2022/11/10

今話題のマーケティングトレンドワード5:2022年11月

2022年のIAB NewFrontでは、ストリーミングサービス内の新たな動画広告が発表され話題になった他、国内でも大手コンビニエンスストアなどが自前のデジタルサイネージ広告の展開を開始するなど、最近は、広告における新たな動きが目立ちます。デジタルテクノロジーの進化が目まぐるしい昨今、1つの技術がさまざまな方面に波及し、次々と変革を起こすことも少なくありません。今、話題のキーワードを知っておくことで、次に取るべき戦略も見えてくるでしょう。この記事では、ビジネス界隈を賑わせているトレンドワードを5つご紹介していきます。

動画広告の効果を高める、プロダクトプレースメント新手方

VPP

テレビや映画の中に商品を登場させる広告手法「プロダクトプレースメント」に変化の兆しが見えています。2022年開催のデジタルコンテンツの世界的イベント「IAB NewFront」で話題を集めたのが「VPP(Virtual Product Placement)」。商品の選定や配置計画に手間がかかっていた従来の方法と違い、完成した作品に後から商品をデジタル挿入します。映す商品を変えることで作品を繰り返し収益化でき、ストリーミングサービスと連携すればパーソナライズした広告配信も可能に。ただし一方で、作品の世界観にも影響を与えかねず、消費者から敬遠されるというリスクも。今後、最適な方法を模索する必要があるでしょう。

Transformation SHOWCASEで扱っている VPP に関連する記事はこちら

D2Cの強みを引き出すライブコマースとは?ユーザーとの対話が拓く新しい買い物のかたち 音楽業界の変化を見る~デジタル化がもたらす構造的な変化と新たなニーズ~(前編)

これからのECビジネスは「ローカル重視」がカギとなる?

ハイパーローカル

コロナ禍によって急速に伸長したEC市場ですが、欧米では最近その勢いが鈍化。リアル店舗での消費を求める声も再び高まり、新たな事業モデルの模索が始まっています。そんな中で注目されているのが、「ハイパーローカル(超地域密着型)戦略」。「生産者/販売者を知った上で選びたい」「地元に貢献したい」「早く手に入れたい」といった人々のニーズの高まりに伴い、小売や飲食業を中心に地域特化型のビジネスが広がっています。例えば、近隣住民に限定した配送サービスやクーポンの発行などを行うケースも。世界中でビジネスを展開する大手ECでも、ローカル店舗との在庫連携などの施策を開始。今後は観光業などでの展開も期待されています。

Transformation SHOWCASEで扱っている ハイパーローカル に関連する記事はこちら

コロナ禍で、小売業はどんな変化を経験したのか?ウィズコロナの先に見える、小売店舗の新潮流(前編) BOPビジネスを成功に導く仕組みづくりとは?成長の好循環を生む「サーキュラーモデル」がカギ

「毎日が安売り」戦略は、オムニチャネル促進にも効果的?

EDLP

製品・サービスの価格設定は、ビジネスにおいて重要な要素ですが、小売業界でよく用いられる戦略の1つが「EDLP(Every Day Low Price)」。日本の大手スーパーにも導入されています。特売日を設けて安売りする「High-Low施策」とは異なり、恒常的に商品を低価格で提供するEDLPは、特に不況下に強いとされます。値下げに関わる作業削減のほか、商品の価格変動を抑えることで販売予測の精度が上がるのもメリットの1つ。これは、ECサイトと実店舗をシームレスにつなぎ、情報の一元管理によって顧客のニーズを的確につかむ必要のあるオムニチャネルを促進していく上でも、効果的と考えられます。

Transformation SHOWCASEで扱っている EDLP に関連する記事はこちら

機械学習によるダイナミックプライシングで、価格設定をアップデート。顧客の信頼を勝ち得る使いこなし方 お客さまのお買い物行動をつかむカギとなる「ID-POS」活用の可能性とは(前編)

店頭メディアとしても活躍。デジタル広告の新潮流

デジタルサイネージ(店舗サイネージ)

ディスプレーに動画や画像を表示して情報を発信する「デジタルサイネージ」の新しい使い方が注目されています。街中や駅などでは当たり前のものとなりつつありますが、小売店や飲食店で店頭メディアとして自前のデジタルサイネージを導入する動きが目立っています。主な狙いは、①顧客体験向上による売上アップ、②広告掲載による収益獲得と考えられます。例えばある飲食チェーンでは、店内のサイネージで入店までの待ち時間やお店について深く知ってもらうためのコンテンツ、来店客にアプローチしたい企業の広告などを配信。店舗ごとに配信内容を変えることで、地域に特化した情報発信も可能になり、新しいメディアとして注目されています。

Transformation SHOWCASEで扱っている デジタルサイネージ(店舗サイネージ) に関連する記事はこちら

店舗×デジタルで実現する、ワンランク上の顧客体験。店舗の体験価値を向上させるDXとは 「ウェザーマーチャンダイジング」がビジネスや広告にもたらすもの。気象情報を活用してもっと効果的な戦略を

NFTが担保になる?非代替性トークンで資金調達する方法とは

NFTFi

NFT(非代替性トークン)がバズワードとなり、高額取引のニュースが世間を賑わせることも少なくない昨今。NFTとDeFi(分散型金融)をかけ合わせた「NFTFi」が新たに注目されています。NFTFiとは、NFTを担保に仮想通貨をローンとするプラットフォームのこと。近年、NFTの取引は増えているものの、一点物であるがゆえの市場流動性の低さや、基本的に売却することでしか利益を生み出せない仕組みが課題となっていました。NFTFiであれば、仮想通貨を貸し出し、利息によって利益を得ることが可能に。法的保護の観点から課題も残っていますが、今後、新しい資金調達の手段として広がっていく可能性は十分にあるでしょう。

Transformation SHOWCASEで扱っている NFTFi に関連する記事はこちら

DAOとNFTの先にある未来とは? 非中央集権的な発想で、新たな価値が生まれる可能性も 遊んで稼げるGameFi。NFT技術を駆使したゲームが導く、新たなビジネスの可能性
プロダクトリプレースメントやデジタルサイネージなど、古くから存在したり、既に世の中に浸透していたりする言葉が、テクノロジーの進化や企業の新たな取り組みによって再び注目され始めています。また、世界がコロナ禍からの回復を目指す中で、感染症拡大当初とは異なる人々の意識を感じさせるキーワードも増えてきました。こうした社会の動向を踏まえ、自社の戦略を見直したいという方、新しい事業・サービスを始めたいという方は、私たちと一緒に考えてみませんか。