SDGsの認知率は8割超、"Z世代"は発信・消費・市民活動への参加に積極的
株式会社 電通(本社:東京都港区、社長:榑谷 典洋)は、電通グループ横断でSDGs(※1)に関するプロジェクトを推進する「電通 Team SDGs」のもと、全国10~70代の男女計1,400人を対象に、第5回「SDGsに関する生活者調査」(以下「本調査」)を実施しました(※2)。
本調査では、SDGsの「認知率」「情報経路」「SDGsに取り組む企業への評価」について過去調査結果との比較を行いながら、特にSDGsに対して実践意欲が高い層については、新たに「世代別の特徴」の分析を行いました。
主なファインディングス
①SDGsの認知率は86.0%で、昨年1月の第4回調査(※3)から30ポイント以上伸長。2018年2月実施の第1回調査からは約6倍に。
②「内容まで理解している」という回答は、前回調査(2021年1月)から約1.5倍に当たる34.2%へと伸長。10代は初めて過半数を超えた。
③SDGsを認知している人の中で、実践意欲が高い層は36.9%。この層へ訴求するには、具体的な事実やSDGsとの関連を示す情報を提供し、理解・共感を獲得することが必要で、メディアでの話題性とともに第三者評価の重要性も明らかになった。
④SDGsの実践意欲が高い層の中でも、「Z世代(※4)」はジェンダー平等への関心が高く、SDGs関連イベントへの参加意向や関連商品・サービスの消費意向も高い。インフルエンサーや広告の影響を受け、SNSや家族・友人との会話で情報が共有される。
⑤生活者は、積極的にSDGsに取り組む企業に好印象を持つだけでなく、その企業が提供する商品やサービスへの利用意向も高まることが示唆された。
各ファインディングスの詳細
①SDGs認知率は86.0%で、昨年1月の第4回調査から30ポイント以上伸長。2018年2月実施の第1回調査からは約6倍に。
●SDGsという言葉の認知率は86.0%で、第4回調査の54.2%から30ポイント以上伸長した。第1回調査ではビジネス層を中心に14.8%の認知率であったが、4年間で一般層までほぼ浸透したと言える。その要因としては教育現場での理解促進が進んだこと、マスメディアで取り上げられ一般への理解促進も進んだこと、企業や自治体などでの取り組みが増えたことなどによる接触機会の増加が考えられる。【図表1】
●性年代別に見ると、60代男性(94.9%)、10代男性(94.6%)、30代男性(91.8%)の順に高く、職業別に見ると、会社員(事務系)(94.5%)、公務員(92.4%)、学生計(92.0%)の順で、いずれも9割を超えた。第4回調査と比較してSDGsの認知率が大きく増加したのは、70代女性(+50.5ポイント)、60代女性(+45.3ポイント)、60代男性(+44.4ポイント)であった。これらの結果からも、これまで認知率が高かったビジネス層や学生層だけでなく、一般層にまで浸透したことが示された。【図表2・3】



②「内容まで理解している」という回答は、前回調査(2021年1月)から約1.5倍に当たる34.2%へと伸長。10代は初めて過半数を超えた。
●「内容まで理解している」という回答は、前回調査(2021年1月)から約1.5倍に当たる34.2%へと伸長し、第1回調査(2018年2月)からは約10倍となった。世代別に見ると、10代(52.5%)は初めて過半数を超えた。【図表4】
●SDGsの認知経路の上位は、TV(65.4%)、情報Web(※5)(38.6%)、新聞(25.5%)で、第4回調査と同様の傾向となったものの、TVは前回より18.1ポイント伸長した。SDGsをテーマとするテレビ番組(コーナー)が大きく増加した(※6)ことも影響したと考えられる。【図表5】


③SDGsを認知している人の中で、実践意欲が高い層は36.9%。この層へ訴求するには、具体的な事実やSDGsとの関連を示す情報を提供し、理解・共感を獲得することが必要で、メディアでの話題性とともに第三者評価の重要性も明らかになった。
●SDGsの認知者に対し、SDGsについて普段感じることを聞くと、「大事なことだと思った(49.9%)」がトップ。「自分も何かしたいと思った(26.3%)」「もっと知りたいと思った(17.5%)」「人に伝えたいと思った(5.2%)」など、SDGsへの実践意欲も高い層は36.9%となった(複数回答あり)。一方、理解・共感のみにとどまる層は39.3%であった。【図表6】
●実践意欲が高い層を性別で見ると、男性が41.1%に対し女性は58.9%。年代別に見ると中高年層(60代19.1%、70代18.7%、40代17.9%)が高く、職業別では専業主婦・主夫20.1%、会社員(事務系)12.3%、パート・アルバイト11.5%の順で高かった。【図表7・8・9】
●実践意欲が高い層を、理解・共感のみにとどまる層と比較すると、SDGsに関する活動や商品、サービスに興味を持つようになったきっかけとして、「食品ロス・環境・社会・人権問題」に対する危機感や、「もともと社会や地球環境に貢献したいと思っていた・自分の考えや理想と合っていた」といった価値観、「メディアやSNSなどで話題になっていた」などが顕著に高かった。【図表10】
●同比較において、SDGsに関する商品やサービスに期待することでは、「SDGsにどう関連しているのか、きちんと説明されている」「メディアが取り上げて話題になっている」「研究や技術がしっかりしている」などが高かった。【図表11】






