2025/03/24

今話題のマーケティングトレンドワード5:2025年3月

AIやテクノロジーの進化が、働き方や娯楽など、さまざまな領域に大きな変化をもたらしています。例えば、AIによる業務の効率化により、1人で企業並みのビジネスを運営する「ひとり起業/ソロプレナー」や、メタバースやVR技術の進化によって注目される「ハプティクス」などが挙げられます。これらのトレンドワードを押さえることで、社会の未来を予測し、新たなビジネスの打ち手やそのヒントが得られるかもしれません。この記事では、今話題のトレンドワードを5つピックアップしてご紹介します。

主張しすぎず、気分を“アゲる”。Z世代のトレンド「クワイエット・アゲ」

クワイエット・アゲ

2025年のZ世代のトレンドとして注目されているのが「クワイエット・アゲ」です。主張しすぎず、静かに気分を“アゲる”自己表現のスタイルを指し、ファッションやライフスタイル全般に広がりを見せています。例えば、歯に付けるアクセサリー「ティースジュエリー」や、耳を飾りながらツボを刺激して健康効果も得られる「耳つぼジュエリー」、数年で自然に消えるカジュアルなタトゥー「エファメラルタトゥー」などがあり、特にK-POPアイドルの着用やSNSでの発信によって人気に火が付くケースが少なくありません。以前ご紹介した「Quiet Luxury」のように、上質でありながら華美ではないファッションを好む傾向が続く中、セルフケアとおしゃれを両立させたい、周囲との調和を乱さずさりげなく自己表現したい、といったZ世代の複雑な感性が反映されたトレンドといえそうです。経済を大きく左右するZ世代の動向に今後も注目しましょう。

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街自体がホテルに変わる?日本各地で広がる「分散型ホテル」

分散型ホテル

「分散型ホテル」とは、街や集落内に点在する古民家や空き家、空き店舗などをネットワーク化し、1つのホテルのように機能させる宿泊形態を指します。客室、食堂などの役割をそれぞれの建物に分散させることで、観光客が自然と地域を回遊する仕組みが生まれる点が特徴です。リノベーションを施した施設も多く、空き家や遊休不動産の活用に加え、観光業の活性化や雇用創出にもつながり、地域活性化に広く貢献する取り組みといえるでしょう。また、街全体が1つのホテルという体験を提供することで、観光客にとっても新しい旅の楽しみ方を味わえるメリットがあります。もともとはイタリアで始まった試みですが、日本でも深刻化する空き家問題の解決策として注目され、長野や愛媛といった地方から、大阪や神奈川などの都市部に至るまで、個性的な「分散型ホテル」が続々と登場しています。観光の新たなトレンドとして注目してみてはいかがでしょうか。

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ドローンや自動運転の進化を支える新たな仕組み。「空間ID」とは

空間ID

「空間ID」とは、3次元空間を「空間ボクセル」と呼ばれるボックスで仮想的に区切り、一意に位置を識別・管理するための共通規格です。「空間ID」を活用すると、例えば、ドローン宅配で離着陸地点をピンポイントで指定し、荷物を正確に届けられるほか、倉庫内の棚の位置を詳細に管理することで、物流の自動化も可能になると期待されています。また、自動運転によるデマンド交通やロボットによる遠隔操作といった分野への活用も見込まれています。これまで、こうした空間属性情報は事業者ごとに異なる仕様や規格が用いられていましたが、「空間ID」によって統一されることで、データの横断的な活用が可能となり、より効率的な管理・運用が実現するでしょう。現在、国や自治体、民間企業が連携しながら開発を進めており、人手不足対策やスマートシティの実現に貢献する技術として注目が高まっています。今後の動向を注視しましょう。

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AIで変わるワークスタイル。「ひとり起業/ソロプレナー」という選択肢

ひとり起業/ソロプレナー

近年、米国を中心に広がっている新しいワークスタイルが「ひとり起業/ソロプレナー」です。これは、従業員を雇わず、個人のスキルやデジタルツールを活用してビジネスを展開する形態を指します。背景には、コロナ禍による副業・リモートワークの普及に加え、AI技術の進化による業務の自動化・効率化が進み、個人が対応できる業務領域や作業量が大幅に拡大したことがあります。従来の起業家は、事業の管理や戦略策定を得意としつつも、実務は他者に委ねるような形も多くありました。しかし、「ひとり起業/ソロプレナー」は管理から実務まで全て1人で担う点が特徴です。そのため、個人にとっては自由度の高い働き方や迅速な意思決定が可能になり、企業側にとっても必要なスキルを持つ人材を個人単位で指名できる点にメリットがあります。「ひとり起業/ソロプレナー」は今後、社会にどのような変化をもたらすのか、その動向に注目していきましょう。

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エンタメから医療現場まで。触感を再現する技術「ハプティクス」

ハプティクス

「ハプティクス(Haptics)」とは、ウェアラブルデバイスなどを装着し、体に振動や動き、力を与えることで、実際にモノに触れているような感覚を疑似的に得られる技術です。この技術⾃体は新しいものではなく、スマホやゲームコントローラーなどに採用されてきましたが、メタバースやVR/ARの普及、5Gなどの通信技術の向上を背景に、あらためて注目が高まっています。「ハプティクス」は、イマーシブ体験が人気を集めるエンタメ業界のほか、機械の遠隔操作やそのトレーニングが求められる建設・製造現場、医療現場など、幅広い分野への活用が期待されています。また、視覚障害者サポートへの応用可能性も示されており、アートやスポーツの試合を視覚に頼らずに体感できる技術の開発なども進められています。こうした多様な活用が進む「ハプティクス」。これを機に、さらに理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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今月は、テクノロジーを含む環境の変化に伴い、あらためて注目が高まっているキーワードを中心にご紹介しました。2006年には既に登場していた「分散型ホテル」や、技術自体は以前から存在していた「ハプティクス」のように、社会や人々の価値観が変化することで、意味が再定義され、新たなビジネスの可能性が広がることは珍しくありません。また、「クワイエット・アゲ」のようにZ世代が起点となり社会に変化をもたらすトレンドにも引き続き、注目したいところです。既存の技術を活用して新たな価値を生み出したいなど、ビジネス戦略でお悩みの方は、ぜひ私たちにご相談ください。