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2021/12/24

ビッグデータ分析をマーケティングに生かす。効果的な施策につなげるためのポイントを解説

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この記事を読んでいる方の中には、既に自社で「ビッグデータ分析」を実践している、あるいはその経験があるという方も少なくないかもしれません。マーケティング施策を精緻化するために、ビッグデータ分析を行い、ターゲットの行動やニーズを把握する、ということ自体はある程度普及してきたように見えます。しかしそれと同時に、ビッグデータ分析がうまくいっているケースと、あまりうまくいっていないケースの2分化が起こっているのも、事実ではないでしょうか。ここでは、ビッグデータ分析にまつわる課題と、効果的なマーケティング施策に生かすためのポイントについて解説します。

社内連携がうまくいかず、データを活用できないケースは多い

ビッグデータの収集・分析に積極的に取り組んでいるつもりでも、実際はあまりうまく活用できていないというケースはよくあります。そのような場合、ありがちなのは「そもそも社内外にあるデータをうまく収集できていない」という状況です。

社内に目を向けると、それまで「ビッグデータ」という考え方が周知されていなかったため、さまざまな部署が個別にデータを集めていたものの、収集方法や形式はバラバラ。それを連携・統合することでマーケティングを精緻化していこうと取り組んでも、各部署で個別最適化していたデータを同一プラットフォームにまとめるのが困難、そもそもデータを連携することに抵抗がある、といった理由からなかなかうまく連携できないということがあります。

また、社内で調達できないデータは、外から集めてくることになりますが、そのために調査を行えば当然コストがかかります。さらに、どれだけの量のデータをどれだけの期間で集めればいいのかわからないといった悩みも出てくるかもしれません。そうした場合、「お客さまのIDを確実に取得し、管理するために、ユーザーアプリを作ろう」という動きが起こることもあるでしょう。新たにユーザーアプリを開発し、顧客情報を一元管理できるようになれば、お客さまとコミュニケーションを取りやすくなり、マーケティングに生かせるデータを集めることも可能になります。

そこでアプリ開発となるのですが、この「ユーザーアプリ」についても、さまざまな課題が生まれ始めています。よくあるのは、「アプリを開発したけれど、利用者にとって魅力的な要素に乏しいのでなかなかアプリをダウンロードしてもらえない、利用してもらえない」といったケースです。そうなると、アプリを普及させるためのプロモーションなどが必要になりますが、その分のコストが追加でかかってしまい、一体何のための取り組みなのか分からなくなってしまう。そんな残念な状況も生まれています。

どのようなマーケティングを実現したいのか、見直すことから始める

このような失敗を引き起こさないためには、改めて「自分たちはどういうマーケティングを実現したいのか」を考えること、さらに「今自分たちはどのようなデータを持っていて、足りないデータは何なのか」を整理することが重要になります。

それらは、当たり前の事のように思われるかもしれませんが、現実には「とにかく社内にあるデータを一通り集めてみよう」とか、「ビッグデータというからには、データ量が多くなければいけないのではないか」など、明確なゴールがないまま、データを集めること自体が目的のようになってしまっている企業は珍しくありません。その結果、使い道も見えぬままに収集を行い、必要でないデータまで集めようと躍起になり、余計な労力をかけてしまうことになります。

もちろん、お客さまのニーズはどこにあるのかを探るために、明確な用途がなくても、さまざまなデータを集めながら分析を進め、新たな発見をしていくことが有効に働く場合もあります。しかし、活用する範囲や目的を設定しないままにデータ分析だけを進めても、本当にマーケティングに有効に活用できるのか考えると、そうでない場合も多いのではないでしょうか。

改めて、自社のビジネスのゴールを見直した時に、どのようなマーケティングを実現したいのか、そのために優先して行うべき施策は何なのかを整理する必要があります。さらにそこから、そのために今保有しておくべきデータとはどのようなデータで、足りないデータは何なのかを明らかにしましょう。こうしたブロセスを経て、自社にとって本当に必要なデータは何か、どのように収集するのが最も効率的・効果的かを十分に検討することが最も重要です。

まずは、今つながっているお客さまとのリレーションを深めることが大切

ビジネスのゴールを改めて見直してみると、自社のデータ収集・分析の方法に対して、メスを入れる角度も変わってくるかもしれません。例えば今、多くの企業では、収益を上げるために「新しい顧客を獲得する」ということをまず考え、そのためのマーケティング戦略を実践しています。しかし、むしろ近年では「今いる顧客の離反を防ぐ」「LTV(Life Time Value:顧客から生涯にわたって得られる価値の総量)を最大化する」ということの重要性が非常に高まっていると言われています。もちろん「まだ出会っていない新しいお客さまを呼び込みたい」と考えることは重要ですが、難しい課題でもあります。新しいお客さまを100人獲得するよりも、既に関係のあるお客さま100人に自社サービスをより頻繁に、より長い期間使用してもらう方が、コストがかからない場合もあるでしょう。

また、全てがオフラインで完結するビジネスであれば、ユーザーに関する詳細な情報を取得するのはなかなか難しいかもしれませんが、デジタル上のサービスであれば、取引の過程でさまざまなデータを手に入れることができるでしょう。つまり、活用できていないだけで、既に保有している顧客データは数多くあると考えられます。そこで、例えば今保有しているデータを活用して、「顧客の“解約防止”を実現するにはどうしたらいいか」といった視点で考えてみると、新しい気づきがあるかもしれません。ビッグデータ分析のためには「まだ手元にない、新しいデータをたくさん集めなければ」と考えてしまいがちですが、それよりもまずは、「今つながっているお客さまとのリレーションを深める」という目的を掲げた上で、手元にあるデータを使ってできることを考えてみませんか。

一方で、現場では「マーケティングゴールはあるけれど、そのためにどんなデータが必要なのか分からない」という悩みも存在すると思います。そこで、経験豊富なデータサイエンティストが揃っている、株式会社電通クロスブレインでは、「Primary Check」というサービスを提供しています。これは、企業が保有するデータの状況に合わせて、データ活用プランを設計し、データマーケティングの実践を支援するサービスです。いわば「今、保有しているデータの目利き」をするサービスと言えるでしょう。このように、データサイエンティストの視点から、「今あるもので何ができるのか」を一度棚卸してみるのも効果的かもしれません。この機会に自社の保有するデータを見直すところから始めてみてはいかがでしょうか。

「大量のデータ分析=ビッグデータ分析」ではなく、データを何の目的でどのように使うかが重要です。自分たちが持っているデータを適切に分析しきれているでしょうか?そもそもどのようなマーケティングを実践したいと考えているのでしょうか?そうした問いに立ち返って、自社の取り組みを見直すことで、データ収集が目的化し、関係者の負担ばかりが増えていくような事態を防ぐことができます。どんなツールやソリューションがあっても、それを導入することがゴールではないことを肝に命じ、目指すビジネスゴールのために、どのように活用すべきかを考えましょう。

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株式会社 電通グループ

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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