BX
2022/06/16

新規事業や新サービスの成長を全方位的に支援する、「グロースコンサルティング」という新たなアプローチ(後編)

INDEX

「電通グロースハックプロジェクト」は、スタートアップや大手企業の新規事業・サービスの成長や、現場が抱えている課題の解決を目的に立ち上がった電通グループ横断チームです。そのプロジェクトメンバーである株式会社電通デジタルの大橋誠也氏に、グロースコンサルタントの役割やユーザー体験を優先した事業成長の目指し方についてインタビューした後編。

今回は、グロースコンサルティングのノウハウを身に付けた経緯を聞くとともに、実際にグロースコンサルタントとして携わったオンラインでの大型ゲームイベントなどの事例を題材に、グロースの知見が現場でどのように生かされ、どのような発見につながったか聞いていきます。

>>前編はこちら

サンフランシスコの研修で得たグロースコンサルティングのノウハウ

Q.そもそも大橋さんは、グロースコンサルティングのノウハウをどのように身に付けたのでしょうか。

大橋:ノウハウを身に付けるきっかけの話になりますが、電通デジタルにジョインしたころ、ある海外製のユーザー行動分析ツールを使用していたんです。そのツールを取り扱うために、サンフランシスコにある、ツール開発企業の本社へ1週間ほど研修に行ったんですね。

その企業は「ユーザーの行動に寄り添ってサービスを作っていこう」という思想を持っていて、研修のときに、グロースの考え方や体系化された手法を筋道立てて教えていただいたんです。それまで、こんなことをしたいという気持ちはありつつも具現化する方法が分からなかったところに、やっと武器を1つ得られたと感じた経験でしたね。グロースのノウハウは、いずれ日本のマーケティングにも移植されていくだろうと思いました。

メタバース空間の「ユーザー体験」とはどういうものか?

Q.大橋さんは、昨年オンラインで開催された大型ゲームイベントに携わっていましたが、そこで求められていた役割はどのようなものだったのでしょうか?

大橋:当初いただいたのは、メタバース空間のどのブースに何人来て、何時間滞在したかといったレポートを出せるよう、データ分析を手伝ってほしいというお話でした。それで、どんなデータを取れるか、どんな観点で分析が可能かをひとまず考えていったんです。

そうする中で、メタバースならではの行動分析をしたら、より面白いのではないかと気付きました。高所を移動したり、空を飛んだりできるメタバース空間での体験は、オフラインの体験とは明らかに異なります。VRゴーグルを着けていれば、視点の座標も取れるので、ユーザーがどういう時に何を見ているかといったことも分析できるんです。

来場者数や滞在時間のデータをただ分析するだけではもったいない。そう感じたので、自ら「こういうデータも必要じゃないですか?」と提案したところ、一緒にやってみましょうと快く受け入れていただき、携わる領域が広がっていきました。

Q.大橋さんのデータ分析は、実際、どのような成果を生んだのでしょうか? 何か画期的な発見はありましたか?

大橋:メタバースにおける移動や閲覧がどのようになっているのかはこれまで言語化されてこなかったので、そこに取り組んだことは画期的だったと思います。ただ、データ分析をユーザー体験の設計に生かすという部分では、多くの課題が残りました。

具体例として、カードゲーム会社と一緒に進めていた案件を挙げますね。これはメタバース領域のサービスで、150枚以上のカードを並べた空間を用意し、全部のカードを閲覧すると特典に応募できるといったものでした。多くの方に応募いただけたものの、VRゴーグルでの参加者の応募率は予想と少し乖離する部分がありました。

後にデータ分析をしたところ、数十枚で離脱してしまった人が一定数いることがわかりました。要は、VRゴーグルを着けながらコントローラーを手に持って150枚のカードにアクセスしなければいけないので、参加者が途中で疲れてしまったんですよね(笑)。体験を促すことは重要ではあるものの、その動作が苦の体験になってはならない。これは今後につながる良いデータだったと考えています。

Q.そこでの経験を、今後、他のプロジェクトに活用していく予定はありますか?

