2024/10/24

今話題のマーケティングトレンドワード5:2024年10月

SNSの普及や多様なコンテンツの登場により、企業が消費者の関心を集めることの重要性が一層高まっています。注目される手法として、SNSで興味を引く文章テクニック「さとり構文」や、拙い表現をあえて生かした親しみやすい演出でZ世代の共感を集める「アグリー広告」の使用、ブランドを想起するきっかけである「カテゴリーエントリーポイント」を増やすことなどがあります。こうしたトレンドワードに着目することで、他社と差をつけるマーケティングのヒントが得られるかもしれません。この記事では、今話題のトレンドワードを5つピックアップしてご紹介します。

マーケティングの効果に期待。SNSで“バズる”文章術「さとり構文」

さとり構文

「さとり構文」とは、SNSで頻繁に“バズる”投稿をしているユーザーが考案した投稿拡散のための文章テクニックです。「〇〇な人は全員△△をやったほうがいい」というフレーズで、〇〇に当てはまるターゲット層に向けて△△を行うことの具体的なメリットや効果を説明していくのが特徴となっています。例えば、次のような文章が当てはまります。「SNSの投稿を多くの人に見てもらいたい方は全員『さとり構文』を使ってみるといいでしょう」。この文章構造により、ターゲットの共感を引き出し、潜在的なニーズを刺激することで、購買などの行動を誘発します。また、“構文”というキャッチーな手法は、マーケティングにおいて戦略的に話題を獲得したい時の参考になるかもしれません。最近では、AIを使って「さとり構文」風の文章を作成するプロンプトなども登場しているため、興味のある方は調べてみてはいかがでしょうか。

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生成AIの処理能力を向上、アウトプットの精度を上げる「RAG」とは

RAG

生成AIにはハルシネーションなど、アウトプットの精度に弱点があることが指摘されていますが、その精度向上策として注目されるのが「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」。大規模言語モデル(LLM)に外部の信頼できるデータベースを接続し、学習済みデータ以外の情報も参照可能にする技術です。類似の技術であるファインチューニングは、外部データの事前学習で翻訳や分析などの特定タスクを高い精度で実行できるという利点があります。一方で「RAG」は必要に応じてその都度外部データを参照するため、新しい情報への対応力が高く、膨大な専門知識による判断が必要な分野でその強さを発揮します。チャットボットやレコメンデーション、医療の臨床評価など幅広い用途で利用されており、生成AIの発展を支える技術として期待される「RAG」。AI関連の注目ワードとしてぜひ押さえておきましょう。

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新しい食の価値を提供。今再び注目を集める「3Dフードプリンター」

3Dフードプリンター

「3Dフードプリンター」とは、ペースト状の原料を用いて食品そのものを立体的に造形する技術。以前から存在はしていましたが、実用に向けた研究が進み、イベントやメディアでの取り上げ、企業におけるサステナブル活動の重要性向上などを機に再び注目されています。利点として、自由な形状やデザインの食品が作れるほか、食感や栄養素を個々の好みや健康状態に合わせて最適化できる点などが挙げられます。また、食品の一部に無害なバーコードを造形しトレーサビリティを向上させる、廃棄食材を原料とすることでフードロスの削減にも寄与するなど、SDGsの観点からも期待を集めています。当初は介護食や宇宙食向けとされていましたが、近年は複雑な造形やリアルな食品の再現も可能となりつつあり、消費者に新たな食体験を提供するアイデアも生まれています。「3Dフードプリンター」が生活をどのように変え、ビジネスを生み出すのか、今後の展開に注目しましょう。

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「カテゴリーエントリーポイント」が多いほど商品購入機会が増加する?

カテゴリーエントリーポイント

「カテゴリーエントリーポイント」は、海外論文で使用されて、あらためて話題となったマーケティング用語で、消費者が商品・サービスの購入または利用を考えた際に、特定のブランドを想起するきっかけを指します。例えば、缶コーヒーなら「朝の出勤前や仕事中(When)」に「眠気を覚ましたい(Why)」といった時間や場所、シチュエーションがこれに当たります。この「カテゴリーエントリーポイント」が多いほど、消費者がブランドを思い出しやすくなり、購入機会が増加します。また、独自の接点を作ることで、競合との差別化や寡占市場への挑戦もしやすくなると考えられます。「カテゴリーエントリーポイント」のマーケティング利用には、5W1Hなどのフレームワークを使った商品やサービスの分析が効果的で、最近では、これに関連するマーケティング支援サービスも登場しています。自社での活用を一度検討してみてはいかがでしょうか。

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Z世代に支持される、作りこみすぎない「アグリー広告」とは

アグリー広告

一般的に広告というと、高品質で洗練されたものを思い浮かべるかもしれませんが、「アグリー広告(ugly ads)」は、あえて手振れした映像を使うなど、親しみやすい稚拙さを強調した広告です。SNSのようなカジュアルなコミュニケーションが普及し、作り込まれた広告に抵抗感を持つZ世代を中心に支持を広げています。「アグリー広告」は制作コストを安く抑えながら、ユーザーのエンゲージメントを高める効果を得やすいため、広告予算が少ない企業にも適した手法といえます。ただし、ブランドによっては、その世界観にマッチしない「アグリー広告」がイメージや信頼性を損ねるリスクもあるため、使い方には注意が必要です。まだ「アグリー広告」の導入例はそれほど多くないため、他社に先んじて取り入れることで強いインパクトを与えられるかもしれません。目的を明確にした上で、マーケティングに活用してみてはいかがでしょうか。

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今月は、マーケティングやコミュニケーションにまつわるキーワードに加え、生成AIや3Dプリンターなどのテクノロジーに関連するキーワードも取り上げました。「RAG」や「3Dフードプリンター」は以前から注目されていましたが、課題への対応や市場の変化に伴い、さらに発展を続けている技術です。これらの最新テクノロジーを活用することで、ビジネスに新たな可能性が広がるかもしれません。ターゲット層の興味を引く新たなマーケティング手法を探している方や、デジタル技術の活用に課題を感じている方は、ぜひ一度、私たちにお声掛けください。