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2021/12/24

SDGs推進のカギとなる「環境対応素材」をどう取り入れる?新素材「PLANEO™」を例に考える

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企業にとって、SDGs対応の重要度は日々高まっています。中でも、環境への配慮や脱炭素に向けた取り組みは重要なトピックであり、業種や職種を問わず、あらゆるところで求められつつあります。一方で、「自分たちはどう対応したらいいのだろうか」「どこから手を付けたらいいのだろうか」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。そうした方に向け、SDGs推進のカギとなる「環境対応素材」について紹介します。

ビジネスにおいて、環境対応は必須課題に

SDGsの広がりとともに、世界的に環境意識が高まっています。環境汚染や気温上昇による気候変動は、結果的に私たちが安全に生活し続けることを脅かしかねない、大きなリスクをはらんでいるといえるでしょう。

また、企業にとっても、ESG投資が「投資の新基準」として急成長しています。ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)などに配慮した経営を行う企業へ投資すること。つまり、「SDGsや環境対応への取り組みが進んでいるかどうか」という事実が、企業の価値向上や存続そのものを左右するという状況が生まれつつあるのです。

最近では、2021年の10月31日から11月13日まで、イギリスのグラスゴーにてCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が開催され、大きなニュースとなったのは皆さんも記憶に新しいところではないでしょうか。COP26では、2015年のパリ協定で合意された「世界的な平均気温上昇を、産業革命以前に比べて1.5℃に抑える努力を追求する」という目標の達成に向け、より野心的な対策が各国に求められました。 この内容に対する評価や議論はさまざまですが、いずれにせよ、これからいかなるビジネスを展開する場合においても、「環境対応」という要素を無視することはできないでしょう。そんな社会の動きを受けて、身近なところから取り組めるケースをご紹介します。

今使っているものを「環境対応素材」へ。それが、SDGs推進の第一歩

環境対応活動の中でも、「脱・減プラスチック」は重要な取り組みの1つです。例えば、レストランやファーストフード店がプラスチックのストローを撤廃して紙のストローを使う、レジ袋を有料化してエコバッグの利用を促進するといった取り組みで、石油由来プラスチック製品の使用量を減らしていくことができます。このように、企業活動の中では、実は数多くの「石油由来プラスチック製品」が利用されています。商品を包んでいるパッケージや包材が石油由来プラスチック製品だという企業も数多く存在するでしょう。そのため最近では、パッケージを簡素にしたり素材を変えたりして、「環境対応」をうたう商品も増えてきました。

また、意外と見落としがちなのが「社内」です。例えば、社員食堂を備えている企業であれば、そこで使われている食器やトレイはどうでしょう。お客さまに販売している商品では「環境対応」をアピールしながら、社内に目を向けるとなんら手を打っていないという企業も多いのではないでしょうか。 

とはいえ、プラスチックを完全になくすことは、現代社会ではほぼ不可能かもしれません。そこで注目されているのが、「PLA(Poly-Lactic Acid:ポリ乳酸)」という植物由来のプラスチック素材。PLAは、燃焼時のCO2排出量が石油由来プラスチックと比較して少なく、条件を満たした環境下での生分解性(調整土中生分解性)も備えているため、環境対応素材として世界的に注目され活用が進んでいる素材で、実際多くの企業で「PLAのような環境対応素材を採用したい」というニーズが高まっています。そのような要望を受けて、株式会社電通テックが開発したのが「PLANEO™(プラネオ)」 です。

進化した「環境対応素材」なら、多様なニーズに応えられる

さまざまな企業から寄せられる、「環境対応素材を採用したい」という声。そうしたニーズへの解決策としてPLAは熱い注目を集めていますが、生産や使用にあたっての課題もありました。中でも特に大きな課題が「流動性の低さ」です。流動性とは、素材の「流れやすさ」のこと。流動性が低いと、金型に流し込む際に時間がかかるため生産効率が悪くなり、1日当たりの製造量が通常の石油由来プラスチックに比べて少なくなってしまいます。また、金型の細部まで素材が行き渡りにくいために製造不良にもつながりやすく、結果的に製品コストが上がってしまうといった課題も抱えていました。

そうしたPLAに特有の課題を解決しようと開発したのが、「PLANEO™」です。特に素材の流動性については大幅に改善することに成功。「100%植物由来+一定条件下での生分解性」というPLAの環境面へのメリットはそのままに、従来のPLAよりも生産効率の高い素材を実現しました。

※画像はイメージです

この「PLANEO™」を活用することで、さまざまなものを環境対応素材に置き換えることが可能になりました。例えば「マスコットキャラクターの貯金箱を環境対応素材で作りたい」というような、ピンポイントのニーズにも応えられます。まさに「今目の前にあるものから、脱プラスチックを図る」ための第一歩を、簡単に踏み出せる環境が整い始めたのです。

おすすめは、ノベルティの環境対応。お客さまにお渡しすること、そのものがメッセージに

もちろん、いきなり企業活動に関わる全てのプラスチック製品を環境対応にすることは難しく、一気に対策に踏み込めない企業も多いと思います。そこで手始めにおすすめしたいのが、最近増えている「お客さまにお渡しするノベルティやプレミアムグッズを環境対応素材にする」という試みです。

例えばイベントに来場してくださったお客さまに、お土産としてタンブラーをプレゼントするケース。心を込めてお渡ししたタンブラーが環境対応素材でないと、せっかくのノベルティがむしろネガティブな印象を与えてしまうかもしれません。そういう「細かいところ」でしっかり対応することこそ、お客さまへのメッセージになるのではないでしょうか。

※画像はイメージです

一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により、衛生面を考慮して「使い捨て」タイプに切り替えたという、環境対応とは逆行する選択をした企業もあるかもしれません。このような場合に「PLANEO™」を活用すれば、「使い捨てのものを環境対応素材にする」ことで、衛生面・環境面の両方に配慮するという対応が可能になります。

今回は環境対応素材の例として「PLANEO™」をご紹介しましたが、これに限らず素材は多彩な進化を遂げています。周りを見渡してみて、何気なく使っているアイテムの中で環境対応素材に変えられるものはないでしょうか。そういった身近なものから見直すことが、お客さまへのポジティブなメッセージとなり、ひいては企業価値向上という大きな結果につながっていくかもしれません。

社会全体が「環境対応」に真剣に向き合い始め、それが企業価値を左右する重要な要素となってきています。対応策はさまざまある中、今回の記事では「身近な一歩から始めること」の大切さを考えてみました。今目の前にあるもの、会社で日常的に使っているもの、お客さまにお渡ししているもの。それらを新しい目で見直してみると、「すぐにできること」の芽がたくさん存在していることに気づくかもしれません。まずは「これを環境対応素材に変えられないか?」という問いを持ちながら、生活してみてはいかがでしょうか。

この記事の企業サイトを見る
株式会社 電通グループ

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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