④SDGsの実践意欲が高い層の中でも、「Z世代」はジェンダー平等への関心が高く、SDGs関連イベントへの参加意向や関連商品・サービスの消費意向も高い。インフルエンサーや広告の影響を受け、SNSや家族・友人との会話で情報が共有される。
●実践意欲が高い層の中でも、全体と比べて特徴が見られたグループはZ世代。「勤務先の業務や学校の授業(52.2%)」から情報を得ており、「家族・友人や知人の会話(24.6%)」「ソーシャルメディア(19.4%)」も高い。既に実践しているアクションでは、「男女の不平等や差別をなくすために行動したり、意見を言う(32.3%)」「植物性食品の消費(18.1%)」「市民活動(地域貢献、ボランティア、NPO活動など)への参加(19.3%)」などが相対的に高い。【図表12・13】
●その他の実践意欲が高い層の全体と比較したときに、Z世代の相対的特徴として、SDGsに関する商品やサービスに興味を持つようになったきっかけは、「学校の授業や仕事で知った(51.7%)」が圧倒的に多い。【図表14】
●また、Z世代の相対的特徴としてSDGsに関する商品やサービスに期待することは、「インフルエンサーが取り上げている(20.6%)」「特別感がある(18.7%)」「広告などをしていて、多くの人が使っている(19.8%)」などで、Z世代へのアプローチにおいてはインフルエンサーや広告などに取り上げられ、SNSや家族・友人などの話題に上ることが重要であると考えられる。【図表15】




⑤生活者は、積極的にSDGsに取り組む企業に好印象を持つだけでなく、その企業が提供する商品やサービスへの利用意向も高まることが示唆された。
●積極的にSDGsに取り組む企業に対しては「イメージが良くなる(40.0%)」「好感が持てる/応援したくなる(35.2%)」「信頼がおける(26.6%)」などと評価が高い。好印象だけでなく、「その企業の商品やサービスを利用したくなる(18.1%)」という回答も2割近く見られた。【図表16】
●既にSDGsに関するアクションを実践している層では、企業の商品やサービスを利用したくなる人が41.7%と、全体の2倍以上の回答があることから、SDGsへの内容理解が浸透し実践者が増加すると、印象が良くなるだけでなく商品やサービスの利用意向も高まる可能性が示唆される。【図表17】
●また、就業者のうち、自社のSDGsに関する取り組みを認知している人は33.6%。取り組みを認知している社員は、「取り組んでいることを世の中や人に伝えたいと思った(19.1%)」「将来性を感じた(16.3%)」などポジティブな感想の割合が61.8%であった。30代男性では「誇りに感じた(21.7%)」「働き続けたいと思った(21.1%)」「仕事に対するモチベーションが上がった(20.7%)」などが高かった。【図表18・19・20】





ナネット・ブラウン氏のコメント
国際連合グローバル・コミュニケーション局 戦略コミュニケーション部
コミュニケーション・キャンペーン・サービス部門長
「私たちは、電通の"持続可能な開発アジェンダ"への継続的な関与に深く感謝しています。電通が実施した第5回「SDGsに関する生活者調査」では、あらためて重要な洞察を与えてくれました。SDGsの認知率は86%に達して、前回より30%ポイント上昇し、2018年の第1回調査からほぼ6倍となるなど、非常に心強い結果となっています。"持続可能な開発目標"の達成は全ての人に関わるものであり、これはとても意義深いことです。さらに人々は自らの行動を持続可能なものにしていきたいと考えているようです。調査結果からも分かるように、一般的な認知度が高まっているだけでなく、SDGsを前進させるために行動しようとする意欲も高まっています。
最も励みになることは10代の世代が、"持続可能な開発アジェンダ"、特にジェンダー平等に取り組むことに高いモチベーションを有していることです。Z世代の若者たちは私たちの社会の未来を形づくる存在です。その関与は、2030年に向けた"行動の10年"を推進する上であらゆるレベルにおいてSDGsアクションを加速していかなければならないという意味からも、明るい見通しを示しています。
この電通の調査のおかげで、この重要なアジェンダに幅広く人々を関わらせるために、どのように対応し関心を高めていけば良いかを再認識することができました。」
調査概要
調査名:第5回「SDGsに関する生活者調査」
目的:日本におけるSDGsの「認知・理解」や「興味・関心」などについて現状を把握し、今後の浸透策を検討していくため。
対象エリア:日本全国
対象者条件:10~70代の男女
サンプル数:性年代各100人ずつ、計1,400人を人口構成比でウエイトバック集計
調査手法:インターネット調査
調査期間:2022年1月17~21日
調査機関:株式会社電通マクロミルインサイト
SDGsの17の目標テーマと調査上の表現の対応表
本調査では、17の目標テーマからなるSDGsを、次表の通り、どの年齢層にとっても分かりやすい表現に変更した上で、調査を実施しています。

※1 SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国際連合加盟193カ国が2016~30年の15年間で達成するために掲げた目標。世界が抱える問題を解決し、持続可能な社会をつくるために世界各国が合意した17の目標と169のターゲットから成る。
※2 本調査における構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合がある。
※3 第4回「SDGsに関する生活者調査」は2021年1月22~25日に実施。
また、過去の調査は以下の期間に実施。
第1回調査(2018年4月4日発表。調査期間2018年2月6~7日)
第2回調査(2019年4月22日発表。調査期間2019年2月7~18日):
第3回調査(2020年4月27日発表。調査期間2020年1月18~19日):
※4 1990年代半ばから2000年代の初めに生まれた若年層のこと。今後の消費の中心を担う重要な世代であり、世の中の価値観や潮流に影響を及ぼす層として注目されている。(本調査では15~24歳男女の合計が対象)
※5 ニュースサイト、キュレーションメディアなど。
※6 SDGsを扱った関東・関西圏の地上波でのテレビ番組(コーナー)は、2020年で493件、2021年で2,386件だった。(当社調べ)
※2022年4月27日電通コーポレートサイトニュースリリースにて公開された記事を一部加筆・修正し、掲載しております。