2025/07/24

今話題のマーケティングトレンドワード5:2025年7月

テクノロジーの分野では、既存の技術に新たな価値を加えることで、社会の在り方を大きく変え得る革新的なキーワードが次々に生まれています。強くて軽い先進的な複合素材「CFRP」や、個人の身体状態をサーバー空間に再現する「バイオデジタルツイン」などもその1つです。こうしたトレンドワードは私たちの暮らしにも深く関わっており、いち早く着目することで、市場ニーズの先取りや、新たなビジネスチャンスの発見につながるかもしれません。この記事では、今話題のトレンドワードを5つピックアップしてご紹介します。

ドローンやインテリアでも活用。強くて軽い次世代素材「CFRP」

CFRP

強くて軽い素材として、大規模イベントの建造物などに用いられて注目されているのが、「CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化プラスチック)」です。炭素繊維を樹脂で補強してつくられるこの複合素材は、金属よりも軽量でありながら、高い強度と剛性を実現しています。これまではゴルフクラブや自転車など、スポーツ用品への活用が中心でしたが、近年では、航空機や自動車、医療機器に加え、ドローンや家具、インテリアなど、幅広く用途が広がっています。一方で、「CFRP」は分解・処理が難しく、使用後は廃材として埋め立てられるケースが多いため、リサイクルや再利用の技術開発が喫緊の課題となっています。持続可能な社会の実現に向けては、素材としての魅力と環境への配慮をどう両立させるかが重要であり、今後は、よりサステナブルで使いやすい「CFRP」の活用や改良が求められそうです。

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健康状態をサイバー空間に再現。医療DXの最前線「バイオデジタルツイン」

バイオデジタルツイン

「デジタルツイン」という言葉は広く知られるようになってきましたが、今回ご紹介する「バイオデジタルツイン」は、その“人間版”ともいえる新たな技術です。ウェアラブルデバイスから得られるバイタルデータや、病院のカルテ、健康診断の結果などを基に、個人の身体や心理状態をデジタルモデルとしてサイバー空間に再現するもので、現在の心身状態や将来的な健康リスクを把握し、最適な治療方法をシミュレーションすることができます。病気の早期発見や、1人ひとりに最適化された治療の提供といった医療分野での応用が想定されており、さらに進化すれば、診断や治療の自動化といった高度な医療技術への展開も期待されています。今後は、企業における従業員の健康管理への活用、健康保険のカスタマイズや金融サービスの個別最適化など、さまざまな領域への展開も見込まれます。ヘルスケア分野の新たなキーワードとして、今後の展開に注目しましょう。

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日本文化を愛する海外ファン「weeb」がインバウンド需要の拡大をけん引

weeb

インバウンド需要の拡大とともに日本文化への関心が高まる中、注目されているのが「weeb(ウィーブ)」です。もともとは漫画やアニメに熱中するマニアを揶揄(やゆ)するスラングでしたが、現在では日本文化全般を愛好する海外ファンを表す言葉として、ポジティブな意味合いを持つようになってきました。今では一種のアイデンティティーとして受け入れられ、肯定的に使われるケースも増えています。SNSでは、訪日中の「weeb」たちが好きなアニメグッズを購入したり、日本の街並みや食文化を満喫したりする様子が数多く投稿されており、日本経済に好影響を与える存在としても注目されています。「weeb」に関する書籍も出版されるなど関心は高まっており、今後の訪日インバウンド戦略やポップカルチャーとのコラボレーション施策を考える上でも、大きな可能性を秘めた存在といえるでしょう。

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広がる即決志向「せっかち経済(インペイシェンス・エコノミー/せっかちエコノミー)」

せっかち経済(インペイシェンス・エコノミー/せっかちエコノミー)

「せっかち経済」とは、経済活動において人々の意思決定のスピードが加速する傾向を指します。特にZ世代・α世代でこの傾向が顕著で、即時予約やワンタップ購入といったスピード感のあるサービスが支持を集めています。こうした背景を受け、企業側には待たせないUX設計が求められ、即レス対応のチャットサポートや短尺の動画広告など、短時間で必要な情報が得られる仕組みが不可欠に。一方で、SNSで不特定多数が発信する不正確な情報に影響され、拙速な判断に至るケースも見られ、医療や金融といった分野では大きなリスクを生む懸念があります。さらに、膨大な情報処理を可能にするAI技術の進展が、「せっかち経済」の加速に拍車をかける可能性も指摘されています。マーケティング担当者には、「せっかち経済」がもたらすビジネスチャンスに着目しつつ、その背後にあるリスクにも目を向けた、バランスの取れた戦略構築が求められるでしょう。

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キャリアと自由を両立する時代へ。Z世代が選ぶ「マイクロリタイア」とは

マイクロリタイア

Z世代を中心とした層は働き方にも独自の価値観を持っており、「マイクロリタイア」はその代表例です。定年退職のように仕事を完全に引退するのではなく、キャリア途中で数カ月から数年間、意図的に仕事から離れることを意味します。例えば、数年間フルタイムで働いた後に1年間旅に出て、また職場に戻るといったワークスタイルです。就職前の「ギャップイヤー」や海外での「ワーキングホリデー」と異なり、働く時間と自由な時間を交互に取り入れる点が特徴。一時的に仕事を離れることで、燃え尽き症候群の予防や自己内省の機会となり、キャリアプランの見直しやリカレント学習など、自己実現の時間を確保することにもつながります。企業もこうした働き方を支援することで、従業員満足度や帰属意識を高め、離職防止や優秀な人材の確保といった効果が期待できます。人材不足が深刻化する今、柔軟な働き方を受け入れる姿勢は、人事戦略において注目すべき視点といえるでしょう。

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今月は、「せっかち経済」や「マイクロリタイア」など、私たちのライフスタイルや働き方に関わるキーワードも取り上げました。Z世代・α世代を中心に時間の使い方に対する価値観が多様化しており、効率やスピードを重視する一方で、自分自身とじっくり向き合う時間を大切にする姿勢も見られます。こうした変化を的確に捉え、テクノロジーやマーケティング施策にどう生かしていくかが、これからの企業活動において重要なカギとなるでしょう。Z世代・α世代の理解や、新しいニーズへのアプローチに課題を感じている方は、ぜひお気軽に私たちにご相談ください。