2023/12/06

今話題のマーケティングトレンドワード5:2023年12月

日常生活でもビジネスでも、社会のさまざまな場面でデジタル化が加速している現代。AIや暗号資産などが社会に浸透する中で、最近はそうした技術をさらに次の段階へと推し進めるキーワードが目立ちます。人間と同じ汎用的な能力を持つAI「AGI」、実物資産をトークン化して管理・取引する「RWA」もその1つ。トレンドワードをチェックし、日々、進化を遂げる技術やそれに伴う世の中の変化を捉えることは、ビジネスの新たな一手を考える上でも重要です。この記事では、今話題になっているトレンドワードを5つピックアップしてご紹介します。

多くの経営者が注目する「AGI」。ChatGPTを超えるAIが世界を変える?

AGI

「AGI」とは「Artificial General Intelligence(人工汎用知能)」の略語で、人間のように汎用的な知識や能力を持ったAIを指します。従来のAIと比べ、高度な学習能力や意思決定能力を持ち、さまざまなタスクに柔軟に対応可能とされます。ChatGPTでは、最適な回答を引き出すために作り込まれたプロンプトが必要となりますが、AGIが登場すれば不要になると言われています。AGI時代の到来は、AIの能力が人間を超える「シンギュラリティ」の訪れを意味するとの見方もあるほど。さらに、AGIの先にはAIの進化の頂点とされる「ASI(人工超知能)」があり、あらゆる点で人間の能力をしのぎ、人間が解決不可能な課題に対応できるようになると考えられています。多くの専門家や経営者が注目し、現実味を帯びてきたAGI。その動向を注視することで、ビジネスにおける大きなヒントをつかめるかもしれません。

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社会を支える「デスクレスワーカー」。ニーズが高まる現場のDX支援

デスクレスワーカー

「デスクレスワーカー」とは、オフィスやデスクを離れた現場で仕事に従事する労働者のこと。建設や流通、製造、小売のほか、農業、医療、教育、福祉などの働き手も含まれ、米国のベンチャーキャピタルの調査では、世界の労働人口の約8割を占めるとも言われています。いわゆる「オフィスワーカー」と比べ、こうした職種で懸念されているのがDX化の遅れ。人手不足が深刻化している業種も多く、テクノロジーによる業務効率化は喫緊の課題と言えます。そんな中で最近は、チャットツールの導入やタスク管理の電子化などが進みつつあります。他にも非効率的な事務作業の自動化、作業手順の動画マニュアル化などさまざまなサービスが登場し、労働環境の改善につながることも期待されています。あらゆる業界で働き方の見直しが叫ばれる中、デスクレスワーカーへのDX支援は、ビジネスとしてアプローチする余地が大きい分野と言えそうです。

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暗号資産を盛り上げる切り札になるか?現実資産「RWA」とは

RWA

「RWA(Real World Assets)」とは、日本語で「現実資産」の意味。不動産や自動車、時計など現実世界に存在する資産のことで、これらをトークン化してブロックチェーン上で管理・取引する動きが加速しています。最近では、株式や債券などをトークン化したセキュリティトークンも含む形で、新たなトレンドに。不動産のような大きな資産を小口化できるなど、取引の利便性が高まるほか、アートや熟成酒など、扱いが難しい資産も適切に保管したまま、現物との引換券を売買するように、所有権のみを厳正かつ高い自由度のもとで取引できるというメリットがあります。米国の大手コンサルティングファームによるレポートでは、既存の金融資産が暗号資産市場に持ち込まれることで、2030年までに16兆ドルの市場になるとの試算も。日本でも大手金融機関を中心にプラットフォーム開発の動きも出てきており、今後の動向が注目されます。

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SaaS界隈で注目。マルチプロダクトの新戦略「コンパウンドスタートアップ」

コンパウンドスタートアップ

最近、SaaSスタートアップ界隈で注目を浴びているのが「コンパウンドスタートアップ」です。創業時から、単一のプロダクトではなく、複数のプロダクトを同時に展開する競争戦略を指します。従来は、1つの事業やサービスに特化する戦略がスタートアップの定石とされてきましたが、市場が成熟し、どの分野でも競合他社がいるような状態になってきました。そんな中、関連性の高い複数のプロダクトを提供することで、優位性を示す戦略が注目を集めています。扱うプロダクトの範囲を広げることで、顧客が抱える問題の効率的な解決、ビジネスの機会損失の減少などにつながるほか、顧客ごとの契約金額を引き上げつつ、製品単体では競合を下回る価格設定も可能になります。高品質なプロダクトの同時開発・運用は難易度が高いという課題はあるものの、今後、スタートアップの戦略を考える際には、検討する価値のあるアプローチと言えるでしょう。

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人間の行動に着目する「IoB」はマーケティングの進化を加速させるか

IoB(ふるまいのインターネット)

「IoB」とは、「Internet of Behaviors(ふるまいのインターネット)」の略語で、人間の行動に関するデータを収集し、生活の質向上のために活用する技術を指します。Webサイト上の閲覧・購入履歴を利用したターゲティング広告やレコメンドの表示、スマホの位置情報の活用もその一例です。「IoB」には「Internet of Bodies」という意味もありますが、こちらはウェアラブルデバイスやペースメーカーなど、人間の身体状況に関するデータを取得・活用する技術のことです。これらの行動データの収集や利用にはプライバシーの観点から懸念があるものの、ヘルスケア、IoT、自動運転など実用化が進むにつれ、徐々に理解は深まりつつあります。膨大な行動データを最適に活用することで、新しいビジネスチャンスが広がるIoBは、デジタル時代のサービスや産業の在り方を大きく変える可能性を秘めています。

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DOOHの現在地~その進化と、コロナ禍を超えた展望について~(前編) ITPやCookie規制で変わるコミュニケーション。プライバシーに配慮しつつカスタマーサクセスを実現するテックタッチ施策とは
今月は、高度化が進むデジタルテクノロジーにまつわるキーワードを中心にご紹介しました。「デスクレスワーカー」や「IoB」など、時代と共に変化する働き方や人々の行動に着目し、効率や快適性を高めるサービス、プロダクトの提供が目立っています。デジタル技術が暮らしに欠かせなくなり、そこに含まれる課題をどのように乗り越え、新たな価値を提供していけるのかが、今後のビジネスのカギとなるかもしれません。自社でDX化やAIを活用したサービスをご検討中の方は、ぜひ一度、私たちにお声掛けください。