2023/09/25

今話題のマーケティングトレンドワード5:2023年9月

生成AIを筆頭に、デジタルテクノロジーの進展が目覚ましい昨今。企業や国・自治体がDXを推進する中、社会や生活の変化に関するキーワードが注目されています。生活を維持・向上させる「デジタルライフライン」、急速な社会変化に対応するための「アジャイルガバナンス」。持続だけではなく再生を目指す「リジェネラティブ」は社会や経済システムにも影響があるかもしれません。今話題のトレンドワードを知っておくことは、新たなビジネス展開やマーケティング手法のヒントとなるだけでなく、自社が抱えるビジネス課題を見直すきっかけにもなるかもしれません。この記事では、今話題になっているトレンドワードを5つピックアップしてご紹介します。

決済手段にとどまらないマーケティングの新たな地平。「デジタルウォレット」に注目

デジタルウォレット

大手コンサルティング会社が2023年のライフトレンドの1つとして発表したことで注目を集めているのが「デジタルウォレット」です。電子マネーやクレジットカード、チケット、ポイントカード、口座情報などをデジタル上で1つに集約して管理するツールで、暗号通貨やNFTなどのデジタル資産、アプリごとに登録している個人IDなどもその対象。コロナ禍におけるモバイル決済の普及も相まって、利用者数が増加しています。デジタルウォレットに集約されたユーザーデータは、Cookie利用が徐々に制限される中、企業にとって貴重な信頼性の高い顧客情報となります。また、それを活用したクーポン施策、CRMなどを行うマーケティングツールとなる可能性も。セキュリティーや運用面での課題が指摘されているものの、この先、さらなる利用拡大が見込まれます。今後の動向に注目しましょう。

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AI時代やSociety 5.0の新たなモデル。「アジャイルガバナンス」とは

アジャイルガバナンス

生成AIの活用やSociety 5.0の実現といったイノベーションの実装を議論する際、従来の固定的なガバナンスでは対応しきれないことがあるかもしれません。急激な技術発展やそれに伴う社会変化に対応する新たなモデルとして注目されるのが、「アジャイルガバナンス」。政府や企業、個人など複数のステークホルダーが関与し、PDCAを回しながら、ルールや制度の在り方を継続的かつ迅速にアップデートしていくガバナンスを指します。一例としては、政府がオンライン広聴ツールを用いて一般企業などの意見を募る政策議論プロセスなど。現状はモデルとしての側面が強いものの、一般企業を巻き込みながら実践していくことが想定されています。今後の動向を追いつつ、自社での関わり方を検討してみてはいかがでしょうか。

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タイパと好相性?新しい漫画の形「縦スクロールコミック」

縦スクロールコミック

大手出版社が配信サービスをリリースしたことで注目が集まっているのが、スマートフォンでの閲覧に特化した縦スクロールコミック。韓国発祥のフォーマットで、スマホネイティブのZ世代をはじめ、SNSやメッセンジャーの利用で縦スクロールに慣れている若者を中心に人気を集めています。じっくり読まれる横読み漫画に比べ、隙間時間に手軽に読まれる傾向があり、タイパ(タイムパフォーマンス:時間対効果)との相性の良さを指摘する声も。必ずしも書籍化を前提としているわけではないため、無料公開などのキャンペーンを打ちやすく、読むハードルを下げられるのが強みです。また、流通コストがかからないので、その分予算をメディアミックスに投入しやすい点も利点として挙げられます。漫画を活用したマーケティング手法は既に定着しているといえますが、今後はこうした縦スクロールを前提としたコミック表現の活用も増えていくかもしれません。

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本来の力を取り戻す「リジェネラティブ」はビジネスにも変革をもたらすか

リジェネラティブ

持続可能性を追求する「サステナブル」に対し、「リジェネラティブ」は自然環境の再生を目指す概念です。欧米で重視されてきたリジェネラティブ農業は化学肥料や農薬を使わず、土壌の再生やCO2の貯留により温室効果ガスを削減する方法。この考えは、水産業でも見られ、「ブルーカーボン生態系」の考えのもと、海藻の炭素吸収力が重要視され、自然の再生を目的とした養殖方法などが取り入れられています。近年では、農業や水産業だけでなく、建築やビジネスにもリジェネラティブの概念が導入されるようになってきました。例として、自然に優しいデザインや自然エネルギーを活用した建築、さらには社会や経済システムの再生を目指すビジネスモデルが挙げられます。変革と再生は矛盾する考え方ではなく、むしろリジェネラティブな考え方にこそ新たな組織の姿やブレイクスルーのヒントが隠されているかもしれません。

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次世代ビジネスの手掛かりでもある「デジタルライフライン」への期待

デジタルライフライン

経済産業省は、われわれの生活の中心にあるインフラのデジタル化を進める「デジタルライフライン全国総合整備計画」を立ち上げることを発表しました。これは今後10年間で、自動運転やAIなどの技術を社会に取り入れ、人口が減少する中でも生活の質を維持・向上させることが目的です。そのためには、多目的で利用可能なデジタルサービスの実現が求められており、例えば自動運転技術は、移動だけでなく、物流、農作業、災害対応など、さまざまな分野での利用が想定されます。ハードとソフト、ルールを整備し築かれるデジタルライフラインは、水道やガスなど、従来からあるインフラの効率的な管理も可能にし、緊急時の対応をより迅速にすることが期待できるでしょう。このデジタルライフラインの構築は、次世代のビジネスのカギともなり、新たなサービスやソリューション開発の手掛かりとなるのではないでしょうか。

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今月は、デジタル社会の実現に伴う課題にまつわるキーワードのほか、「縦スクロールコミック」や「デジタルウォレット」など、ユーザーの消費行動を意識したコンテンツ、マーケティングへの展望についても取り上げました。急速なテクノロジーの発展や社会の変化により、ユーザーが求めるものも目まぐるしく変化する現代。今注目のトピックスを参考にしながら、自社の商品・サービスの開発やプロモーションに役立ててはいかがでしょうか。データやシステム運用に課題を抱えている方、消費行動の変化に合わせたビジネス展開を模索中の方は、ぜひ一度、私たちにお声掛けください。