2024/05/24

今話題のマーケティングトレンドワード5:2024年5月

デジタルテクノロジーの進展目覚ましく、日々新しいワードが登場しているビジネスシーン。影響力のある商品発売を機に新たな概念が注目を浴びることもあり、現実とデジタルを融合させるARやVRの上位概念である「空間コンピューティング」などもその1つです。高度化する技術が身近なものになる一方、「ダークパターン」のように、テクノロジーの悪用によってユーザーが不利益を被るケースも見られます。こうしたワードを押さえることは、テクノロジーのメリット・デメリットに意識的でいるためにも重要でしょう。この記事では、ビジネスを考える上で役に立つ、今話題のトレンドワードを5つピックアップしてご紹介します。

“つながり過剰”に疲れたZ世代に広がる「デトックス消費」

デトックス消費

モノや情報が氾濫し、どこにいても常に人とつながってしまう現代。そんな状況にストレスを感じるZ世代を中心にブームとなっているのが「デトックス消費」です。具体的には、サウナや銭湯、「#自然界隈」といったSNS投稿に象徴されるような自然の中でのアクティビティなど。こうした、汗をかいて体内から老廃物を取り除くような本来的な意味での「デトックス」に加え、SNSの利用頻度を減らすなどの「デジタルデトックス」、あるいは不特定多数とやり取りするのではなく、より狭く深いコミュニティーを楽しむSNSに移行する、といった行動も含まれます。また、クラブで思い切り楽しんだり、没入感のある体験によってダイナミックに気分転換したりと、ストレス解消につながるような消費行動も、一種の「デトックス消費」と捉えられています。「デトックス消費」の複雑さを読み解き、ユーザーの心をつかむ施策を考えてみてはいかがでしょうか。

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現実とデジタルをシームレスに接続する「空間コンピューティング」

空間コンピューティング

「空間コンピューティング」とは、現実とデジタルをつなぐARやVRなどの技術の総称、あるいはその上位概念です。この言葉自体は以前からありましたが、2023年に米国で発売された新しいデバイスを説明するワードとして使われたことで注目されるようになりました。特徴的なのは、ゴーグルなどの専用のデバイスを装着することで目の前にある現実空間に3Dのデジタル情報を配置できること。PCやスマホを使用した時よりも、デジタルコンテンツと現実空間のシームレスな接続が可能です。自宅にいながらスポーツや映画をまるで競技場や映画館にいるかのように鑑賞できたり、現実空間と融合したゲーム体験ができたりと、エンターテインメント分野での活用のほか、オンライン会議や遠隔医療などビジネスや地域社会での活用も見込まれています。発展途上にあるメタバースと並び、大手プラットフォームからの新商品発売を機に、あらためて期待が寄せられています。

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そのUXは本当に正しいですか?ユーザーをだますインターフェース「ダークパターン」

ダークパターン

「ダークパターン」とは、意図しない判断や不利益を被る選択に誘導する、ユーザーをだますために作られたインターフェースのこと。EC・D2Cサイト上で購入にかかる手続き費用などの説明が隠される、単発購入のつもりが実はサブスクリプション契約になっている、などが一例です。「ダークパターン」は、行動経済学に基づいて人々の選択や意思決定を誘導する「ナッジ理論」が起源の1つと言われ、1万件のWebサイトのうち10%ほどの割合で見つかったとする調査結果もあります。「ダークパターン」で一時的に企業収益が上がったとしても、ユーザーの不信感を招き、中長期的にEC・D2C市場全体の縮小につながりかねません。日本では、2021年に特定商取引法が改正され一定情報の表示が義務化されたほか、地方自治体でも注意喚起がされています。企業は過度な利益偏重に陥らず、適切にUXを設計することが求められていると言えるでしょう。

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半導体技術が通信を変える。「シリコンフォトニクス」のメリットとは

シリコンフォトニクス

「シリコンフォトニクス」とは、半導体の微細加工技術を用いてシリコンのマイクロチップ上に光と電子の集積回路を製作する技術です。2000年代から大手企業の研究機関などで研究開発が進められていましたが、年々情報流通量が増大する中で、データセンターやクラウドなどにおいて、高速・大容量でのデータ送受信を実現する技術として注目されています。「シリコンフォトニクス」のメリットは他にも、消費電力が小さく抑えられるため環境負荷が少ないこと、大量生産に適しているためコストが安価になることなどが挙げられます。市場規模は年々拡大しており、その年平均成長率は年20%以上になるとの予測も。医療や自動運転、IoTや5Gの発展に向けた応用も期待されています。テクニカルなキーワードではありますが、半導体業界が盛り上がりを見せる今、頭の片隅に置いておきましょう。

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タイパ重視のZ世代に人気。高負荷インターバルトレーニング「HIIT」

HIIT

近年、健康意識の高まりに伴い流行しているトレーニング。ジム通いが難しかったコロナ禍では、自宅で行うトレーニング、いわゆる「宅トレ」をする人が増加しました。今回取り上げる「HIIT(High Intensity Interval Training)」もその1つで、負荷の高い運動と小休憩を繰り返すトレーニング方法を指します。場所を選ばず、トータル5分ほどの短時間で高負荷のトレーニングができることから、タイパ重視のZ世代など若年層を中心に注目されており、トレーニング動画も多数公開されています。近年、初心者向けのコンビニジムが会員数を伸ばしていることなどからも、フィットネス市場が持つポテンシャルは大きいと言えるでしょう。「HIIT」用のスポーツウェア、ウェアラブル端末との連携などビジネスアイデアも次々に生まれており、ヘルスケアにおける今後のトレンドとなりそうです。

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“Withコロナ”時代の今こそ「健康リテラシー」を高めよう。健康について知り、理解する力「健康リテラシー」とは? 「タイパ」はコンテンツをどう変える?Z世代の実態から考える、これからのクリエーティブ(前編)
今月は、Z世代の趣味嗜好に関連したキーワードとして、「デトックス消費」「HIIT」を取り上げました。デジタルテクノロジーが生活の利便性や娯楽性を高める一方で、常に情報が流れ込み、人とつながり続ける状況に息苦しさを感じるのは、幅広い世代に共通する感覚かもしれません。ディスプレイ上に広がる世界ではなく、「HIIT」のようなトレーニングを含め、身体性を伴うリアルな「体験」が持つ価値は、今後も高まり続けるのではないでしょうか。Z世代向けのマーケティング施策、トレンドを押さえたビジネス展開などにお悩みの方は、ぜひ一度、私たちにお声がけください。