2024/02/15

今話題のマーケティングトレンドワード5:2024年2月

大きく揺れる国際情勢や経済状況の影響を受け、さまざまな問題が噴出している昨今。「持続可能性」という観点から、社会の仕組みやビジネスの在り方を見直す動きが盛んになっています。電気自動車を蓄電池として防災などに活用する「V2H」、輸入木材に頼る日本の林業を再考する契機となっている「ウッドショック」なども、そうした潮流の1つ。こうした話題のキーワードをチェックすることで、ビジネスを取り巻く環境の変化やそれを踏まえたアプローチなどが見えてくるかもしれません。この記事では、今話題になっているトレンドワードを5つピックアップしてご紹介いたします。

注目集まる「デジタル給与」。決済ビジネスの潮目を変えるか

デジタル給与

キャッシュレス決済の普及を狙いの1つとして、2023年4月の法改正で解禁されたのが「デジタル給与」です。これによって従業員への給与の支払いが、電子マネーや決済アプリなどを使って行えるようになりました。法改正にあたっては、デジタル給与の強制の禁止、現金化できないポイントや仮想通貨の使用の禁止など、ユーザーが不利益を被らないよう配慮がなされているものの、口座を不正利用されるリスクや企業側の運用負担の増加などの課題も指摘されています。まだ普及しているとは言えない状況ですが、電子マネー事業者がスポットワーク事業に参入し、「将来的にデジタル給与払いを実現する」と発表したことを受け、注目度は高まっています。こうした動きが拡大すれば、キャッシュレス決済の利用シーンやユーザー層も変化していくことが予測されます。さまざまなビジネスに影響を与え得る「デジタル給与」の今後の展開を追っていきましょう。

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「V2H」で電気自動車から自宅に給電。EVをもっとサステナブルに

V2H

「V2H/VtoH」とは「Vehicle to Home」の略で、家庭用の電力をEV(電気自動車)などに充電する機能に加え、EVのバッテリーに蓄えた電力を家庭に送るという双方向の給電機能を備えた仕組みのこと。車を蓄電池のように扱うことができるため、停電時などに電源として活用でき、身の回りのものを災害などの非常時に役立てる「フェーズフリー」という考え方や「防災DX」と親和性があります。また、充電スピードが速く、自宅での高速充電が可能。充電スタンド不足の解消にもつながります。太陽光発電と連携することで、より効率的に電力を利用できることから、サステナビリティの観点からのメリットも。2023年10~11月にかけて開催されたジャパンモビリティショーでも複数の「V2H」製品が紹介されました。導入コストなどの課題はあるものの、EVの一般化やサステナブル意識の高まりも相まって、さらなる普及が見込まれます。

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「ECアグリゲーター」がもたらしたD2Cビジネスの光と影

ECアグリゲーター

これまで米国を中心に急速な広がりを見せてきたD2Cですが、近年、そのブームにかげりが見えてきました。「ECアグリゲーター」とは、そうしたD2C企業を中心としたECブランドを買収し、マーケティングやブランディングを改善・強化することで企業価値を高めるビジネスを行う企業のこと。D2Cの盛り上がりとともに、ユニコーン企業となった「ECアグリゲーター」がいくつも生まれましたが、そうした成功は必ずしも長続きせず、最近では著名な「ECアグリゲーター」の倒産も報じられています。決して先が明るいとは言い切れない「ECアグリゲーター」ですが、ECビジネスをめぐる1つの潮流として、自社が時代の変化にどのように対応していくのかを考える上でも、理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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IT企業が強化を進める「オファリング」。これからの提案型ビジネスとは

オファリング

近頃、日本のIT企業で増えているのが「オファリング」と銘打ったサービス。「オファリング」はもともと、外資系のコンサルティング会社でよく用いられていた言葉で、サービスやソリューションの提供といった意味合いがあります。IT業界では、顧客に言われたことをなんでもやる、という昔ながらの営業スタイルではなく、ノウハウや知見の伝授、仕組みの導入などを一括して提案するコンサルティング型ビジネスというニュアンスで使われることが多いようです。ただし、明確な定義が存在するわけではなく、各企業がそれぞれの解釈で使っているのが現状。例えば、ある大手IT企業では、さまざまな製品やサービス群を組み合わせたDX事業を「オファリング」と称しています。まずは、コンサルティング業界以外でも使われ始めた「オファリング」という単語を頭に入れつつ、今後の広がり方をチェックしていきましょう。

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長引く「ウッドショック」。これからの日本の林業の在り方を問う

ウッドショック

「ウッドショック」とは、2021年前半に木材の価格高騰によって生じた諸問題のこと。コロナ禍にリモートワークが定着し、米国で新築住宅の需要が高まり、木材の買い占めが起こったことが発端とされています。木材需要が一段落した後も、ウクライナ侵攻などの影響も加わり問題は長期化。2021年以前の水準と比べて、価格は高止まりしている状況です。輸入木材に依存している日本でもその影響は大きく、住宅価格の高騰や建築スケジュールの遅延など、さまざまな問題が生じました。現在も住宅業界のみならず、木材を原料にする楽器メーカー、バイオマス発電を行う電力会社など、多くの業界に打撃を与えています。対策として林業の在り方を見直し、国産材を活用しようとする動きも見られますが、完全な収束には至っていません。SDGsの観点からも「ウッドショック」にまつわる問題に今一度、目を向けてみてはいかがでしょうか。

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今月は、「ECアグリケーター」「ウッドショック」など世界規模で話題となっているキーワードを中心に取り上げました。ほかにも、「デジタル給与」や「オファリング」など、加速するDXにまつわるワードも相変わらず注目を集めています。ビジネスや社会をめぐる問題が複雑さを増している中で、その解決策としてデジタルテクノロジーをはじめとした新たな仕組みをどのように導入していけるのかがますます重要になっていると言えるのかもしれません。社会情勢を鑑みた今後のビジネス展開やソリューションを模索中の方は、ぜひ一度、私たちにお声掛けください。