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2022/01/25

DWH(Data Ware House)が企業成長につながるワケ。自社で保有するデータを有効に活用する方法とは

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ビジネスにおけるデータ活用が注目される中、急成長が予測されているのがDWH(Data Ware House:データウェアハウス)市場。DWHによってどのようなことが可能になるのか、DWHの特徴や企業成長にもたらすメリットを解説します。さらに、多くの企業で顧客データ活用が進む今、自社の保有するデータをどう整理・活用していくべきかを、活用事例とともに考察します。

企業成長に欠かせないDWHとは?

DWH(Data Ware House)とは、直訳すると「データ倉庫、保管所」。業務の中で日々蓄積される大量のデータをまとめ、時系列で保管しておくデータベースのことを指します。DWHが収集するデータ元となるのは、例えば生産管理や販売管理などの「基幹系システム」、MA(Marketing Automation:マーケティング自動化)やSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)ツールなどの「戦略系システム」、Webサイトのアクセスログなどです。

データレイクとの違いは「分析」を目的としていること

ビッグデータを蓄積しておくものとしては、データレイクもよく知られています。しかし、DWHは情報をただ格納しておくだけではなく、分析を目的としているところに違いがあります。そのため、データレイクは基本的に収集したデータをそのままの形式で保存しますが、DWHは効率良く分析が行えるようにデータが整理されています。また、DWHなどに蓄積されているデータから、用途や目的に応じて一部を取り出し、さらに利用しやすい形にカスタマイズしたものを「データマート」と呼びます。

世界で拡大を続けるDWH市場

2021年8月にアメリカの調査会社Report Ocean社が発表した、DWH市場の成長予測によれば、世界のDWH市場規模は2019年の211.8億ドルから年平均10.7%のスピードで成長し、2028年までに511.8億ドルに達すると予想されています。近年、さまざまな分野で取り扱うデータが急増していること、より高度な分析を行いたいという需要の高まりなどが市場の成長を促進していると言えるでしょう。

2019年時点では、企業規模としては大企業がDWH市場の中心を担っています。これは、大企業ほど大量のデータを保有しており、それらを管理・分析するためにDWHを導入する動きが急増したためと考えられます。また、地域別に見ると大きなウエイトを占めているのが北米です。北米ではエンドユーザーの間でも先進的な技術が早期に採り入れられていることが要因として挙げられるでしょう。しかし最近では、アジア・太平洋地域でもデジタル技術の採用が増加していることなどから、今後はこれらの地域でもDWHを活用する動きが激化すると予想されています。

DWHは製造業、通信サービス、流通・小売業、交通機関などさまざまな企業・団体に導入されていますが、特にニーズが高いと言われている業界の1つは金融業です。銀行や証券会社などの金融業界では、専門性の高いデータを扱うことが多く、経済動向などに合わせてスピーディーにデータを確認・分析する必要があるため、DWHでのデータ管理が有効だと考えられます。

DWHはスピーディーかつ適切な意思決定をサポートする

今後ますます需要が高まると予想されるDWHですが、企業にとって具体的にどのようなメリットをもたらし、企業成長にどうつながるのでしょうか。

メリット1:データ処理を効率的に行うことで、スピーディーな意思決定ができる

DWHではデータを1箇所に集約し、分析しやすい形に整理して保管することができます。そのため、必要なデータをシステムごと、部門ごとに取り寄せる手間がかからず、効率的なデータの収集が可能に。さらに、大量のデータを高速処理でき、データの検索などもスムーズ。データに基づいた意思決定や戦略立案をスピーディーに行えます。

メリット2:過去のデータも保存できるので、より正確な分析ができる

さらに、DWHの大きなメリットとして、過去のデータも含めて時系列順で保存できるという点が挙げられます。データを修正した場合も、過去のデータは消えたり上書き保存されたりすることなく全て保存されるため、顧客情報が変更になった場合でも新旧双方のデータを確認することが可能。記録ミスによるデータ消失のリスクを防げるほか、「変更があった」という事実も含めて記録しておくことが顧客の行動分析に役立てられるケースもあるでしょう。

メリット3:時系列で整理されたデータから、長期的な顧客動向を分析できる

時系列順にデータが保存され、日次・週次・月次などで整理してデータを見ることができるため、長期的な顧客の動向も分析しやすいのもメリットです。時期によって顧客の動向がどのように変化するのか、流れを把握した上で、今後の購買予測につなげることもできるでしょう。より効率的なマーケティング施策や営業活動に役立てることができるのです。

DWHによる情報の一元化や長期的な分析が企業成長のカギ

では、DWHは実際にビジネスシーンでどのように活用されているのでしょうか。例えば、ECサイトでは、顧客の購入履歴や、閲覧履歴、お気に入りの登録数や出店者の出店状況といった膨大なデータが日々蓄積されます。これらのデータをDWHで管理・分析することで、顧客のニーズにあった商品の提案や効果的な広告の打ち出しなどを行うことが可能です。

また、航空会社などの空席率改善にDWHが活用されるケースもあります。顧客の予約・発券状況などの過去データを蓄積しておき、そこからキャンセル傾向を分析。データに基づいて予約受付数やディスカウントを行うタイミングなどをコントロールすることで、空席率を下げることができます。これは空席率が売上に大きな影響をもたらす、映画館やテーマパークなどにも応用可能です。

このように、膨大な顧客データを扱う場合や、長期的なデータ分析が必要となる場合などにDWHの活用は有効であり、日本でもDWHを導入する企業が増えてきています。また、最近では自社が保有するデータを社内で利用するだけでなく、ビジネスパートナーなどと共有したい、あるいは第三者の提供するオープンデータを活用したいといったニーズも生まれています。このようなニーズに対応したサービスも生まれていますので、さまざまなサービスを活用しながら、企業のデータ活用のあり方は、より広範囲に、より多様な形で広がっていくことが予想されます。

 

企業が持続的な成長を目指すために、データ分析はもはや欠かすことができません。日々大量に蓄積されるビジネスデータを一元化し、分析しやすい形で保存してくれるDWHによって、業務を横断したさまざまなデータを有効活用することが可能になります。自社が保有するデータを効率的に分析したいと考えている方、膨大なデータを管理・活用しきれずに課題感を持っているという方は、DWHも選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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Transformation SHOWCASE 編集部

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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