大橋:デジタルサービスは、リリースしてからグロースまで時間を置いて定着率が上がっていくことが多いですが、イベントは開催期間だけの一発勝負。特にオンラインイベントの場合は、スマホやPCから簡単に参加できる分、ユーザー体験を意識して設計していかなければなりません。その経験を積めたのは大きいなと思っています。

イベント期間が3日あったとして、3日間ずっと同じことをしていたら、参加者は飽きてしまいますよね。会場に足を運ばなければいけないオフラインイベントの場合は「どの日に参加しても同じ楽しみ方ができる」ことが求められるかもしれませんが、オンラインイベントでは「その日しか体験できないスペシャル感」の方が参加者に訴求する可能性がある。このあたりはまだまだ検討の余地がありますが、ビジネスの観点からもデータを継続して集めていきたいと考えています。

 


 

事業やサービスを成長させたいとき、広告集客やセッション数増加を得意とする専門部隊はいたとしても、それらを横断しながら継続的な成長に導いていける部隊がいないという壁にぶつかりがちです。グロースコンサルタントは、クライアントの「ビジョン」「価値観」「マネタイズ」を含めてディスカッションして、理想の状態に進めていく専門家。スタートアップや大手企業が新規事業やサービスを立ち上げたいとき、あるいは立ち上げたものの伸び悩みが続いているとき、グロースコンサルタントに相談することは成長への近道と言えるでしょう。事業やサービスの成長にお困りの方は、ぜひ相談してみてはいかがでしょうか。

>>前編はこちら

この記事の企業サイトを見る
株式会社電通デジタル

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

RELATED CONTENTSあわせて読みたい
BX
新規事業や新サービスの成長を全方位的に支援する、「グロースコンサルティング」という新たなアプローチ(前編)
株式会社電通デジタル エクスペリエンス部門 グロースコンサルティング事業部 / グロースコンサルタント大橋 誠也 Tomoya Ohashi
BX
女性の課題を解決するテクノロジー「フェムテック」の現在地
株式会社電通 ソリューションデザイン局 / ビジネス・クリエーター、Femtech and Beyond. プロデューサー・ファウンダー奥田 涼 Ryo Okuda
BX
ソーシャル・イノベーターに聞く「NEXT社会課題」 対談相手:認定NPO法人 虹色ダイバーシティ代表・理事長 村木真紀氏
認定NPO法人 虹色ダイバーシティ 認定NPO法人 虹色ダイバーシティ代表、理事長村木 真紀 Maki Muraki
DX
DX推進を妨げる、技術的負債の「3つの壁」。負債の原因にとことん向き合うことで見えてくる解決の糸口とは?
CX
ヘッドレスブランドに代表される「ヘッドレス」の流れ。“脱中心化”はビジネスや広告をどう変えていくのか?
AX
DX時代のAIを乗りこなすために~マーケティングにおけるAI活用の潮流と可能性~
株式会社電通国際情報サービス AI MIRAI統括 / AIビジネスプランナー児玉 拓也 Takuya Kodama
CX
増加し続ける「コンタクトレスエコノミー」とは何か?CX設計の重要性と共に考える
CX
ソーシャルリスニング活用のメソッド。SNSにあふれる声を有効なマーケティング資料に(前編)
株式会社電通デジタル エクスペリエンスクリエイティブ部門 ソーシャルメディア事業部 / データアナリスト大村 麻理枝 Marie Omura
CX
ソーシャルリスニング活用のメソッド。SNSにあふれる声を有効なマーケティング資料に(後編)
株式会社電通デジタル エクスペリエンスクリエイティブ部門 ソーシャルメディア事業部 / データアナリスト大村 麻理枝 Marie Omura
CX
東京レインボーブライド2022出展レポート。「言葉」を軸とした体験型ブースに込めた思いとは
株式会社 電通 第2ビジネスプロデュース局 / ビジネスプロデューサー秋田 ゆかり Yukari Akita , 株式会社電通ライブ プランナー / 電通ダイバーシティ・ラボ河合 はるか Haruka Kawai , 株式会社電通関西支社 CMプランナー、コピーライター / 電通ダイバーシティ・ラボ福居 亜耶 Aya Fukui
VIEW MORE POSTSCLOSE
RECOMMEND CONTENTSTSCからのおすすめ
VIEW MORE POSTSCLOSE