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2022/02/01

AI開発に必須の「PYTHON」。マーケティングの効率化に役立てる方法とは

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AI分野の機械学習・ディープラーニング(深層学習)などでよく使われるプログラミング言語「PYTHON(パイソン)」について、特徴や活用事例を紹介するとともに、データ分析などマーケティングにも有用な理由を解説。さらに、今後ますます需要が高まるであろうAIソリューションの有用性と関連し、PYTHONの将来性についても考察していきます。

AI開発に必須のプログラミング言語「PYTHON」とは

PYTHONとは、1991年にオランダ人のプログラマーが開発したプログラミング言語で、オープンソースで運営されているため誰でも無料で環境を構築可能。PYTHONが他のプログラミング言語と比べて優れている点としては、少ないコードで簡潔にプログラムを書くことができ、他の人が書いたコードを見ても分かりやすいこと、用途に応じて活用できるライブラリが豊富にあることなどが挙げられるでしょう。

また、汎用性が高いため、さまざまな分野でWebアプリケーションの開発に活用されており、YouTube、Instagram、Dropboxといった馴染み深いプラットフォームにもPYTHONが使われています。

日経クロステックがITエンジニアに対して行った「プログラミング言語利用実態調査2021」でも、現在使っている利用言語の第1位はPYTHONで3割以上のエンジニアが何らかの業務に使用していることが明らかになりました。多くの分野に活用でき、シンプルで学習しやすいPYTHONは今大変人気の高いプログラミング言語であると言えるでしょう。

AI分野でもPYTHONが活用されている

PYTHONは、AIにおける機械学習、ディープラーニングを用いたソフトウェアの開発にも広く活用されています。その理由としては、これまで説明してきたようなシンプルさ、使いやすさなどに加えて、機械学習やディープラーニングに必要な高度な数値計算や統計処理を得意としていることが挙げられます。

また、機械学習やディープラーニングの開発に適したライブラリが豊富にあることも強みです。例えば、Googleが開発した「TensorFlow」や、Facebookが開発した「PyTorch 」は機械学習に特化したライブラリであり、これらを使えば、AI分野のプログラム作成をより効率的に、容易に行うことができます。

PYTHONでマーケティングを効率化するには?

さまざまな場面で活用されているPYTHONですが、マーケティング分野においてもその有効性が期待されています。マーケティングにおけるデータ収集や分析の工程の自動化・効率化がその1つです。マーケティングにおいて、データ収集と分析は非常に重要ですが、膨大なデータの処理には時間やコストがかかるため、いかに自動化・効率化を実現できるかがポイントになります。

例えば、PYTHONの導入により、ルーチンタスクを自動化することが可能に。データの抽出や分析では、顧客リストや月毎の売り上げ、現金・クレジットカード・電子マネーといった支払い種別ごとの売り上げなど、大量のデータをリスト化したり、グラフ化したりすることも簡単に行えます。Webページの情報を収集・抽出する「スクレイピング」というプログラムを組めば、「SNSからインフルエンサーをリスト化する」「ECサイトから人気商品ランキングを抽出する」「自社のビジネスに関連したニュースを毎日収集する」といった作業を簡単に行うことも。さらには、マウスやボタンを使った操作「GUI操作」を自動化することもできるので、今までは手作業で行っていたことを自動化し、スピードアップするとともに、ヒューマンエラーを減らして確実に作業を行うことができます。

また、「自然言語処理で共起語を抽出し、オウンドメディアの企画に生かす」「口コミ評価にどのような傾向があるか分析する」「画像解析を利用して広告クリエイティブの効果を分析する」なども可能です。このようなデータの収集・分析を効率的に行うことにより、リソースに余裕ができれば、その分、新たな施策の検討などにチャレンジすることもできるでしょう。

AIソリューションの導入が増えるとともに、PYTHONの人気も拡大

最後に、PYTHONの将来性や今後の動向について考察します。

前述の通り、PYTHONは初心者でも習得しやすいことや、操作性の高さ、豊富なライブラリによるプログラム構築の容易さといった理由から、非常に人気のあるプログラミング言語です。日本でも多くの企業が採用していることから、PYTHONエンジニアのニーズも高まっています。ITエンジニア・Webクリエイターの転職エージェント「レバテックキャリア」が2020年に発表した「プログラミング言語別求人案件ランキング」によると、正社員エンジニア市場においては、PYTHONは前年度から大きく求人割合が増え、Java、PHPに次ぐ3位。マーケティングにも活用でき、独学で学べる学習サイトや書籍なども多く出ているので、エンジニア以外でも、データ分析などの業務に携わる人でPYTHONを学びたいという人も今後増えていくのではないでしょうか。

さらに、PYTHONが注目されている背景には、AI分野での活用が挙げられます。機械学習やディープラーニングを中心としたAI分野の研究・開発が進むなか、それらを支えるプログラムを構築するのに適している言語であるPYTHONは、今後もますます需要が高まるでしょう。AI分野の研究・開発が進んでいるのは、近年の日本を含めた先進国で少子高齢化の流れが顕著なことも理由の1つです。企業の人材不足や育成の難しさといった課題を解決する手段として、AIの導入を検討する企業が増えています。

マーケティング分野においてAIが活用される例も増えてきました。例えば、ロゴデザインや広告コピーなどのクリエイティブを自動生成するサービス。あるいはユーザーや地域、タイミングなどによってどの広告画像と広告文を組み合わせると効果が高いかを自動的に学習・生成するプラットフォームもあります。また、SEO対策のサポートや、自社ブランドに合ったインフルエンサーの特定、テレビCMや動画広告などに対するユーザーの反応を計測するソリューションなども登場しており、マーケティングの世界においてAIはますます存在感を増していくでしょう。このようにマーケティングに関連した作業の一部をAIに任せることができれば、忙しいマーケターの作業負担を減らし、より創造的な作業や社内外でのコミュニケーションなどに注力できるようになることが期待されます。

 

PYTHONは読み書きしやすく、扱いやすいプログラミング言語で、専門性の高い外部ライブラリを用いて効率的なプログラム構築が可能です。特に高速な数値計算、統計処理などが得意なため、AI分野の機械学習やディープラーニングなどによく使われます。PYTHONを学べば、今後ますます需要が高まるであろうAI×マーケティングの分野にも生かしていくことができるでしょう。

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Transformation SHOWCASE 編集部

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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