揮します。そして、そこと強いタッグを組む形で、われわれ電通プロモーションプラスが、販促領域におけるお客さま体験の全体設計・プランニングプロデュースをする。まさに「企画・設計力」と「実現力」とを兼ね備え、デジタル化に「やり切る」力を発揮していきます。

「販促」とはお客さまの購買行動に関わる全て

Q.これまで「プロモーション」「販促」というと、ATL(Above the Line=主にテレビ、新聞などのマスメディア媒体)に対してのBTL(Below the Line=イベントやDMなどATL以外の媒体)という考え方があったかなと思います。つまり、広告マーケティング領域における「ある一部分」とか「マス広告の受け皿」といった印象が強かったように思いますが、湯川さんのお話を聞いていると、「販促」を「生活者の購買行動に関わる全ての領域」と捉えているように感じたのですが、いかがでしょうか。

湯川:生活者に購入いただくことの周辺領域は広く深く、いろいろな要素が絡んできますので、その領域の全てに対応し得る最適な施策を持つことは重要ですが、簡単に実現できることではありません。

ある顧客企業さまの役員と話した時、「電通さんは『われわれに何でも言ってください!』と言ってくれますが、日々変数に追われ、最適化を図るのに苦労し続けているわれわれからすると、この『何でも言ってください』というのは、すごく傲慢なご発言だなあと思います」とご指摘いただいたことがあります。おっしゃる通りだと思います。

当社は「販促領域」の会社ですので、「販促施策の成果」を起点に「生活者とのエンゲージメントを強化し、付加価値のある施策をもって、売り上げに貢献するソリューション」を継続的に生み出すことを目標にすべきだと思います。顧客の事業成長の支援をスコープにする時「生活者の購買行動の最後の一押し」だけにとどまらず、購買を真ん中において、「どうやって集客するのか」から、「買っていただいたお客さまにまた買っていただく/もっと買っていただくためにはどうしたらいいか」というところまでを常に考え続けなければいけません。「購買データ・購買に関わる生活者のデータ」がよりリアルタイムで可視化される現状において、「成果と結果にコミットする」サービスを目指す立場から言えば、より上流の施策との因果関係を明らかにし、最適な集客やクリエーティビティの在り方までを対象に、結果や成果の向上を目指すべきである、とも思います。

Q.プレーヤーも多く、ある意味で非常に競争の激しい「販促領域」だと思いますが、その中で電通プロモーションプラスとしてはどのような強みが発揮できるとお考えですか。

湯川:デジタル化によって、成果効果と直結するデジタル販促は今後ますます進化していきますが、当社グループはデジタルのアプローチだけではなく、リアルのアプローチ双方に知見を持ち、顧客の事業目的や商材ごとにあまたの施策の中から最適化を提案し、並走できる実態を持ってそれを改善し続けられることが強みになっていくと思います。もちろんまだまだ実態が伴っていないところもありますが、備えるべき機能を整理し、ケイパビリティの確立に努めていきたいと考えています。

電通グループは、あらゆるプレーヤーと連携し、統合されたデータ分析と、最適な企画やアプローチを提供できる立ち位置にいると思います。広くデータと機能を内包し、実行に移せる状況は、月並みな表現ですがDJN(Dentsu Japan Network)の「総合力」によるものではないでしょうか。生活者の変化が著しく、対象となるサービスが多様化している現状だからこそ、電通グループは総合力をもって生活者周辺を構成する要素を分析し、当社はあまたの施策から最適化を考え、進化し続ける必要があるのです。それは総合力を持たずして実現できないことだと感じています。

私たちプロモーショングループは常にチャレンジャーでいたいと思います。電通は総合的な広告関連事業やスポーツ・コンテンツの協賛領域において、競争力を持った企業であると思いますが、冒頭で申し上げたように、「販促領域」は電通グループが確固たる足場を持っているわけではなく、日々新たなプレーヤーやツールや施策が次々に誕生している混沌とした状況です。そのような市場で、「あまたある施策の中で、根拠が伴う最適かつ実現可能な施策を用意できること」という実態は強い武器になります。

われわれは広大な販促ソリューションの世界において、電通グループ企業と連携を重ね、機能する統合型マーケティング・コミュニケーション(IMC:Integrated Marketing Communication)のために統合化されたデータプラットフォームを持っています。これによる実現力をもって並走型のアプローチで実績を積み重ねることで、顧客企業さまと生活者のより良い接点を持続的にサポートし、顧客企業のNo.1パートナーになれるよう、今こそグループを巻き込んでプレゼンスを上げていかなければいけません。「言うはやすし」ですが、実際に行うのは果てしなく大変な領域です。

そのためには、抜本的な構造改革を伴う必要があります。名前を変え、会社を分けただけで過去の積み上げや関係値、社員意識を超えて実現できるのか、という厳しいご指摘もありますが、やるしかない改革、という状況です。社員のケイパビリティには自信を持っていますので、改革には強い期待をもって臨みます。私はこの領域では「無知な新参者」ですし、若者のような新鮮な気持ちで突き進んでいきます(笑)。

 


 

「販促」とは一体何でしょうか。湯川氏はそれを「お客さまにモノとサービスを販売すること全て」と捉えています。プレーヤーもアプローチも企画も多様な販促ソリューションの世界において、まずシンプルに「買っていただくためにどうするか」から入るのは、実は非常に大切なことかもしれません。「〇〇でクーポンを出そう」「ターゲティングアプローチだ」と、ついアプローチ方法から考えてしまいがちですが、あらためて「長期的な視点で関係値を築き、継続してご購入いただくために」というシンプルな目線で全体を眺めてみると、さまざまな可能性が広がってくるのではないでしょうか。

この記事の企業サイトを見る
株式会社電通プロモーションプラス

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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