2024/11/13

今話題のマーケティングトレンドワード5:2024年11月

AI技術が目覚ましく進化する中で、現実世界でより積極的な役割を果たすAIの存在感が増しています。例えば、人間に代わり商品やサービスの発注を行う「マシンカスタマー」や、身体性を持ち物理的に人間の作業をサポートできる「エンボディドAI」などの技術が話題です。こうしたトレンドワードを押さえることで、ビジネスの現場での生産性や安全性の向上に役立つヒントが見つかるかもしれません。この記事では、今話題のトレンドワードを5つピックアップしてご紹介します。

マーケティングに変化をもたらす「マシンカスタマー」という存在

マシンカスタマー

「マシンカスタマー」とは、AIなどを活用することで、人間の代わりに機械やソフトウェアが商品やサービスを購入・契約すること。もともとは米国のリサーチ企業が提唱した概念で、例えば、インクや食品などの消耗品の残量を検知して自動発注するサービスなどで既に実用化されています。「マシンカスタマー」のメリットは効率性と合理性にあり、例えば金融取引をオンラインで完結させるフィンテックとも親和性が高く、今後AIが金融取引を自律的に担う時代もそう遠くないと考える専門家もいます。「マシンカスタマー」の普及に伴い、領域によってはマーケティング手法を人間に対する感情的なアプローチから、マシンに対する合理的なアプローチへ適応することが求められるケースも考えられます。ある意味、マシンの方がロイヤルカスタマーにしやすいといえるのかもしれません。今の段階から「マシンカスタマー」に対する知見を深めてみてはいかがでしょうか。

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体を持つAI?「エンボディドAI」が“AI技術の集大成”と言われる理由

エンボディドAI

「エンボディドAI」とは、身体性を持つエージェントベースのAIであり、高度なAIを搭載したロボットのような存在です。現在、主にデジタル上で活用されているAIが物理的な体を持つことで、物体の操作や人との共同作業が可能になり、医療現場や危険な場所での作業支援など、利用シーンの拡大が期待されています。マルチモーダル技術の活用によって視覚や言語の情報を統合的に処理し、より自然にユーザーとの間のインタラクションが可能になることが注目されており、AIのほぼ全ての技術が含まれていることから、“AIの集大成”と評価する声もあります。「エンボディドAI」を実用化するには、物理的な領域での多様かつ高品質なデータ収集や処理が求められるためハードルは高いものの、中国では既に関連企業が100社以上誕生し、開発が活発化しています。AIに関わる重要なトレンドとして、今後の動向を注視していきましょう。

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SNS時代の顧客とのつながり方「シェア・オブ・カルチャー」とは

シェア・オブ・カルチャー

「シェア・オブ・カルチャー」は、多くのブランドのCMOが注目しているSNS時代における新たな顧客とのつながり方です。従来の「シェア・オブ・ボイス」が広告やメディアでの露出量を重視していたのに対し、「シェア・オブ・カルチャー」は、コンテンツやエンターテインメントを通じてブランドがカルチャーの一部として生活者と深くつながることを目指します。独自の商品や体験を提供する、大手コーヒーチェーンなどがカルチャー化していることはその成功例といえるでしょう。ある調査では「シェア・オブ・カルチャー」を定義する6つの要素(影響力、リーダーシップ、信頼、エンゲージメント、サステナビリティ、品質)が注目されました。これらが高いほど文化的な影響力や存在感を持つことを示し、ユーザーとの持続的なつながりが売り上げや顧客ロイヤルティに結びつくと考えられます。新たなマーケティング施策を考えるヒントにしてはいかがでしょうか。

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まるで食事のおかず?「電子ザーサイ」から浮かび上がる中国Z世代の価値観の変化

電子ザーサイ

中国のZ世代の間では、食事中にスマホやタブレットで動画を視聴するスタイルが広がっており、まるで食事の「おかず」のような存在になっている電子コンテンツの在り方を「電子ザーサイ」と呼びます。中国では家族や友人らと一緒に食事をすることが一般的でしたが、コロナ禍で個食が推奨される中で「電子ザーサイ」が広まったとされます。同様の傾向は韓国にも見られ、日本のグルメドラマの影響などで、1人で食事をとることへの抵抗感が薄まったことも理由の1つとされています。「電子ザーサイ」としては主に短尺動画が視聴されており、国や地域を問わないタイパ志向の広がりもうかがえます。中国のECビジネスにとって重要な「独身の日」(11月11日)に合わせた施策展開など、中国市場にアプローチする際は、こうした価値観やライフスタイルの変化を踏まえた戦略が有効かもしれません。

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スマートフォン時代に最適化されたWebデザイン「スマホンシブ」

スマホンシブ

近年、PCで閲覧してもスマホの画面のようなデザインレイアウトで表示されるWebサイトを指す「スマホンシブ(サイト)」という呼称が定着してきています。「スマートフォン特化型サイト」とも呼ばれ、PC閲覧時の違和感を減らすため、画面の左右に生じる余白にナビゲーションやキービジュアルを配置するなどの工夫が施されるのが一般的です。現在は、PCとスマホでレイアウトを変える「レスポンシブ」が主流ですが、最近は、スマホユーザーとの親和性向上や制作コスト削減を目的に「スマホンシブ」が選ばれるケースが増えてきました。スマホユーザーを意識した手法のため、若年層をターゲットとした教育やアパレル業界のほか、SNS連動型のキャンペーンサイトにも適しています。一方、PCユーザーが多いBtoB業界では、見づらさが逆効果になる恐れがあるため、導入時にはターゲットユーザーの特性やサイトの目的を十分に考慮することが重要です。

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人の意思決定や行動をデザインする「ナッジ」とは?行動経済学を取り入れたマーケティング施策を考える マーケティングデータ分析最前線。マーケティングの精度が上がらない本当の理由とは?(前編)
今月は、AI関連のキーワードに加え、「シェア・オブ・カルチャー」や「電子ザーサイ」など、現代のデジタル文化の影響力や消費行動に関するトレンドも取り上げました。これらのキーワードからは、ブランドやサービスが日常の一部として、人々の生活スタイルや価値観に深く関わることの重要性が読み取れます。メリットとデメリットを両面から捉え、自社のマーケティングに生かすことで新たな戦略が見えてくるかもしれません。AI活用やトレンドを取り入れたマーケティング手法を検討中の方は、ぜひ一度、私たちにお声がけください。