2023/11/24

今話題のマーケティングトレンドワード5:2023年11月

DX化の波がさまざまな分野に及んでいる昨今。中でも、今年7月の道路交通法改正によって街中で見かけることが増えた「マイクロモビリティ」やEV充電などの設備を集約した「モビリティハブ」など、交通DXは盛り上がりを見せています。また、進展めざましいAI関連も依然として注目です。今話題のトレンドワードを知っておくことは、新たなビジネス展開やマーケティング手法のヒントとなるだけでなく、自社が抱えるビジネス課題を見直すきっかけにもなるかもしれません。この記事では、今話題になっているトレンドワードを5つピックアップしてご紹介いたします。

法改正で注目。ラストワンマイルの移動を補う「マイクロモビリティ」

マイクロモビリティ

「マイクロモビリティ(超小型モビリティ)」は、電動キックボードや電動バイク、電動小型自動車など、通常の自動車より小さく、機動性が高い1~2人乗りの乗り物のこと。電車やバスなどの公共交通機関ではカバーしきれない、最寄り駅やバス停から目的地までのラストワンマイルを移動する手段として関心が寄せられています。ほかにも、ガソリンを使わない車両が多く環境性能が高い点や、2024年問題によるドライバー不足に対応し得る点、駅から離れた土地の価値向上や観光需要の喚起などメリットはさまざま。法改正によって各種ルールの整備が進み、さらなる普及も見込まれます。一方で、事故の増加などの課題もあり、メリットを享受するには社会全体の理解が重要なカギとなります。シェアリングサービスやMaaS(公共交通などの移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービス)など、関連ビジネスの盛り上がりも期待されており、まずは一度、ユーザーとして体験してみてはいかがでしょうか。

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新たな地平を切り開く交通DX?地域活性化をもたらす「モビリティハブ」とは

モビリティハブ

MaaSの加速によって、同じく注目を集めているのが「モビリティハブ」です。マイクロモビリティなどの貸し出し拠点や充電ステーションなどが集約された場所のことで、さまざまな交通手段への乗り換えをサポートします。最近は、駅やバスターミナルだけでなく、交通が不便な住宅地などへの設置も増えてきました。また、ただの乗り換え拠点ではなく、新しい生活拠点として人々が集まる場所になることも。ショッピングセンターやカフェのほか、住宅展示場がEV充電器を導入し、集客を図る事例も見られます。人々が集うコミュニケーションの場になることで、地域活性化にもつながっていくかもしれません。こうした取り組みが特に進んでいるのは欧米ですが、日本でも地域ブランディングの観点を取り入れた実証実験が始まっています。「モビリティハブ」が交通や地域の未来をどう変えるのか、今後の動向に注目しましょう。

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AIも幻覚を見る?「ハルシネーション」という課題の現在地

ハルシネーション

マーケティングにおいてもAI活用が進む中、課題の1つとなっているのが「ハルシネーション」です。英語で「幻覚」を意味する言葉で、AIが事実に基づかない情報を生み出してしまう現象を指します。ChatGPTなどのLLM(大規模言語モデル)は、問われたことに対して「分からない」とは回答せず、もっともらしい回答を無理やり生成してしまうことがあります。学習データの質を向上させたり、出力結果にフィルターをかけたりといった防止策についても研究が進んでいるものの、完全にハルシネーションを防ぐことは難しいのが現状です。コンテンツ制作など一般的な生成AIの活用においては当面、人間が目視で真偽を確認する必要があります。とはいえ、新しい技術が普及する時期に課題は付きもの。マイナス面ばかりにとらわれるのではなく、最新の情報をキャッチアップしつつ、より良い活用方法を模索していくといいでしょう。

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AIの判断根拠を分かりやすく。医療や金融分野で期待高まる「XAI」

XAI

「XAI」とは「Explainable AI(説明可能なAI)」の略称で、AIの動作や意思決定がどのようなプロセスや根拠によって行われたのかを説明できるAI技術を指します。多くの機械学習モデルは、出力された結果の判断根拠が不明瞭という、ブラックボックス性の高さが課題です。「XAI」はその判断根拠を人間が理解できる形で示すことで、エンドユーザーが安心してAIを使用できます。例えば、医療診断のような分野でAIを活用する場合、どのようなデータを元に結論が導かれたのかを明確にすることで、医師や患者の納得感が増し、誤診などのリスク低減にもつながります。また、AIの判断過程が明らかになることでアルゴリズムをより良いものへと改善できる利点もあります。コストや技術面などで課題は残るものの、医療や金融など特に確実性が必要な業界では大きな関心を集めており、その需要は今後、高まっていくことが予測されます。

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GAFAMじゃない?ビジネスの潮流を変える「Magnificent Seven」

Magnificent Seven

「Magnificent Seven」とは、世界的に影響力のあるアメリカのビッグテック7社の総称。既に広く知られているGAFAMに、成長著しいTesla社とNvidia社を加えた7社を指します。Teslaは、X(旧Twitter)を買収したイーロン・マスク氏がCEOを務めることでも知られる電気自動車メーカー。Nvidiaは、AI技術を支えるGPUなどの半導体を得意とし、時価総額が1兆ドルを突破したことでも注目を集めています。この7社だけで、アメリカの主要500社の売上高の1割を占めることからも、規模の大きさが想像できるでしょう。ちなみに、総称は映画『The Magnificent Seven(荒野の七人)』が由来となっています。これまでGAFAMによってビジネスの潮流は大きく変化してきましたが、今後は「Magnificent Seven」がどのような影響を及ぼすのか見守っていきましょう。

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今月は、モビリティ関連のキーワードのほか、「ハルシネーション」「XAI」など、AI技術にまつわるキーワードもご紹介しました。こうしたワードからは、AIを始めとしたデジタル技術が急速に社会に浸透する中、これまでになかった新たな問題が生じていることが読み取れます。交通や医療など、人々の生活に直結する分野に影響する課題に対して、何ができるのか。その方法を模索することが、これからのビジネスには必要です。デジタルと社会課題の解決を組み合わせたアプローチを検討中の方は、ぜひ一度、私たちにお声掛けください。